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隠者のプリンセス  作者: ツバメ
隠された封印、お助けシャルちゃん
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隠された封印、お助けシャルちゃん 10

遅くなりました。明日明後日は休みなので落ち着いて続きが書けます。更新は月曜を予定してます。

 ◆◆◆◆


「……ねぇ?私がオリビアを説得すれば済む話だったんじゃないかな?」

「えっ、こんなに面白そうな……いえいえ!ここはシャル様の腕前を披露するチャンスでありますよ!」

「今本音が聞こえたわよ。あと、目立ちたく無いんだけど?」

「手遅れでごぜーます!そろそろ諦めるでありますよ?」

「……もう。」


 屋敷に帰ってきたら、フィーに緊急事態だと言われて付いてきてみれば、何故か大酒場の料理番をする事になったシャル。今シャルは開店前の大酒場に来ており、厨房の中にいた。ちなみにバッカス達男勢はすでに旅立っている。


「シャル、あんたも苦労してるねぇ。」

「スカーレットさん。」


 スカーレットが同情する様な表情でシャルを労ってくれた。


「しかし本人を前にこんな事を言うのは失礼かもしれないけど……シャルは料理が出来るのかい?噂通りなら、料理も出来ない気がするけど。」

「実は出来るんです。ちなみに噂って、世間知らずって噂ですか?」

「ああ、いや……まぁ貴族の箱入お嬢様って噂がね。」

「箱入お嬢様って……」

「隠しきれない気品が溢れ出しているでごぜーますから、必然でありますな。」

「前から気になってたけど、何処から気品が溢れて出ているの?」

「「全部。」」

「ええ……スカーレットさんまで。」


 本人に自覚が無いのは何時もの事だが、シャルの所作は非常に綺麗なので、育ちが良い事は一目瞭然だった。


「それで?一応フィーの紹介だし、シャルだから審査はするけど、何が作れるんだい?うちの従業員達にも審査してもらうから予め聞いておきたいんだけど。」

「材料さえあれば大抵の物は作れます。」

「大抵の物……じゃあ、こっちから食べたい料理を希望するから、それで作ってくれるかい?」

「はい。」

「よし……皆!集合!!」


「「「「「は〜い!!」」」」」


 女性達の返事が聞こえたかと思うと、七人の女性が入って来た。


「じゃあ、ミントから順番に挨拶しな。」

「はい!わっかりました!どうもシャルちゃん。“ミント”です!久しぶり!」

「お久しぶりです。ミントさん。」


 明るい声と共にミントが挨拶した。ミントは一番最初に接客してくれた従業員で、話によるとこの大酒場で一番最初に採用されたらしい。淡い緑の髪を編み込んでいて、明るく爽やかな印象の女性だ。


「次は私だね。“ライチ”です。宜しくねシャルちゃん。」

「宜しくお願いします。」


 次に挨拶をしてくれたのが“ライチ”。淡いピンクの髪のボブショートで、ホルンと同じで兎人族であり、うさ耳がある。落ち着いた印象の女性だ。


「あたしは“エル”。宜しくね。」

「はい、宜しくお願いします。」


 続いて“エル”。スカーレットさんと似た赤い髪のツインテールで、魔族だそうだ。妖艶だが幼い印象がある女性。


「ウチは“アップル”!宜しく!」

「宜しくお願いします。」


 “アップル”。黄色い髪を上で編み込んでいる。コリンと同じハーフエルフだそうだ。非常に明るい印象の女性だ。


「私は“モカ”。宜しくね。」

「宜しくお願いします。」


 “モカ”。琥珀色の髪色でポニーテール。犬人族の女性で、落ち着いた雰囲気がある。


「私は“ベリー”。分からない事があったら気軽に聞いてね?」

「はい、分かりました。宜しくお願いします。」


 “ベリー”。紫色の髪色でストレートヘアー。エルと同じ魔族だそうだ。大人びた印象でかなり妖艶である。


「最後だにゃ!“ピニャ”にゃ!宜しくにゃ!!」

「よ、宜しくお願いします。」


 最後が“ピニャ”。白い髪色のショートヘアー。かなり明るい印象で、たまに見かける語尾に“にゃ”が付くタイプの猫人族の女性だ。


「おぉ〜、美女が勢揃いでありすなぁ。」

「あんたはいつも見かけてるだろ?うちの看板娘達だからね。あたいがしっかりと面接した七人を採用したのさ。」

「アイドルオタクみたいな冒険者をたまに見かけるのは、完全に彼女達の所為でごぜーますな。」

「“あいどるおたく”ていうのはよく分からないけど、あの子達目当てに来る客は後を絶たないね。」


 竜の尻尾ドラゴンテイルで働く七人の看板娘。髪色もそれぞれで違い、並ぶとアイドルグールプの様だった。


「さて、シャル。早速だけど料理を作ってもらうよ。」

「はい、準備します。何を作れば良いんですか?」


 シャルの問い掛けに全員が考えた後。


「そうだね、あたいはお酒のつまみになる様な簡単な料理を。」

「えっと……私は爽やかな料理を!」」

「私は健康に良さそうな料理を。」

「あたしは、肉料理だね。」

「ウチは甘いお菓子!」

「私は心が落ち着く料理を。」

「私は男の人が好きそうな料理を。」

「ピニャの舌が火傷しない温かい料理を!!」


「「「「「宜しく!」」」」」


「分かりました。今から準備しますね?」


 割と色んな種類の料理を希望されたので、気合いを入れて準備をしないとなと思うシャル。


「わっちはスイーツを!!」

「フィーの分は作らないわよ?」

「なして!?」

「家でいつでも食べられるじゃない。」

「こういう場所で食べるからこそ、いつもと違った味覚と感覚が楽しめるでごぜーますよ!是非に!是非に!!」

「……ひ、必死ね。」

「作ってあげな、多分作らない方が後でうるさくなるから。」

「スカーレットさんがそう言うなら。」

「やった〜!!」


 という訳で、フィーの分も含めて九人分の料理を作る事になった。

青の薔薇全員集合に比べたら、七人の設定を考えるのは苦でも何でもありません。

名前は被らない様に気を付けていますが、被っていたらごめんなさい。

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