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第五十一話

 応接室だろうか、広い部屋に通された。

 ルナは小型化に戻りゼルは王宮の外に。

 椅子に腰かけゆったりしていると侍女さんがお茶と茶菓子を用意してくれた。


 お茶に少し口を付け、ルナとオブを撫でていると、疲れからかウトウト……。


「ユウ、誰か来る、起きろ」


 ハッとして目を開くとディルアスに寄りかかっていた。


「あ、ごめん!」

「いい、それより誰かが来る」


 慌てて身体を起こしたと同時に扉を叩く音がした。


「どうぞ」


 ディルアスが返事をすると、イグリード殿下が入ってきた。その後ろからはアレンも一緒に。


「少しは休めただろうか?」


 イグリード殿下がこちらに歩きながら聞いて来た。そのまま向かいの椅子に、アレンもその隣に座った。

 侍女さんがお茶を入れ直し部屋から出た。


「ガイアス国王との謁見を終えて来たぞ。お前ら二人にとても感謝されていた。それと……」


 ニッとアレンは笑った。


「禁書庫の閲覧許可も貰ってきたぞ」

「おぉ! さすが、アレン!」

「だろ?」


 自慢気に笑う。釣られて一緒に笑ってしまった。


「勇者について調べたいって? 何でまた勇者のことを?」

「あー、まあそれは……」


 アレンがチラッとこちらを見る。言うべきか……どうしよう……。


「お前らなぁ、こっちの禁書庫まで見たいとか言い出すなら、ちゃんと説明しろ」


 何か口調が……さっきまでと違うような……。唖然としているとそれに気付いたのか、


「あ、さっきまでのは対外的にな、客人に不遜な態度は取れないだろ? こっちが素だからよろしく。アレンとも普通に喋ってるんだろ? じゃあ俺もそれで良いから。敬称もいらないから。めんどくさいし」

「は、はぁ……」

「アハハ、本当にリードはこんな奴だから気にしなくて良いぞ」

「じゃ、じゃあイグリードさん……」

「さん付けもいらん」

「え、じゃあイグリード……」

「あぁ」


 イグリードがフッと笑った。キラキラ王子様って感じだったのに、何か今は腹黒王子……。まあ……良いか……。


「で、何で勇者を調べてるんだ?」

「えっと……それは……」


 言い淀んでいると、見かねたアレンが切り出した。


「ユウは異世界人で、ケシュナの森に倒れていたらしいんだ」

「何!?」


 イグリードは目を見開いた。


「本当か、それ!?」

「あぁ、こんな話、嘘をついてどうする」

「そ、そうか……異世界人……ケシュナの森」


「えっと、それで勇者について色々調べたいな、と思ってたんだけど、エルザイアにはあまり詳しく載っているものがなくて……」

「なるほどな……まだ不確定要素ということか……分かった……存分に調べろ」

「この事は陛下にもまだ内密に頼む」

「分かっている、心配するな」


 納得してくれたようでホッとした。

 調べるならば長期になるだろう、と、泊まる部屋まで用意してくれた。ただしアレンと同じく何か分かれば報告を、という約束で。


 その後夕食だけ共にし、イグリードとは別れた。


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