再度、ツヴァイシュタイン村
そして2日後、ツヴァイシュタイン村に到着する。
その村に入るやいなか、鈍い光を放つブロードソードが僕の胸の部分に当たる。
かちんという音がし、剣は弾かれた。
この村での以前の経緯は忘れていなかった。
用心に用心を重ね、それでいて何気なく村に入る。
「こ、この野郎。な、なんなんだぁ!」
「まさかファイターでは…」
少しは目先が立ちが経ちそうな男が、後じさりしながら吐き出す。
倫に掌底を食わされた男が、包帯も痛々しく、こん棒を振りかざす。
「うるさいよ」
かきん、という音まではしなかったが、倫の頭部に降り降ろされたこん棒は衝撃で砕けた。
「げっ…!」
「もしかして冒険者なのでは?」
「おいおい、だから俺は嫌だったんだよ…」
おぼえておけという言葉もどこか物寂しく、彼らは全力疾走で三々五々逃げて行った。
シルフィは何事も無かったかのように「それじゃ馬車屋さんと、道中の食糧を買いましょうねー」とのんびりと言う。
不思議に思ったのだが、この世界の文字が、僕達にも読むことが出来た。
これも至高精神とやらの采配なのだろうけれど、便利さよりも全てを支配される嫌悪感が勝った。
シルフィを先頭に、大きな宿屋のような場所にたどり着く。
馬が幾匹も繋がれていたが、どの馬も目から脂を流し、臭いは激しい獣臭がした。
この中から選ぶのかと思うと、気が重くなる。
シルフィは店主と交渉を進めてくれ、ちょいちょいと僕を呼び出し「どの馬さんも健康無比で隣村からの引き合いも来ていると言ってますが、全部嘘ですー。マシな馬を選び、それを浄化し、体力を回復してあげるのが一番、使い勝手の馬を手に入れる手段だと思います」
僕はシルフィの意見を受け入れ、一番健康そうで、目がクリクリとした馬と鼻息が荒い馬、2匹を選んだ。




