第七十五話
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王宮では以前泊まらせてもらっていた部屋を用意してくれていた。
懐かしかった。あれから結構年月が経ったんだなぁ、と感慨深いものがある。私は若返っちゃったけど……。
アレンの私室でリシュレルさんも一緒に今後の話をした。
「とりあえずユウたちは王宮内の人間の魔力感知をするんだよな?」
「うん、そうさせてもらいたい」
「大体どこも自由にしてくれて構わないが、どこに行くかは誰かに伝えてから行動してくれ」
「分かった。ちなみにアレンとリシュレルさんの魔力感知もさせてもらっても良い?」
「ん? 俺たちか? あぁ、別に良いぞ」
「私も大丈夫ですよ。面白そうですし」
リシュレルさんはニコッと笑った。
「ありがとう。じゃあちょっと今二人の魔力覚えるね」
目を瞑り二人の魔力に集中する。
アレンとリシュレルさんはどうしたら良いか分からず困惑している。
二人の魔力を覚えた。
「ありがとう、もう大丈夫だから普段通り過ごしててね。魔力を追ってみるから」
「お、おぅ」
何だか分からないといった顔をしていた。だよね……。
それから毎日アレンとリシュレルさんの魔力を探ってみた。
最初はかなりの集中力を持ってやらないと、全く居場所は分からなかった。しかも一時間程集中していると、その日はグッタリだった。
「あぁ、疲れるー!!」
ディルアスもグッタリしている。
『大丈夫か?』
ルナが膝に乗ってきた。
「あ~、ありがとう、ルナ。もふもふ!」
『そういう訳ではないのだが……、まあ仕方ないな……』
久しぶりにガッツリともふもふを! 癒しを!
スリスリもふもふしていたら、視線…が…。ディルアスの視線が痛い……。
ひ、引かれてるかしら……。
ルナの毛に顔を埋めながらこっそりディルアスを見た。
ちょっとムッとしてる?
ディルアスももふもふしたいのかな。そういえば獣型のときにルナを触るの嬉しそうだったな。
「ディルアスももふもふする?」
「はっ!?」
『はっ!?』
ディルアスとルナがハモった。
え! 違った? 何か間違えた?
「ルナを見てるから、てっきりディルアスももふもふしたいのかと……違った?」
焦って言い訳みたいになったが、違うの~!?
「いや! ルナを見てた訳じゃ! …ない…」
「え?」
うーん、分からない。
ルナが溜め息を吐いた。
何でー! 何で溜め息!? 分からないー!
『分からないならそれで良いんじゃないか?』
「何!? 教えてよ!」
『自分で考えることだな』
「えー……」
チラッとディルアスを見たが、横を向いてしまい、余計分からなくなった。
あー、何だろ、この空気……苦笑するしかなかった。
寝よう。逃げたと言われても良い! 分からないから寝て忘れる!
微妙な空気のままディルアスとは別れた。
何日もしばらく訓練を続け、毎日ディルアスと共に疲弊しながら、徐々に感知するのも素早くなっていった。
アレンとリシュレルさんの居場所が分かる。
うん、個人を特定して分かるようになってきた。
ただ持続性がない。長くは続けられない。通常索敵と併用するとなおさら。
そこでディルアスと交代しながら通常索敵と特定索敵をすることにした。
それならば二時間置きくらいに交代すれば、一日続けることが可能になった。
もう少し強化出来れば、ということで、まだ鍛練は続けたのだが、少し余裕が出来たので、宮廷魔導士団にお邪魔することにした。
何か私たちの知らない魔法とかないかな~と期待して。




