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隠者のプリンセス  作者: ツバメ
隠された封印、お助けシャルちゃん
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隠された封印、お助けシャルちゃん 21

「これ、誰が作ってるの!?」

「秘密でごぜーますよ。」

「うう、そうだった。でも、こんなに美味しい料理を作れる料理人ってこの国に居たかなぁ?」

「ガネっちは情報通でありましたなぁ。まぁ、ガネッちの情報を持ってしても辿り着くのは不可能でごぜーます。」

「そんなぁ。」



どんなに粘っても情報を明かさないフィーにやきもきするガーネット。そうこうしている内に食事が終わってしまった。



「また来るね?」

「いつでも挑戦しに来るがいい!!」

「「……凄い偉そう。」」



結局なんの成果も得られず帰る三人。



「あ、そうだフィー?」

「なんでありますか?」

「シャルが何処に出掛けたか知らない?今日依頼受けないって言ってた気がするんだけど?」

「ふ〜む?わっちはいつも通り、いってらっしゃいを言ったでごぜーますが、何処をウロウロしているかは知らないでありますよ?」

「そっか〜……一緒に服を見に行こうって誘おうと思ったのに残念。」


(え?行きたい。)



ガーネットの言葉に聞き耳を立てていたシャルは、思わず料理を作る手を止めてしまった。元々料理人は予定になかったので、服をガーネットと見に行きたかった。



「わっちが代わりに行くでありますよ?」

「サボりたいだけだよね?」

「ぬぬ、バレてしまったか……」

「むしろバレないと思ってたの?」

「そろそろ行くぞガーネット。ミント!会計を頼む!」


『は〜い!』



アズライトがミントに声を掛け料金を払う、



「料理美味しかったから、色んな人に声掛けとくね。料理人の人達ってバッカスさん達が戻って来るまでの間だけ居るんだよね?」

「?……そうでごぜーますよ?」

「え、何その間?」

「予定は未定!」

「分からないって事だね。」


人達で首を傾げてしまっただけだが、上手く誤魔化せた。ジュエルナイトの三人はフィーに手を振りつつ帰って行った。



「ふぃ〜。わっち働き者。」

「そう言いながら何で俺の隣の席で寛ぎ出すんだよ?」

「休む事は大切でごぜーますよ?」



ボルチに突っ込まれながらも、だらけるフィー。



カランッ、カランッ、



「ほれ、誰か来たぞ?」

「わっちの接客の役目は最初に終わったで……ぬぬ?……ほほ〜う?」

「どうしたんだ?」



入ってきたのは、淡い青のローブを着た人物だった。それを見たフィーは、また面白い物を見つけたという様な表情をした。



「わっちの出番でありますなぁ!」

「え、もう接客の役目は終わったって言ってなかった?」



カツ、カツ、



「いらっしゃい……ませ?」

「いつもの席空いてる?」

「あっ!はい!どうぞ!……今日は初めて見るローブ着てますね?」

「……新作を貰ってね?誰もまだ気付かないだろうから。」



ライチが謎の青いローブの人物をいつもの席という、奥のカーテンが掛かった部屋に案内して行く



「どうぞ、今メニューを持ってきますね。」

「ありがと。あ、今日からバッカス達が居ないんだっけ?」

「はい、なので代わりの料理人が料理を作ってくれてます。」

「ふ〜ん?誰なの?あたしが知ってる人?」

「すみません。本人の希望で秘密なんです。」

「そうなの。まぁ、料理が美味しければ別に問題無いわ。」

「最高に美味しいです!」

「そ、そうなの?ライチがそんなにおすすめするなら大丈夫そうね。」



青いローブの人物は、ライチの勢いに押されながらも、メニューを待つ事にした。



シャッ!



「大将、やってる?」

「フィー!?というか何その入り方?」

「ちょっと斬新なアプローチを仕掛けようかと思ったでごぜーますよ。それにしても、リナッち。何でそんなにコソコソしているでありますか?」

「たまには騒がれずにゆっくり食べたいのよ。フィーは……何その可愛い衣装。」

「リナッちストップ!?スイッチが入り掛けているでごぜーますよ!?」

「はっ!?あたしは何を!?あ、それ今度あたしに頂戴?」

「駄目でごぜーます!一張羅、一張羅でありますよ!」

「“いっちょうら”って何?じゃあ、似たので良いから作って?もしくはフランソワに丸投げして?」

「両方嫌でごぜーます!!」



(このやり取りって、絶対に外に漏れてるわよね?)



一応個室なのだが、リナリーとフィーの声が大き過ぎて外に声が漏れていた。だが、優秀な冒険者達は聞いていない振りをして、優雅に悶絶しながら食事を楽しんでいた。と言うより、料理が美味しくて、そっちに夢中になっていて気が付いていなかった。

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