試練クリア!
ドラゴンフォシルは形容し難い叫び声をあげる。
まるで、魂にやすりを立てたように、鳥肌が止まらず、汗が湧き出る。
シルフィの守りが功を奏したようだ。
まだ動くことは出来る。
僕よりも倫は早く立ち直り、その骨の翼に剣激を加える。
骨がからりと、散らばった。
ドラゴンフォシルが、もう一方の翼で倫を打とうとする所を、僕は剣で抑える。
倫はドラゴンフォシルの右翼を完全に破壊し終え、左の翼の攻略に掛かった瞬間「お兄さん、攻撃来るよ!」と叫び、僕はそれに答え、マナをドラゴンフォシルが右手のかぎ爪で攻撃されるであろう腹部に集中させる。
衝撃で僕は吹き飛ばされる。
しかし、腹は裂かれておらず、切り傷一つ見えない。
マナによる防御が成功したようだった。
その敵の攻撃に呼応して、倫はその隙を付き、強烈な一撃で、ドラゴンフォシルの左の翼を完全に破壊した。
動きが鈍くなった敵の両かぎ爪の破壊に入る。
ドラゴンフォシルは最後の力を振り絞り、頤を極限まであけ、その内奥からエネルギーの本流が見えた。
強烈なエネルギーそのものの一撃である。
「倫、全身に攻撃来るぞ!」
「OK、お兄さん!」
ドラゴンフォシルの最後の攻撃が着た瞬間、全身にマナを誘導する。
光の中に、僕も倫も溶けて行った。
と、耐え、耐え抜いた。
ドラゴンフォシルは最後のエネルギーの残滓を吐き出した後、からりと自壊し壊れて骨の粉末に還元されていた。
「とりあえずおめでとう」
眼前にはマーリアが立っている。
幼女のようなその顔には、複雑なものが浮かんでいた。
「シルフィ、あんたにしては良い人選だったね」
シルフィは「は、はい!」と慌てる。
「あんた達も良くやったよ、言ってしまえばマナの操作は個人差、能力…生まれついたものが大きいんだ、だから一から修行してもダメなものはダメという結果になる。長い修行をするよりも今みたく短期間で決める方がまだ残酷度が小さいだろう?」
僕は考え考え「それではこれで僕達はファイターという事でしょうか」と尋ねる。
マーリアは「そうだよ、普通の能力の持ち主はここまで到達出来ないからね、後は実践から学びな」と答えた。




