隠された封印、お助けシャルちゃん 20
「注文はどうします?」
「ああ、いつも通り……って、バッカスさん達いないんだったな。」
「あ、でも、いつもの料理も用意出来ますよ。」
「そうなのか?じゃあ、いつものやつで。」
「はい、かしこました!フィーちゃん。この紙を厨房に宜しく。」
「かしこまりであります!」
◆
ズサーッ!
「ダイナミック入店!!」
「え、止めて?ホコリが立つでしょ?」
「怒られた!?」
「注文?」
「そうであります!いつもの料理!」
「いつものって、どんな……ああ、この紙に書いてある料理を作れば良いのね?」
「イエス!マム!」
「私はいつフィーのお母さんになったのかしら?」
内容の無いやり取りをしながら、紙に書かれている料理の準備を始めるシャル。
「ちなみに注文したのは、アズッち、ラピッち、ガネッちでごぜーますよ。」
「え、そうなんだ。バレないようにしないとね。」
「頑張ってー。」
「……びっくりするくらい心が込もってない応援ね。」
フィーのいつもの応援する気ゼロの応援を聞きつつ、肉を焼き、サラダを作り、軽い炒め物を作り、焼きたてのパンを用意するシャル。
「はい、出来た。」
「いつも思うでごぜーますが、絶対に魔法で時短しているでありますよね?」
「早く作れないと一人じゃ捌けないからね。」
「わっちとシャル様だけの時も?」
「ああ、それは魔法の練習も兼ねてかな?私まだ魔法を自在に使えてないのよね。だから、日常的にほぼ無意識で自在に使える様にしたいから使ってるの。」
「……なん……ですと?」
なんだかとんでもない事を口走っているシャルに対して、口を大きく開け驚くフィー。内心これ以上チートになってどうする気なんだと突っ込んでいた。
「じゃあ料理宜しくね?」
「かしこまりであります!」
◆
「料理を持ってきたであります!」
「「「え?何処に?」」」
手ぶらでジュエルナイトの所にやって来たフィーに対して突っ込む三人。
「ちゃらら〜ら♪ちゃららら〜ら♪」
「急に歌い始めたぞ!?」
「え?何処からその布出したの?」
「布を急にテーブルに掛け始めた!?」
何も説明せずに急に布を取り出したフィーが、歌を歌いながらテーブルに布を掛け始めた。
「はい!!」
バサッ!
「「「りょ、料理が出てきた!?」」」
マジック風に料理を出して見事三人を驚かせたフィー。
「ふふん、どうでごぜーます?」
「あ、いや。収納魔法の込もった魔導具から出したんだろ?」
「つい、フィーちゃんに合わせたけど。予想は出来たわ。」
「面白かったよ。」
「くぅ!?これだから魔法の世界は!!」
ただフィーのおふざけに付き合ってくれていただけだと分かると、理不尽にこの魔法の世界に文句を言った。
「にしても、美味そうだな?」
「早く食べよう!」
「スカーレットさんが臨時で雇った料理人達って相当腕が良いのね。」
一人で用意したとは思わなかったのか、ラピスは料理人が複数いると思っていた。
「召し上がれ、でごぜーます!」
カチャ、カチャ… …
「な!?」
「え!?」
「んん!?」
「「「凄く美味しい!!?」」」
想像以上の美味しさに思わず叫ぶ三人。他のテーブルでも美味しいとは言っていたが、まさかここまで美味しいとは思っていなかった。
「おいおい、何で肉がこんなに柔らかいんだ?いつもと同じ肉だよな?肉汁も凄いぞ?」
「野菜の盛り合わせも凄く美味しいわ。この野菜に掛かっているソースって何なのかしら?」
「パンも美味しい!フワフワ!すっごいフワフワ!!」
ガツガツ!ガツガツ!
「おぅ、素晴らしいがっつき具合。」
あまりの美味しさに、もの凄い勢いで食べ始める三人。その勢いを側で見ていたフィーは素直な感想を漏らす。




