第七十一話
森を抜け平地に出ると魔物の姿が露になった。
「ディルアス……」
鼠……普通の鼠よりは大きい。でも小型化したルナやオブくらいの抱っこ出来そうな大きさだ。
それほど強くはなさそうな魔物だ。
しかし、数が……数が半端ない。百匹以上いそうだ。
「この多さは厄介だな」
「な、何でこんな数……」
「魔物が増えているらしい話は聞いたが、これは多すぎだな」
森の中からぞろぞろと出てくる。
「これ、どうすれば良いの?」
「一匹ずつ倒してる余裕はない。一気にやるぞ。どうにかして一ヶ所に集めるんだ!」
一斉に襲いかかってきた。物凄い勢いで突進してくるもの、高くジャンプして上からくるもの、入り乱れて襲いかかってくる。
「ルナは後ろからオブは上空後ろから炎をお願い!」
『分かった』
ルナとオブの炎が鼠を背後から追いやる。
オブの炎凄い! 試しに見せてもらうはずが実戦になるとはね。
背後から追いやられた鼠の行く先々で氷魔法の壁を作り行く手を阻む。
しかし何匹かはすり抜けてしまう。
残った鼠にだけ結界を張り閉じ込める。
「やっぱり無理か」
全部一斉には無理だ。
「いや、今ので行こう! 俺たちは残りを追い詰める。その間にユウは今結界にいるやつを先に!」
「分かった!」
結界を張ったまま、その中に炎を。結界の内部が分からなくなるくらいの業火で焼き付くした。
結界内部の様子がまだ分からないため、結界は維持させたまま、ディルアスたちの方を見た。
ルナが吐き出す炎の合間を突いて、鼠がルナに噛み付く。
ルナが吼え鼠に牙を向けている。
数が多すぎて飛べないルナに群がって来た。
「ルナ!!」
風魔法でルナの周りの鼠を蹴散らす。ルナはその隙に高くジャンプした。
「ルナ! こっちに!」
ルナはこちらに駆け寄った。
空に向けて雷撃を撃った。空高く登った雷は上空で四方八方に弾け、無数の槍のように鼠たちに突き刺さる。
ディルアスも数十匹を結界に封じ込め炎魔法をかけているところだった。
先程まで張っていた結界を小さく小さくしていき、そしてグッと握り締め消滅させた。
残り数匹、取り逃がした!
残った数匹は森に逃げて行く、逃がしたらダメだ!
と、思った瞬間、鼠が炎で焼かれた。
「えっ!?」
ディルアスのほうを見ても、まだ結界と炎魔法で数十匹の相手をしている最中だった。
どういうこと? あれは誰が!?
鼠がいた方に向き直すと森から何かが出て来た。
索敵に敵意は引っ掛からないが、また魔物か! と身構える。




