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美少女! サバイバル!!  作者: お茶のみ(初心者晒し中)
見殺し
12/102

募る、不安

ご飯を食べ、眠る準備を済ませると、電池式の電灯を消す。

 

 深淵の闇が広がり、星々が明るく輝いてる。

 夏の大三角形、あ、北斗七星も見える。

 夏の夜空は綺麗だけど、吸い込まれそうな冷たさを感じた。

 岬ちゃんと真利亜も同じ感想を得たらしく「もう寝ませんか?」という岬ちゃんの言葉に同意し、眠りについた。

 

 次の日は少し曇天であった。

 何だか、天気の悪い日は調子が悪い。

 しかし、移動のペースは上がり、その日の午後には政令都市に到着した。

 

 案じていたように町全体が燃え盛っている事も無く、道路には放棄された自動車が散らばり、街中に入ると、かさかさと音を立て、軽いゴミが道路に散らばっている。

 カラスの鳴き声だけが、鋭く響いていた。

 まずは予定どうり、この街を抜け、郊外にある自衛隊の駐屯基地に向かった。

 

 岬ちゃんは窓際から外を見、身を竦ませている。

 以前、行ったように拡声器での残存した人を探す行為は行う。

 反響音に刺激されるのか、カラスが上空を乱舞している。

 真利亜も空中で旋回乱舞するカラスの群れが気持ち悪いのか、視線を上げずゲームに逃避していた。

「岬ちゃん、真利亜、大丈夫かい?」

 岬ちゃんは無理に微笑み「大丈夫です」と告げる。

 真利亜は、「こんな事くらい平気よ」と強気に告げた。

 

 街を進んでいくと、放棄された自動車やゴミで中々進みにくい。

 街中で動いている人工物が僕たちの車だけのこともあり、カラスは兎も角、後ろに付けてくる野犬の群れが不気味であった。

 

 ぽつりぽつりと、雨が降り出す。

 暗澹たる風景を、更に暗くする雨。

 そんな中をゆっくり運転で、街を横断し、郊外へと向かう。

「…何だか不気味」

 真利亜がそう呟く。

「そうですね…人気が無いこういう場所って初めてです」

 僕はあえて陽気に「渋滞が無くて良いよ」とバカみたいなことを言った。

  真利亜はじとっとした視線を飛ばす。

「あんたは良いから前を見て運転していてよ。事故ったらお終いよ」

 岬ちゃんもはらはらするかのように、両手を固く握り結んでいる。

 「はいはい。運転手はおとなしく運転しますよ」

 

 政令都市を抜けたのはその日の午後だった。

 時間的にこれから暗くなるので、自衛隊の基地への侵入は明日にすることになった。

 「こればっかりね最近」レトルトのカレーを口にしながら真利亜は嘆息する。

 「でも美味しいですよ、これ」

 岬ちゃんはフォローするかのように言ってくれるが、確かに食生活は貧弱そのものである。

 

 早急に改善しなくてはならないが、もしかしたらば自衛隊の基地に人が居て、この悪夢のような世界から脱出することが出来るかもしれない。

 砂粒のように淡い願いではあったが。

 その日の夜は、郊外にあるガソリンスタンドで夜を明かした。

 当然、給油は欠かさずに行う。

 暗くなるまでは、3人でトランプやジェンガで遊び、お互いの不安を打ち消しあった。

 暗くなると何もできない。

 電灯を消し、眠りながら朝を待つ。

 岬ちゃんに眠剤を渡し私、僕も自分の分を飲み込み、眠りにつきながら朝を待つ。

 ガソリンを入れ、駐屯所を目指す。


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