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第五十七話

 目が覚めるとベッドの上にいた。ルナが運んでくれたのかな。ルナとオブが側で眠っている。


「ルナ、オブ、側にいてくれてありがとね」


 そっと撫でた。


『ユウ』


 ルナが目を開けすり寄る。オブはまだ寝ている。


「心配してくれてありがとう。決めたよ」


 清々しい気持ちだった。


『そうか、どの道に進んでも我は最後まで共にいる』

「うん、ありがとう、ルナ、大好き」


 ルナを抱き上げぎゅっとした。


『ぼくも~』


 オブがまだ寝惚けながらしがみついてきた。


「うん、オブも大好き」


 二人纏めてぎゅっとした。少し泣きたい気持ちになったが、うん、大丈夫! 顔を上げた。


 侍女さんに連絡をお願いし、再びイグリードの私室に集まった。


「ユウ、どうするか決めたのか?」

「うん」


 みんながこちらを見た。


「私は戦わない」

「!!」


 アレンとイグリードは驚愕の顔をした。

 ディルアスは……悔しそうな顔だ。きっと私がこの答えを出すって分かってたんだろうね。


「ユウ! 本当にそれで良いのか!?」

「うん」

「戦ったにしても、人々は俺たちが守ると言ってもか!?」

「うん。二人には争いを起こさないことで人を守って欲しい」


 本気でそう思ってるよ? 消えるのは怖い。でも本当にこの世界が大切に思えたから。



 目の前の空間が歪みキラキラと光だした。それが段々と人の型になっていく。


「決まったようだね?」


 神が現れた。


「うん。私は戦わない」

「本当に良いんだね?」

「うん」

「では、私は新しい勇者を探すとしよう!」


「新しい勇者はどれくらいで現れるんだ?」


 アレンが聞いた。

 新しい勇者が現れたら私は消える。


「さぁ、どうだろうねぇ。私もこんなことは初めてだからねぇ。明日になるか、それとも何十年後になるか、神のみぞ知る……って、私が神だった~! てへっ」


 シーンとした。


「笑ってよ~! せっかく笑わせようとしたのに~」


 やはりイラッとする神だな。

 無視して話を続けた。


「新しい勇者が現れたら消えてしまう前に分かる?」

「うーん、多分ユウなら分かるんじゃないかな~。じゃあね、ユウ」


 神はニコリと見詰めた。その顔は初めて見せた優しい顔付きだった。

 そしてまた一瞬にして消えたのだった。


「ユウ、これからどうするんだ?」


 アレンが聞いて来た。


「そうだね……、負の感情を抱いてもダメ、魔物を倒してもダメ、だから……どこか森の奥、人と会わないところでのんびり暮らそうかな」


 ふむ、それも良いかもしれない。試行錯誤しながら家でも建ててのんびりまったりとね。


「ならばエルザイアの王宮裏の森はどうだ? あそこなら国の所有だから、基本的には誰も入っては来ない。最北まで行くと海が見えるぞ」

「へー、海! 良いな、見たい! うーん、じゃあそこにしようかな」

「ならば手続きをしておく。家も建ててやる」

「え、良いの? やった!」


 ちょっとウキウキしてきた。

 そんな様子にアレンとイグリードは複雑な表情を見せる。


「何かあればすぐに俺たちに相談しろ」


 イグリードがそう言い、イグリードとも通信魔法を繋げた。


「俺たちは必ず人間同士の争いは起こさないと誓う」


 二人とも真面目な顔で言った。


「うん。よろしくね、二人とも」

「あぁ、必ず……」


 笑顔で解散した。そのままガイアスを離れることに。

 イグリードは見送りに出て来てくれた。


「ではまたな」

「うん」


 盟友との別れを惜しむが如く、イグリードは強く抱き締めて、そして離れた。


「またね」


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