第六十二話
ユウがいなくなって五年が過ぎた。
あの時俺は別れの言葉さえ言えなかった。
何もしてやれなかった。ただ黙ってユウが消えるのを待っていただけだ。
ずっと後悔が残る。
いつまでも。
五年の歳月が流れた今でもユウを思い出す。
なぜ俺は自分の気持ちを口にしなかったのだろう。
ユウの負担になってはいけないと思い、ずっと言わなかった。しかし今こうやってずっと後悔が残り続けている。
言うべきだったのか、やはり黙っていたのが正解だったのか……、答えは出ないまま。
一生答えが出ることはない。
「ディルアス! ロッジにいるんだろ? 今日は城に来てくれ」
アレンから連絡が来た。
「分かった」
あれから俺はユウのロッジに住んでいる。
ルナとオブも一緒に。
あいつらはユウが消えてからもそこから動こうとしなかった。契約者がいなくなったんだ、もう自由だと言うのに。
五年間、ルナもオブもユウのロッジから離れなかった。
エルザイアの王宮には今や顔パスで入れるまでになった。
「おー、ディルアス、来たな」
そこにはイグリードもいた。
アレンもイグリードも五年の歳月の間に父親の跡を継ぎ国王になった。
「ディルアス、久しぶりだな。ユウの家に住んでるんだって?」
「あぁ」
「フッ、そうか……」
イグリードは懐かしそうな顔をした。
あの時、ユウが消えたとき、しばらく俺は動けなかったが、落ち着いてからアレンとイグリードに連絡をした。
二人とも、そうか、と一言だけ言った。その後はしばらくユウの話題に触れることはなかった。
「最近どうだ? 新しい勇者の話とか、何か耳にするか?」
「いや、全くだな」
「俺のほうもだ」
新しい勇者がどうなっているのか、たまにこうやって集まり話をする。
しかし、未だにそういった情報は一切ない。
「魔物は少しずつだが増えてきてるんだよな……」
ユウが消えてから、徐々に魔物が増えて来た。
それはやはり新しい勇者が動いているという証拠だと思うが、情報は一切ない。
「新しい勇者は恐らくまだ自分が勇者だとは気付いていないんだろうな。だからそれらしい話が出ない」
「だろうなぁ、ユウのときだって、ユウが自分から調べなければ分からないままだったろうしな」
アレンもイグリードも無言になった。
「まあとにかく、もし何か情報を掴んだら共有してくれ」
「分かった」
ユウのロッジに帰るとルナとオブが相変わらず訓練をしていた。
あれからオブはすっかりと身体が大きくなった。もうゼルと大差ない体格だ。
あのままここにいるがルナ、オブ、共に契約はしていない。
あいつらはユウの魔獣だから。
「ユウ……」




