第七話
「ディルアスが帰ってるって!?」
そう大声で言いながら店を見回しているのは、物凄い色気ムンムン、際どい服を着たお姉様だった。
赤くて長い髪に緑色の瞳が綺麗だ。
「メルダ、声がデカイ」
呆れたような顔でお姉様の後ろから青年も入ってきた。
青年はメルダと呼んだそのお姉様と同じくらいの歳だろうか、こちらも綺麗な緑色の髪に金色の瞳をしている。
マリーさんは普通の茶色い髪と瞳だったな、と思い出す。街中でもちらほら変わった髪色を見かけたな~と、入ってきた二人をまじまじと見てしまった。
「フィル、うるさいよ。滅多に帰って来ないディルアスを見かけた、って、しかも女の子連れて、って噂になってたんだから、そら気になるじゃないさ」
ん? それって私のことかしら、と少し戸惑った。
「あ、噂をすれば……、ディルアス!」
座っていたディルアスに気付くと二人が近寄って来た。
「あんた、ちっとも帰って来やしないね。帰って来たかと思えばすぐにまた出て行くし」
メルダお姉様が呆れ顔だ。
「ディルアス久しぶり。お、噂になってたのはこの子か!」
近くまで来ると何だか迫力のある美男美女だな。と、圧倒された。
「君、名前は?」
フィルと呼ばれた青年から紳士的な態度で聞かれた。
「あ、ユウです……」
「初めまして、ユウ。君はどうしてディルアスとこの街に来ることになったの?」
話しながら隣に座った。メルダお姉様も同じく反対側に座った。
急に破壊力の高い顔ぶれに囲まれ見事に固まってしまった。
「森で拾った。他国から来たらしい」
マリーさんに説明したのと同じようにディルアスから説明してくれた。
「あんたたちうるさいよ。店では静かにしておくれ」
マリーさんが食事と飲み物が入ったグラスをテーブルに置きながら言った。
「元からうるさい店じゃないか」
メルダお姉様が笑いながらマリーさんに言っていた。仲が良さそうだ。
フィルさんともにこやかに話している。
「さ、ユウ食べな。うちの自慢料理だよ!」
湯気の立ったその肉料理は豪快な肉の塊で、しかしとても美味しそうな匂いがした。
いつの間にやら四人で食べることに。
分けながら夕食を共にした。