隠された封印、お助けシャルちゃん end
今年はあと、幕間を投稿して来年に備えます。
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ザワザワ……ガヤガヤ……
「ミント!こっち応援お願い!」
「分かった!」
「あたしのおすすめは肉だな!」
「エル、肉ばっかりおすすめしない。」
「にゃ〜!忙しいにゃ〜!!」
「は〜い!今行きま〜す!」
「今度私の作った肉じゃが食べない?」
「ベリー!誘惑してないで注文取って!!」
シャルがフランソワとホルンに質問攻めにされてから数日。大酒場は連日、沢山の人で溢れていた。
「繁盛しているでありますなぁ。」
「フィーの嬢ちゃん?俺の記憶が確かなら嬢ちゃんも今臨時で働いてる筈だよな?」
「休息も必要でありますよ?」
「あんたは休み過ぎだよ!!」
カウンターの隅に居座るフィーだったが、常連のボルチに突っ込まれ、更にスカーレットに怒られた。
「くぅ!?こんなに忙しくなるなんてわっち予想外!ホノるるとあの銀髪の魔女は後日説教であります!!」
その嘆きは魔法を使わなくてもシャルの耳に届いた。
(はぁ……ホットプレート、量産されちゃったわ。)
シャルの持っている程ではないが、フランソワの解析によって研究されたホットプレートは瞬く間にホルンの手によって量産され世界中に拡散された。竜の尻尾はその発祥の酒場としてたった1日で有名になり人で溢れていた。
もしこれが“黒の奇術師”作だと明かされるともっと凄い事になるので、これでも抑えられている方らしい。
(……百歩譲って良いとしましょう。でも……)
そう思ってシャルはある人物達の方を向く。
「……成る程。その料理はそうやって味付けを……」
「いやはや、勉強になりますねぇ。」
「これならもっと集客が望めますね!」
「感謝する。」
「…………。」
(どうして料理の指南役までやらないといけないのかしら?あとバッカスさんが、びっくりするくらい喋らないし。)
シャルの料理を観察するのは、オリビアとの訓練を終え、帰って来た男性陣五人。“スコーピオン”、“アレクサンダー”、“シトロン”、“バロン”、大酒場のマスターである“バッカス”。彼等は酒場に戻って来た時、かつてない程の賑わいを見せる大酒場に驚いた。そしてシャルの料理を食べて一言。
「「「「俺達に料理を教えて下さい!!」」」」
「…………。」ペコリ。
(何でかしら?急に何処かに冒険したくなって来たわ。一回全力で行方をくらまそうかな?)
料理を作り方を教えながら、本気で逃げる算段をつけ始めるシャル。彼女が解放されたのはそれからまた二週間後の事だった。




