第四話
鳥のさえずりで目が覚めた。日本にいたときにはありえない起き方だ。
温かくて気持ち良いなぁ、とうっすら目を開けると何かが顔の目の前にあった。
「!!」
慌てて飛び起きるとドラゴンに添い寝されていた。
「起きたか」
ひぃいい、となっているとディルアスに果物らしきものを渡された。
ディルアスは両腕いっぱいに抱えていたその果実をドラゴンの前に置いた。
「見張りありがとうな」
そう言いながらドラゴンを撫でた。
どうやらディルアスが果実を探しに行っている間側で守ってくれていたようだ。
「あ、ありがとう」
ドラゴンに向かってお礼を言ってみた。
そうするとドラゴンも喜んで、かどうかは分からないが、グルウゥと喉を鳴らした。
それを見たディルアスがフッと笑った、ような気がした。
「そいつの名はゼルだ」
ドラゴンの名前を教えてくれた。
ちょっと怖くなくなってきた。よく見れば可愛いかも!
「よろしくね、ゼル」
恐る恐る手を伸ばし撫でてみた。鱗は硬いが喉元の辺りは少し柔らかく温かかった。
ディルアスはそれを眺めながら、果実を食べ出す。ゼルも一声鳴くと同じように自分の前に置かれた果実に口を近付けた。
昨晩と同じくディルアスを真似てかぶりついてみた。甘酸っぱい果実だ。
一息付くとディルアスは荷を片付け、ゼルの背に括り付けた。
ディルアスはゼルの背中に颯爽と乗り上げ、手を伸ばして来た。
乗るのね、もしかして空飛ぶの?
内心ひぃいとなったが、どうしようもないので、ディルアスの手を取った。
グイッと引っ張り上げられ、ディルアス前に座らされる。
二人が背に乗ったことを確認すると、ゼルは翼を大きく広げ羽ばたいた。
砂煙を上げながら、巨体が持ち上げられていく。
持つところがない! と怯えながら身体を強張らせているとディルアスが大丈夫だ、と耳元で囁き背を支えてくれた。
この密着度緊張する! と思ったが、それどころではない。
空高く舞い上がり地面が遥か下に見える。大丈夫と言われても、怖いものは怖い!
目を瞑っていると、フッと風が緩やかになった。
恐る恐る目を開ける。
「保護魔法をかけているから、風もマシになるし、落ちることはない」
後ろから声がした。
なるほど、と納得し周り見回した。落ちることなくても、やはり高さは怖かった。
しかし段々と慣れてくると遠くまでよく見えるのがとても気持ちいい。
ドラゴンに乗って空の旅なんてことを経験する日が来るとは。
しばらく飛んでいると眼下に街らしきものが見えて来た。
「この辺りでは一番大きい街キシュクだ」
ゼルはゆったりと降下していった。