表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/97

第三話

 固いそれは干し肉のようだ。何度も噛んでいくうちに肉の味がしてきた。

 美味いとは言えないがバイト帰りでお腹も空いていたし有難い。


「ディルアスだ。お前はあそこで何をしていた?」


 必死に干し肉を噛っていると声を掛けられた。

 青年はディルアスという名前らしい。

 うん、日本人じゃないよね。

 顔付きが日本人離れしてるもんね。

 何となく日本じゃないことも分かってたし。


「私は日暮由宇、由宇といいます。ほんとに分からないんです。家に帰る途中でいきなり周りが白くなったかと思ったらさっきのあの場所にいたみたいなんです」


 名字から名乗ったが、名字は必要なさそうだな、と思い言い直した。


「何でこんなところにいるんだか……、これからどうしたら良いのか……」


 つぷやくように言ったらディルアスは溜め息を吐いた。


 ディルアスは無表情のまま小さい声で、この世界のことを教えてくれた。

 今いるのはエルザイアという国で、他にも周りに三つの国があり、それぞれの王が支配し魔法や魔物が存在する世界、ということが分かった。


 魔法、魔物……、まさしくアニメやゲームの世界だな。

 何てことを考えていると、ディルアスは明日近くの街に連れて行くと言った。


「ここから一番近くの街に知り合いがいる。そこでしばらく世話になると良い」


 それだけ言うとディルアスは目を瞑り黙ってしまった。

 魔法がどんなものなのか見せてもらいたかったが、あまりうるさくして嫌がられてもな、と思い諦めた。

 ぼんやり空を眺めると満天の星空だった。

 周りに灯りになるものが何もないから日本にいたときには見たこともないような星空だった。

 パチパチと薪の燃える音だけの静寂も心地よかった。

 訳の分からない世界に放り出され不安しかないのに、何だか今は心地よく落ち着く。


 そうやってぼんやりしている間にいつの間にか眠っていたらしい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ