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異世界で勇者になりましたが引きこもります【完結】  作者: きゆり
六章 勇者

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第五十三話

 昼食の準備が整ったことを伝えられ、アレンたちのいる所まで戻った。

 顔は戻ったかしら……落ち着け、深呼吸をして気持ちを落ち着けた。


「ねぇ、さっきのって……」


 ディルアスに小声で聞いてみた。


「さっき?」

「え……いや、あの……」


 無意識かい! 思わず突っ込みそうになった。何か一人でドキドキしてたのが馬鹿みたいじゃない!


「もういい、何でもない」


 少しムッとして席に着いた。


「ユウ、どうかしたのか?」

「えっ、ううん、何でもないよ?」


 ハハハ、とりあえず何事もなかったかのように取り繕った。


「この後また調べに戻るか?」

「うん、とにかくもう一度読み返してみて考える」

「そうか。何か分かれば報告してくれ」



 昼食を食べ終わると再び禁書庫に戻り読み返した。

 その内容を思い出しながら部屋へと戻る。


 魔物が徐々に増えてきて、勇者が現れて、また魔物が増えて、魔王が現れて、さらにまた魔物が増えてきて、最後は勇者が倒す。


 年代やら時期や期間等は違うが、ほぼ一貫してるのはこのことだけだよね。


「ルナが戦ったときは魔王とは最初知らなかったんだよね?」

『あぁ、最初はただの魔物だと思っていた』

「それまでは魔王の存在は周知されてなかったってこと?」

「そうだな。魔王が現れたということは、あの当時の人間は恐らく誰も知らなかった」

「そっか……」


『何か気になるのか?』

「うん……、でも何かが分からない」


 あー、何かモヤモヤムズムズする!

 ルナにしがみつき、ぎゅぎゅぎゅー……


『おい』

「ごめーん、でももふもふさせてー!」


 顔を埋めてスリスリスリスリ……


「はぁ、落ち着く……」


 思う存分スリスリしてたら、突然ルナが人間化した。

 仔犬姿に抱き付いてスリスリしていたら、超絶イケメンに抱き付いてスリスリしている構図に変わった。


「!! ちょ、ちょっと!! 何で人間化!?」

『抱き付くならばこちらでも良いだろう』


 珍しくルナが意地悪くニッと笑った。

 これは……私がルナの人間化に緊張することを分かっててやってるな……。遊ばれてる!


『思う存分抱き付いたら良い』


 今度はルナが抱き締めて来た。ひぃぃい。


「やーめーてー!!」


 力一杯ルナの身体を押した。人間化は力が落ちるって言ってたくせに離れない!

 ムキになっているとオブが割り込んで来た。


『ぼくもいれて~』


 ルナと私の間にひょっこりと顔を出した。

 た、助かった! オブ、ナイス!


『残念だな』


 ルナが頬に口を近付け囁いた。耳に息がかかり思わず耳を押さえた。


「ルナ、何か意地悪になった!?」

『フッ』


 絶対からかってる……もう! オブを抱き締めて後ろを向いた。絶対顔赤くなってるし。

 ディルアスといい、ルナといい、何なのよ!


 ドキドキが過ぎると疲れる。寝よう。

 また明日考えよう……。ん? 考え過ぎてたのを止めてくれた? ルナをチラッと見た。

 ルナは目が合うとフッと笑った。

 ルナには勝てないかも……そう思った。


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