第八話
四人で、というより三人で色々な話をした。
主にメルダさんとフィルさんのことを聞かせてくれた。
メルダさんは水系魔法と治癒系魔法を得意としていて治療士という仕事、フィルさんは炎系魔法と風系魔法を得意としていて、魔導具屋を営んでいるらしい。
二人のように魔法が使える人は相性の良い属性二種類の魔法を得意としている人が多いらしい。
生活に使う程度の弱い魔法しか使えない人も多いらしいが、二人はそれなりに強い魔法を使えるそうだ。
それでもディルアスには敵わないらしい。ディルアスは様々な魔法が使えるらしく、そのせいなのか一ヵ所に落ち着いて生活出来ないのだとか、メルダさんいわく。
「ディルアスは普通に商売したりとかは向かないしねぇ。無愛想だし」
フィルさんが大笑いしていた。
主に旅をしながら人から依頼を受けて解決していくことを仕事としているそうだ。
探偵みたいなもんかな?
「私がいたところでは魔法もなかったし、ドラゴンとかもいなかったんですけど、私も魔法使えたりとかは……、無理ですよね」
言いながら、今までそんなこと出来ない人間だったんだから、無理に決まってるだろ! と自分で自分にツッコんだ……、心の中で。
「ん? ユウ、魔法使えないの? 使えるんじゃない? 魔力感じるし」
フィルさんが軽く言った。
「え、私、魔力あるんですか!? どんな魔法使えるんですか!?」
「いや、それはやってみないと分からないけど」
前のめり気味に聞いたら笑われてしまった。
アニメやゲームでしか見たことない魔法。そりゃ出来ると言われたらやってみたいでしょ!
「俺で良ければ教えてあげるよ。ちょうど明日は店が休みだし」
「あたしもせっかくだから付き合おうかな」
フィルさんとメルダさんが魔法を教えてくれる!
やった! と心の中でガッツポーズ。
「ぜひお願いします!」
「メルダがいるなら、ついでに街の案内とこの子の服やら必要なものの買い出しに付き合ってやってくれないかい?」
話が聞こえていたらしいマリーさんがメルダさんに言った。
「買い出しか、分かった、良いよ! なら明日朝から街の散策がてら買い出しして、昼からフィルと一緒に魔法講座なんてどうだい?」
「ありがとうございます!」
明日が楽しみになってきた。
ディルアスは相変わらず無表情のままだけど……。
明朝メルダさんが迎えに来てくれると言うことで、話が纏まり解散した。
マリーさんにも挨拶をして二階に戻った。
二階でお風呂を借り、ベッドで眠れることに感謝しつつ意識がなくなるように眠りについた。