似たもの同士
岬ちゃんと簡単な昼食兼夕食を摂ると、周囲の家々は闇に飲まれ、黒々とした暗黒が、
窓の外には広がっていた。
僕は正直怖く、まっくらな中、風呂の中で毛布に包まっていると、薬の量がつい増えてしまう。
僕は眠れず、12時を過ぎたであろう頃合いに「岬ちゃん、眠れたかい?」と問うと、すぐに「何だか怖くて眠れません…」
僕は精一杯の胆力を奮い起こして、「もし良かったら一緒に眠るかい?」と言った。
答えは「はい! あの怖くて、夜なのにカラスは泣いているし、虫の声も何だか何時もと
違うような気がして…」
僕は紳士に徹する事をどことはしらぬ神に宣誓し、その晩は二人で狭いシングルベットでの眠りについた。
お互い眠れたのは朝の光がこぼれ始めた頃であったが。
ここで僕たちが住む街の規模を知っていて貰いたい。
政令指定都市よりバスや電車で約50分のひなビタ老人の多い田舎町ではあるが、明治の御代には栄えていたらしく、学術という面では全国的な大学も有する都市という側面もある。
ちなみに、部相応な潰れかけの大規模小売店舗もある。
僕たちはまた軽い朝食を摂ると、街中の探索に出かけた。
まずは徒歩圏内で好かろうという事で、一軒一軒ドアをノックするが、誰も出て来ない。
また、暗黒の夜が訪れることを恐れ、コンビニからライトと電池を失敬し、夜に備えた。
岬ちゃんはまだ僕に慣れていないというか、若干の恐怖感を持って接しているように感じられた。
嫌われるのには慣れているが、この異常事態では、何とか解決するまでは良好な人間関係を保ちたいと思う。
だから同じベットに、顔を背けあいながら、狭いベット故、背中は密着している中で、お互いの近況というか、為人や、学校があったときして来たこと、これからの展望なども話したが、一通り話し終えると、僕たちはどこか似た人間のようにも感じる。
僕は発達障害もあり、人の気持ちを忖度するのが苦手だ。
容姿は小柄ながら、整っていると言ってくれる人もいて、何度か向こうからの告白を受けた事もあるが全て断って来ていた。
そして、僕自身、自身で閉じて行って、大学を終える前に、人生を終えたいとも漠然とではあるが思っていたが、この異常事態に不安はあるが、一抹の関心もあり生き延びようという気になる。
岬ちゃんは資産家の家に生まれ親からの過剰教育に苦しみ、さらに耐えがたい事にその恵まれ容姿を嫉まれ、塾や学校でも浮き気味だったと、小学生とは思えない口調で語り、少し微笑んだ。
そうこうするうちに、眠気は来、明日はどうするかを考えながら眠りについた。