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隠者のプリンセス  作者: ツバメ
隠された封印、お助けシャルちゃん
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隠された封印、お助けシャルちゃん 9

先週は全くでしたが、何故か今週も忙しいので、無理の無い範囲で更新します。

さて、ストーリー的には進みますが、割とはっちゃけて書くので、無駄にテンションが高い所があります。ギャグ系という事でここは一つ。

 ──此処は大都市“ブルーマリン”にある大酒場“竜の尻尾ドラゴンテイル”。今日もこの酒場は人で賑わっていた。美味しいお酒に美味しい食事、店員も美人揃いで愛想が良い。更にはイケメンもいるから尚賑わう。



「ふんふんふ〜ん♪」



 ──そんな大酒場に一人の妖精が来店した。



 カラン、カラン、


「「「「「いらっしゃいませ〜!!」」」」」


「うむうむ!くるしゅうないぞ!!」

「あ、フィーちゃん!いらっしゃい!」


 フィーは最近、シャルが出掛けている時に大酒場に食事に行き、定期的に通っている。そんなフィーを迎えてくれたのは、大酒場で一番初めに雇用されたミントである。


「今日もカウンターに座る?」

「よしなに!」

「いつも通りね。」


 彼女は高確率でフィーが来店する時に対応しているので、口調に突っ込む事もなくスムーズに席へと案内しようとする。


「ミンミンは、わっちの事が好きなのでごぜーますか?此処に来るといつもミンミンが出迎えてくれるであります。」

「偶然なのよ?フィーちゃんの事は一人の友人として好きだけど、どっちかと言うと、フィーちゃんが私の事が好きなんじゃないかって思うくらいよ?」

「相思相愛でありますなぁ!」

「ふふふ。」


『いつまでそこで漫才してるんだい!早くカウンターに行きな!』


 フィーとミントが立ち話をしていると、奥からスカーレットの怒鳴り声が聞こえたかと思うと、二人の前にスカーレットが現れた。


「は、はい!スカーレットさん!」

「おお!レトレト!」

「フィー……レトレトはやめてくれないかい?」

「ふっ、それは出来ねぇ相談よぉ。」

「今日は一段と様子がおかしいねぇ。」


 今日のフィーは、昨日の夜。シャルと一緒に時代劇の映画鑑賞をしたので、一時的に気分がちょっと古風になっていた。


「ほら、フィーはあたいが連れていくから、ミントはあっちのお客の対応しておくれ。」

「わっかりました!」

「では、ミンミン!また会おう!!」

「またねフィーちゃん!」


 フィーはスカーレットに連れられ、カウンター席にやって来た。


「今日はどうするんだい?」

「……ふっ、オレンジな果実をロックで。」

「オレンジジュースだね。」

「そうでごぜーます!!」

「……最初からそう言いな。」


 少し待った後、スカーレットがオレンジジュースを持ってきた。


「コクコク……ぷっはぁ〜!生き返るでごぜーますなぁ!」

「年寄り臭いねぇ。」

「良いんでありますよ、レトレト。」


 フィーは脚をプラプラとさせながら世間話をしようとした……が、



「……ふぅ。」



 スカーレットがいつもより元気が無いのが気になった。


「レトレト?何かあったでごぜーますか?いつもの姐御肌はどうしたであります?」

「いつものって何だい?……まぁ、聞いとくれよフィー。」

「ふ〜む?」


 彼女は元気が無い理由を話始めた。


「今度うちの旦那と従業員の男共が、姫様の訓練相手に指名されてね。」

「訓練相手?」


 スカーレットは困った表情で語り始めた。


「うちの旦那とあたいが、元王国騎士なのは前に話したわよね?」

「聞いたでありますよ?」

「実は此処で働いてる男共は皆元王国騎士でね?料理やお酒が好きな連中が集まってるんだよ。」

「何と!?」

「で、最近姫様が訓練方法を変えたって話を聞いてね。元々激しい訓練だったのが、優しい訓練に変わったって話を聞いて、旦那もあたいも気になってたんだけど。王都に立ち寄った時に旦那が直接聞いたらしいだよ、そしたら……」

「そしたら?」

「『ほう、王国騎士を辞めても訓練を欲するとは騎士の鑑じゃな!やはり訓練は必要じゃな!良かろう!妾が直々に指導するぞ!!』って、今度旦那と男共が全員王国に一週間ちょっと訓練に行く事になったんだよ。」

「なな何と!?」


 オリビア王女には会った事は無いが、シャルから特徴を聞いていたので、容易にそのシーンが想像出来た。


「困った事にこの大酒場で大人数相手に料理出来るのがあたい一人くらいでね。人手が足りないんだよ。ミント達は接客で手一杯だし。あたいはお酒を振る舞うか料理を作るかどっちかに絞らないと対応が出来そうになくてね。」

「成る程。非常に困った事態でごぜーますね?」

「そうなんだよ。今から人を雇うにしても、料理が上手くて大人数を捌ける腕前の人間なんてそうそういないし。うちは信用もないと厳しいからね。ちょっとでも客の機嫌を損ねたら竜の尻尾ドラゴンテイルの名折れだしね。」

「ふむふむ?」

「どうにかなんないものかね。」


 非常に困った表情でスカーレットは天を仰ぐ。


「……何処かにいないかねぇ。料理が上手くて、大人数捌ける腕前を持ってて、信用がある従業員。」

「……はっ!?」


 そして、小さく呟いたその言葉聞いて、フィーは閃いた。


「レトレト!任せるでごぜーますよ!!」

「何をだい?」


 フィーは自信たっぷりの表情でカウンターに両手を付けてスカーレットに近付くと、


「希望にピッタリ会う最高の人物がいるであ〜りますよ!!」

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