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異世界で勇者になりましたが引きこもります【完結】  作者: きゆり
最終章 勇者と魔王

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最終話

最終話です!

「あ~、やっと帰って来れたね」

「あぁ」


 久しぶりに帰ってきたロッジは思っていた以上に我が家へ帰って来た感があった。

 もうここが自分の居場所になったんだなぁ。


 自分の居場所……、やっぱり私はここでディルアスが一緒にいてくれるのが自分の居場所と思える。

 もちろんルナとオブは当たり前に側にいて欲しい存在で、いてくれると信じている存在でもある。


 でもディルアスは違う……。

 私は側にいて欲しいと思っても、ディルアスはどうか分からない。

 今まで一緒に過ごす内に私のことを少しくらいは好意を持ってくれているのかな、と思うことはあった。

 でも実際はどうか分からない。


 今まで怖くて告白なんか出来なかった。

 今の関係が壊れるのが怖かった。

 壊れてしまうくらいなら今のままでも良いんじゃないか、と思ったこともあった。


 でも…もう後悔するのは嫌だと思ったじゃないか!

 この関係が壊れても仕方ない。もう二度と後悔はしない、って決めた。

 無気力で生きていた大学生の時と私はだいぶ変わった。この世界のおかげだ。

 もう自分を諦めない。後悔しない。



「ディルアス!」

「ん? どうした?」


「う……、あ、あの……」


 し、心臓の音がうるさい……。は、吐きそうだぁ……。

 大きく深呼吸をした。


 さあ、言うぞ、と思った瞬間、ルナが後ろから抱き締めて来た。


「ルナ!?」


 いつの間にか人間化してるし!


『ユウ』


 耳元で囁くように名前を呼ばれドキッとした。

 いや、いやいや、ダメダメ、今からディルアスに告白しようとしてるのに、ルナにドキドキしたらダメでしょ!


 ルナが後ろから抱き締めたまま、頬を触られ反対側の頬に唇が……。


「!! ルナ!!」


 ディルアスが叫んだ。


 そのままルナは止まらず、唇と唇が近付く……。

 あ、ダメだ、思考回路が停止してスローモーションに見える。

 ルナの顔があまりに近くで綺麗な顔だなぁ、とか呑気なことを考えてしまっている。


「やめろ!!」


 ディルアスがルナを掴んで引き離した。

 一瞬軽く唇が触れたような気がしたが、未だ思考回路停止中……。

 ダメダメだな、私……。こんなときどうしたら良いのか全く分からず固まってしまう。

 自分の恋愛スキルのなさが恨めしい。


「お前!!」

『何だ?ディルアスには関係がない。我はユウが好きだから、そうしただけだ。好きな者同士はするのだろう?』

「ぐっ」


 あ、前に確かにそう言ったね……。


「それなら俺だって、ユウが好きだ!!」


「!!」


 ディルアスが両肩を掴んだ。ビクッとした私の頭はもうショート寸前だ。。

 え? え? 何? 何が起きた!? ディルアスが今何て言ったの!? 好き!? 私が好きって言った!?


 今度はディルアスの顔が近付いてきた。

 えっ、私どうしたら良いの? ダメだ……、やっぱり私はダメダメだ…。

 ディルアスの唇が私の唇に近付き、吐息を感じ心臓が跳ねる。


 唇が触れる寸前、今度はルナがディルアスを引き離した。

 いや、何これ、私を奪い合うイケメン二人! モテ期到来!? とかアホなことを考えてしまう。


「お前なぁ!!」


 引っ張られたディルアスが、珍しく感情露に怒りを見せている。

 何だかそれが嬉しくて、感情を見せてくれるようになったのが本当に嬉しくて、あぁ、やっぱり私は……



「ディルアス! 好きだよ! 私はあなたがとっても大好き!」



 自然と素直にそう叫んでいた。

 今まであんなに悩んで、あんなに緊張して、あんなに躊躇っていたのが嘘のように、言葉に出た。


 ディルアスはルナと言い合っていたが、驚きこちらを向くと、一瞬にして顔を紅潮させた。


「ハハ、ディルアス、可愛い」

「笑うな」

「フフ」

「だから笑うな!」


 ディルアスは赤い顔のままこちらを真っ直ぐ見た。


「俺はユウが好きだ」


 改めてもう一度ちゃんとディルアスは言った。私の目を真っ直ぐに見詰めて。


 ボンッ! と効果音が出そうなくらい一瞬で顔が火照ったのが分かった。


「ユウも可愛い」

「!?」


 可愛い!? 可愛いとか言った!? 可愛いなんて生まれてこのかた親以外に言われたことないよ!


 さらに顔が赤くなっているのが分かった。


「フフ、アハハ」


「ディルアスが声を上げて笑った……」

「えっ?」

「ずっと見たかったんだ、そんな笑顔」


 嬉しい。好きだと言われたこともとても嬉しい。でもそれ以上に笑顔が嬉しかった。

 私、自分で思っていた以上にディルアスの笑顔が見たかったんだなぁ、と、それが分かった。


『我も好きだぞ』


 ルナがまた抱き付いて来た。


 ディルアスがルナを引き離そうとするが、今度は離れない。


 二人がギャーギャー、子供みたいな喧嘩をしてるのが可笑しくて。

 オブとゼルがキョトンとしてるし。


 ま、良いか! こんなのもありかな!


 私の人生捨てたもんじゃない!


 これからはみんなで思う存分たっぷりと引きこもります!



 メランの青い花弁が風に乗って空高く舞い上がった。




ついに完結しました!

最後まで読んで下さった皆様には感謝しかありません。

数ある小説の中からこのお話を選んで読んで下さった皆様には本当に感謝です!

今までありがとうございました!

評価☆や感想もいただけると嬉しいです!


番外編「銀狼ルナの心情」をスタートしました。

もし機会があればそちらも読んでもらえると嬉しいです。


ありがとうございました!

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