第六十七話
王宮に着くとディルアスは顔パスだ。
え~……と間抜けな顔になっていたんだろうな。そのままディルアスに付いていく。
ルナとオブは以前のように小型化で一緒に付いていく。
やっぱりオブは赤ちゃん化じゃなくなってた~! 子供ドラゴン? それも可愛いんだけど、やっぱり赤ちゃんのぷにぷにはなくなってる~。
一人ガッカリしながら二人を抱っこし、仕方ないからルナだけでも、もふもふもふもふ……あぁ、久しぶりのもふもふ癒される。
またルナに怒られるかな、とチラッとルナを見ると、意外と気持ち良さそうにしていた。
「ルナ?」
『何だ?』
「いや、いつもならもふもふし過ぎると怒られるのにな~と思って」
『そうだったな。今はユウに触れられると気持ちが良い。ずっと離れていたせいだろうな。今は触れられていたい』
「!!」
は、鼻血が出そう……。ルナ、何かやっぱり色気ムンムンキャラになってる……。
何だか恥ずかしくなってしまい、二人をぎゅーっと抱き締めた。
『ユウ……苦しい……』
「あ、ごめん」
オブに怒られた。
ディルアスはなぜかずっと無言で足早に歩いて行く。早いから追いかけるのに小走りになる。
何か不機嫌なのかな……。
「ディルアス、待って」
少し息を切らしながら追いかけた。
「あぁ、すまない」
ディルアスが振り返り、ばつが悪そうな顔をしていた。
目線を合わせず、腰に手を回され隣を歩くよう促される。
どうしたのかな、と、ディルアスの顔をジッと見上げた。やっぱり端正な顔だし、十四も歳上には見えないなぁ。でもディルアスからしたら私なんかは子供なのかなぁ。
そんなことをぼんやり考えていると、どうやら見詰め過ぎていたらしい。
「そんなに見ないでくれ」
耳まで顔を赤くしたディルアスは反対側に向いてしまい、顔を隠した。
「ご、ごめん!」
結局お互い無言になってしまった。
アレンの私室に着くとディルアスが扉を叩いた。
中から声がする。
「どうぞ」
中へ入ると、アレンにリシュレルさん、イグリードがいた。
「ユウ!!」
三人とも驚き、そして喜んでくれた。
アレン、イグリード、そしてリシュレルさん、と順に抱き合い、再会を喜んでくれた。
アレンは涙ぐんでいる。
「あぁ、ユウ、信じられない。本当にユウなんだな! 良かった……本当に良かった……」
あぁ、私はたくさんの人を苦しめていたんだな。自分のした選択が間違っていたとは思わないが、周りの人たちがどう思うかまでは考えていなかった。
私がいなくなることで、こんなにもみんなを苦しめてしまっていた。
「苦しませてごめんね」
みんなに向けて言った。
アレンは私の頭に手を置き、クシャクシャと撫でた。
「ばーか、ユウが謝るところじゃないだろ」
ニッと笑った。
それに合わせるように、みんな笑顔を見せた。
「ありがとう」
それが嬉しいような、申し訳ないような、複雑な気分で泣きそうだった。
とりあえず話を聞かせて欲しい、と椅子に促され、ディルアスたちに話したように、神とのやり取りを一部始終話した。
「やはり胡散臭い神だな」
イグリードがフンッと言い放った。
「ユウが戻ったのは喜ばしいが、新しい勇者と関わるとユウは完全消滅って……一体どういうつもりなんだ」
全員が考え込んだ。
「やはり極力新しい勇者と関わらないように動くしかないんだろうな。万が一関わってしまったにしても、全力で避けるようにする。俺たちの元に現れても真実は話さない。ユウのことも話さない。それを徹底しよう」
イグリードがそう言って全員の顔を見た。
「みんなに負担をかけてごめんね」
「ユウが謝ることではないだろう。俺たちの世界のことだ。ユウは巻き込まれただけだ。今度こそ俺たちが守るよ」
「あぁ」
イグリードにみんな賛同した。
新しい勇者についての話が終わると雑談のように、みんなの近況を話してくれた。




