第五十三話
昼食の準備が整ったことを伝えられ、アレンたちのいる所まで戻った。
顔は戻ったかしら……落ち着け、深呼吸をして気持ちを落ち着けた。
「ねぇ、さっきのって……」
ディルアスに小声で聞いてみた。
「さっき?」
「え……いや、あの……」
無意識かい! 思わず突っ込みそうになった。何か一人でドキドキしてたのが馬鹿みたいじゃない!
「もういい、何でもない」
少しムッとして席に着いた。
「ユウ、どうかしたのか?」
「えっ、ううん、何でもないよ?」
ハハハ、とりあえず何事もなかったかのように取り繕った。
「この後また調べに戻るか?」
「うん、とにかくもう一度読み返してみて考える」
「そうか。何か分かれば報告してくれ」
昼食を食べ終わると再び禁書庫に戻り読み返した。
その内容を思い出しながら部屋へと戻る。
魔物が徐々に増えてきて、勇者が現れて、また魔物が増えて、魔王が現れて、さらにまた魔物が増えてきて、最後は勇者が倒す。
年代やら時期や期間等は違うが、ほぼ一貫してるのはこのことだけだよね。
「ルナが戦ったときは魔王とは最初知らなかったんだよね?」
『あぁ、最初はただの魔物だと思っていた』
「それまでは魔王の存在は周知されてなかったってこと?」
「そうだな。魔王が現れたということは、あの当時の人間は恐らく誰も知らなかった」
「そっか……」
『何か気になるのか?』
「うん……、でも何かが分からない」
あー、何かモヤモヤムズムズする!
ルナにしがみつき、ぎゅぎゅぎゅー……
『おい』
「ごめーん、でももふもふさせてー!」
顔を埋めてスリスリスリスリ……
「はぁ、落ち着く……」
思う存分スリスリしてたら、突然ルナが人間化した。
仔犬姿に抱き付いてスリスリしていたら、超絶イケメンに抱き付いてスリスリしている構図に変わった。
「!! ちょ、ちょっと!! 何で人間化!?」
『抱き付くならばこちらでも良いだろう』
珍しくルナが意地悪くニッと笑った。
これは……私がルナの人間化に緊張することを分かっててやってるな……。遊ばれてる!
『思う存分抱き付いたら良い』
今度はルナが抱き締めて来た。ひぃぃい。
「やーめーてー!!」
力一杯ルナの身体を押した。人間化は力が落ちるって言ってたくせに離れない!
ムキになっているとオブが割り込んで来た。
『ぼくもいれて~』
ルナと私の間にひょっこりと顔を出した。
た、助かった! オブ、ナイス!
『残念だな』
ルナが頬に口を近付け囁いた。耳に息がかかり思わず耳を押さえた。
「ルナ、何か意地悪になった!?」
『フッ』
絶対からかってる……もう! オブを抱き締めて後ろを向いた。絶対顔赤くなってるし。
ディルアスといい、ルナといい、何なのよ!
ドキドキが過ぎると疲れる。寝よう。
また明日考えよう……。ん? 考え過ぎてたのを止めてくれた? ルナをチラッと見た。
ルナは目が合うとフッと笑った。
ルナには勝てないかも……そう思った。




