表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で勇者になりましたが引きこもります【完結】  作者: きゆり
八章 再出発

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/97

第六十三話

 夢を見ていた。

 夢? 何の夢? あれ? おかしいな、何か長い夢を見ていたような……。


 気付いたら大学にいて講義が終わっていた。

 どうやらずっと寝ていたらしい。

 良かった、気付かれなくて。


 友達に寝ていたことをからかわれ、ノートを借りてバイトに向かう。

 何か疲れてるな~、バイトめんどくさいな~、

 そんなことを考えながら四時間程のお金を稼ぐ。


 バイト終わった~、お腹空いたからコンビニ寄って帰るか~、とかダラダラした生活。

 一人暮らしの家に帰ってコンビニ弁当を食べて、ボーッとネットを流し見る。


 んー、何だろ、こんなだったっけ?

 何か忘れているような。何か大事な事、大事な人たち……何だろ、何だろう……。。


 何か泣きたくなった。


 戻りたい……帰りたい…………一体どこに?








「おーい」



「おーい、もしもーし? 聞こえる~?」


 重たい瞼を開けると光が眩しくて目を細めた。

 そっと開けていくと、光のせいではないことが分かった。

 目を開けると真っ白な空間にいたからだ。


「ここは……?」


「やっっと、起きたね~!」


 声にビクッとし、声の主を探した。


「やっ! 久しぶりだね、ユウ」


 その人物はニッコリ笑った。

 真っ白な長髪に真っ白な瞳、肌も服も何もかも真っ白。


「だ、誰!?」

「あれ? 私のこと覚えてないの? 思い出してよ~」


 グッと顔を近付け見詰めて来た。

 思い出す? 会ったことがある? どこで?

 何だろう、思い出したいのに、この顔を見ているとイラッとするのはなぜだろう。


 真っ白の瞳が目の前に見える。その瞳には自分が写り込んでいる。

 その写り込む自分を見ていると、何かを感じる。

 忘れていた何か……。


「ディルアス……」


「えー、思い出すとこ、まずそこ!? 私じゃないの~!?」


 やっぱりイラッとする。


「何で? 私、消えたんじゃ……」

「うん。消えたね~。綺麗さっぱりと!」


 どういうこと? ここはどこ? 訳が分からない。


「ここは私の領域だねぇ。ユウはまだ消えたままだよ~。ただ私が君のカケラを集めた」

「カケラを集めた……?」

「うん! 魂のカケラ! 目茶苦茶頑張ったんだからねー! 感謝して!」

「??」


 意味が分からない。


「新たな勇者が見付かってユウは消えちゃったでしょ? それを私は魂のカケラを集めて、ここに復活させました~! 記憶も姿も消えたときのまま! 凄いでしょ? ただまだ肉体はないけどね~」

「魂のカケラ……」

「一応ね~、私もユウには申し訳なかったな~と思ってね。まさか自分のほうを消しちゃうとは思わなかったし~。だからと言うか、罪滅ぼし~」


 申し訳ない顔付きではないな。


「生き返れるってこと?」

「うーんと、正確には生き返るんじゃなくて、やり直しって感じかなぁ」

「やり直し?」

「そう、やり直し」


「私が勇者として召還してしまったときからの人生をやり直し」

「勇者として召還したときから?」

「その時までユウの肉体を戻してあげる。ユウはどちらの世界に戻りたい? 戻りたいほうの人生をやり直しさせてあげる」


 どちらに戻りたいか……


「決まってる。あちらの世界に戻りたい」

「元の世界じゃなく?」


 頷いた。元の世界にも帰りたいとも思うが、夢では何かを思って苦しかった。やはりあちらの世界が大切だと思う。何より消える瞬間の未練と後悔。あの時の想いが、あの世界へ縛り付ける。


「あちらの世界での未練と後悔をやり直したい」

「そっか、ならあちらの世界へ戻してあげる」


 珍しく優しげな顔付きで神は言った。


「記憶も魔力も消えてしまったときのままだよ! 凄いでしょ!」

「魔力もあるの?」

「そうだね~、勇者しか使えない聖魔法はなくなってしまうけど、それ以外は元からユウが持っている素質だからねぇ」


 何だか上手い話過ぎて胡散臭いな。

 ニコリと笑った感情が読めない。


「あ、ちなみにあちらの世界はユウが消えてから五年経ってるからね~」

「五年!?」

「そう。ユウの魂のカケラ集めるの、凄い時間かかったんだよ~」

「私は召還された歳に戻るんだよね?」

「そうだよ~、肉体的にだけね~」

「そ、そっか……」


 戻るその前に、と、神が真面目な顔をした。


「戻る条件として何点か約束事!」


 新たな勇者とは自分からは関わらないこと。

 新たな勇者には本人が調べた事柄以外の真実は教えないこと。

 以上の事柄は真実を知っている者全てに対して適応される。

 それが守られなかった場合、ユウは今度こそ完全消滅する。


「以上! 分かった~? 気を付けてね~。完全消滅しちゃうよ~?」

「新しい勇者さんから関わられたら?」

「まあそれは仕方ないよね~、不可抗力だね~。でも必要以上は関わらないでね~」

「分かった」


「じゃあね。改めてユウの人生やり直しておいで!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ