第一話
昔小説を書くのが好きだったので、また書いてみようかと思います。
目が覚めると知らないイケメンに抱えられていた。
日本人よりももっと深くて暗い漆黒の髪と瞳のイケメン。
無表情にこちらを見ていたが、抱えていた人物が目を覚ましたことを確認して口を開いた。
「お前は何だ? こんなところで何をしている?」
何だ? 誰だ? じゃなくて? と、呑気に考えていてからハッとした。
「ここはどこ――――!!!?」
辺り一面に白い花が咲き乱れていた。その花の中に白い石碑のようなものがある。
その石碑の脇に「日暮由宇」は倒れていたようだ。
日暮由宇は日本に住む大学生だった。
その日も特に何てことはない普段通りの日常。朝起きて大学へ行き、友達と他愛ない話をし、バイトに行き夜一人暮らしの部屋へと帰る。
毎日同じことの繰り返し。何もない。見た目も性格もまあ普通。普通の定義もよく分からないが。
ただ最近はつまらなかった。毎日同じことの繰り返しが何だか無性に虚しく感じることが増えてきた。
でもだからと言って何をするでもなく、ダラダラと毎日を過ごしていた。
ただそれだけ。本当にそれだけ。
なのに、突然バイトの帰り道急に周りが光って視界が真っ白になったかと思えば、気付けば見知らぬ土地にいてイケメンに抱かれていた。
叫びたくなる理由も分かってもらいたいところだ。
「ここはケシュナの森だ」
あ、さっきの叫びに応えてくれたのね。
端正な顔立ちに漆黒の髪と瞳の青年が教えてくれたのは、今いる場所の名前だった。
「ケシュナの森は比較的安全な場所だが、だからと言って一人で見張りもなしに昼寝していられるほど呑気な場所でもないと思うが」
上半身を支えていてくれた左腕を離しながら青年は続けた。
「それでお前はここで何をしているんだ?」
訝しげに問う。
「何をしていると言われても、私は何でこんなところにいるんでしょう?」
青年に問われたが、分からない。本当に分からないのだ。
青年は怪訝な顔をしたが、溜め息を吐き立ち上がった。
「あ、あの!」
一人で置いていかれるのは嫌だ。この人物が危険かどうかはこの際今は気にしないほうが得策だ。
「あの、私、何でここにいるかも自分でよく分からなくて、出来ればその、同行させてもらえないかと。」
青年の怪訝な表情に歯切れが悪くなる。
「来い」
青年は一言だけ発して、背を向けて歩き出した。
それを見て慌てて立ち上がり付いて行った。
歩いている間に辺りを見回すと、白い花の群集を抜ければ普通の森になっていた。
白い花の辺りだけポッカリと穴が開いたかのように木々がなかった。
白い花はぼんやりと光っているようにも見え、そこだけ幻想的な雰囲気を醸し出していた。
拙い書き方で読みづらいかもしれませんが、続けて書いていこうかと思いますのでよろしくお願いします。