隠された封印、お助けシャルちゃん 19
「よし、食うか。」
「じゃあ、わっちは飽きたからそろそろ厨房に戻るでごぜーます。」
「飽きた……だと?」
悲しい宣告を受けながらも、食事に手をつけ始めるボルチ。
「どれどれ……スープと……こ、このパン!?フワフワだ!?」
今まで持ったどのパンよりもフワフワのパンに驚きながらも、一口食べる。
「んん!?」
ガッ!ガツガツ!
「うぐっ!?」
ガッ!ゴクッ、
「んんんん!?」
ゴクゴク、ガツガツ!ゴク……、
「ぷはぁ〜!!何だこれ!?めちゃくちゃ美味いぞ!?」
パンを食べ、その美味しさに驚き更に食べ、途中喉に詰まり掛けてボルシチの汁を飲んだら美味しくて飲み続け、具を食べ尽くした。
「パンがフワフワで甘みがあって、噛めば噛む程味が口の中に広がっていく……しかもこのスープ。ただ煮込むだけじゃ絶対に出せない深みがあって、全ての材料がそれぞれの味を引き出して一切邪魔をしていない。こんな上等な食事、初めて食べたぞ?」
(あれ?何か急に解説が始まったわ。)
ちなみに今ボルチは一人で、周りには誰もおらず。シャルが聞き耳を立てているだけなのだが、料理の感想を恥ずかしげも無く呟いていた。
『な、何だこの料理は!?美味すぎる!?』
『おいおい!いつも美味かったけど、今日の料理はその更に上をいくぞ!?』
『バッカスさん達が居ないって聞いたけど、一体誰がこんなに美味しい料理を作ってるのかしら?』
(他の所でも皆美味しいって言ってくれてる……良かった。)
ボルチの料理も作っていたが、他の客の料理も作っていたシャル。所々で美味しいという感想が聞こえ、凄く嬉しかった。
「スカーレットさん!この料理は誰が作ってるんだ!?」
「悪いけど本人の希望という事で秘密だよ。もし秘密を探ろうとしたら容赦なくシメるからね。」
「物騒!? 」
ボルチが思わずスカーレットに料理人の事を聞いたが秘密にされ、脅された。
カランカランッ、
「「「「「いらっしゃいませ〜!!」」」」」
「おはよう。」
「あ、アズライトさん!ラピスさんにガーネットちゃんもいらっしゃい!」
「おはようミント。」
「おはよ!ミントさん!」
ジュエルナイトの三人が朝食を食べに来店した。
「今日からバッカスさん達がいないって聞いたけど、大丈夫なのか?」
「うん! 凄腕の料理人が来てくれたから!」
「「「凄腕の料理人?」」」
正直三人はバッカス達料理人勢がいない事を聞いて心配で来てみたのだが、凄腕の料理人と聞いて首を傾げた。
「誰なの?」
「ごめんなさい。本人の希望で秘密なんです。」
「えっ、気になる!」
「ごめんねガーネットちゃん。秘密を探ろうとするとシメる必要が出てくるから。」
「「「物騒!?」」」
ミントの口からシメるという言葉が出てきて驚く三人。むしろそんな事を言われると気になってしまうが、それ以上は何も言えなくなった。
「わっち、推参!」
「あっ、フィー!?何その可愛い衣装!?」
「手作りでごぜーますよ。」
何やら面白そうな人が入ってきた気配を感じたフィーが瞬時にアズライト達の前に現れた。
「何でフィーちゃんが?」
「……タダだと思って食べた料理がタダじゃ無かったでありますよ。」
「…ああ、食べた分働いてるんだ……あれ?でも、シャルが稼いでるから払えないなんて事ないよね?」
「シャル様から直接告げられたでありますよ。」
「「「……ああ。」」」
おそらく察した内容は違っているが、だいだいフィーならそんな状況になりかねないと納得してしまう三人だった。




