名も無き埋葬
皆が朝起きてから、下のPUBに向かい、パンとチーズだけの朝食をすませる。
食事毎に、真利亜が浄化の為、疲労婚売になるのが本当に可哀そうであった。
だが、浄化しないと、硬くなったパンにはかびのようなものすら生えている
それを耐え抜くほど、鋼鉄の胃腸を僕らは持たない。
ギィを紹介すると、四者四用の反応を示す。
岬は世界が終わったかのような暗澹たる表情を浮かべ「…宜しくお願いします」とだけ言った。
真利亜は珍しそうにその現地の色男をじいと、観察していてたが一言「ギィさん、前歯欠けてるね」と辛らつに告げる。
倫は「宜しくね、ギィさんと」軽く握手までしていた。
シルフィはどこ吹く風で、パンをぱくぱくと食べている。
こうして、首都ヘルネに向かうまでのパーティではあるが、仲間が一人加わった。
心機一転、ツヴァイシュタイン村から首都ヘルネまでの道を馬車で進む事になった。
馬の操縦はギィとシルフィが行っている。
主要街道とは言え、泥濘がところどころにあり、また四ツ路には例の罪人がさらされているので、快適な旅とは言えなかった。
カラスたちが円陣を組んでいるその真下には大体、死骸が転がっていた。
柔らかい眼球がまず繰りぬかれ、徐々に人間の死体は肉塊と化していく。
ある、四ツ路を通った時、僕達は戦慄をお覚えた。
どう考えても、正装のスーツを着た男であったであろう死骸は、腐敗し、カラスにつつかれている。
僕たちのテンションがガタ落ちし、真利亜やシルフィが精霊とマナの力に寄り、平静を保つようしてくれた。
馬車を停め、その吊るされた遺骸を観察する。
本当にただのサラリーマンがこの網にいれられ吊るされたという態である。
スーツのポケットから、手帳がのぞいていたので、シルフィードの風により、その手帳を地面に落とす。
びっちりと、様々な想い、以前の世界への郷愁、この訳の分からない世界で自分は処刑される事、最後に知恵ちゃん、学…ごめん。俺も神判による審判の日以前に戻りたい旨が書かれ、涙の後と思われる、紙の皺が見られた。
僕も、空を向き、涙の込み上げるのを抑える。
結局、シルフィードの切り裂く力により、その篭を吊るしていた紐を切断し、遺骸を動物が掘り起こさない範囲まで埋葬し、記念に近くの河原から白い綺麗な石を墓標にし、埋葬を終えた。




