息が詰まる
]僕は3人に内緒で毎日、ガイガーカウンターで放射線値を計測していた。
これが起こる前よりは、やはり上昇していたが、どのくらいが適正値かどうか分からない。
でも、ガイガーカウンターで、赤い塗装がついたDanger(危険)の領域に針が触れていなかったので、大丈夫と自分自身に言い聞かせた。
「あー、春が待ち遠しい! 雪、うざい!」」
真利亜は時折、ヒステリーに陥った。
可愛いものだが、僕も含め他の3人もその気持ちに変わりは無かった。
「雪が解けたらどうする? お兄さん」
倫は問うた。
僕は若干迷いつつ「ここは根拠地として取っておいて、またキャンピングカーで人探しをしようと思う」考えつつ、そう答えた。
「それには春を待たないとね」
と繰り返し付け足すことを忘れない。
みんな家に籠っているのにも限界が来ている。
「ちょっと外散歩しようか」
外には野犬の群れがうろついている危険性を考慮にいれても、外の新鮮な空気を吸わせることも大事だろう。
それにと、僕はポケットにしまった拳銃を撫でる。
いざとなれば野犬程度、空に空砲を打つだけで散るだろう算段もあった。
岬は「大丈夫でしょうか…」と不安げに声を上げる。
他の二人はOKOKと、積極的だ。
そんな必要は無いと説得しても、倫はサブマシンガンを放さない。
「お兄さん甘いね。何があるか分からないよ」
外に出たくてうずうずしていたらしく、真利亜は早く早くとせかす。
数か月は僕がたまに雪はけに外に出ていたくらいで、他の三人は家に閉じこもりっぱなしだ。
気持ちは良く理解出来た。
家のなかで空調の悪い薪ストーブの微細な煙を吸っていると、頭すら痛くなってくる。
外の空気は新鮮であった。




