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隠者のプリンセス  作者: ツバメ
隠された封印、お助けシャルちゃん
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隠された封印、お助けシャルちゃん 6

【質問の時間は後にします。生命体、コアに魔力を注いで下サイ。】

「分かったわ。何処にあるの?」


 色々と質問したい所だが、機械音声がコアに魔力を注ぐ事を急かした。何処にあるのかを聞くと、



 ガコンッ!ゴゴゴゴ!


【これデス。】

「隠してたのね。」

【万が一を考えての設計です。これに魔力を注げば第一の封印は本来の機能を取り戻しマス。】

「ハウス・コアと同じ様な仕組みでごぜーますね。」


 大きな音と共に、ハウス・コアに似た宝玉が台座に乗って出てきた。シャルはその宝玉に近付いた。


「これに注げば良いのね?」

【肯定、魔力枯渇に注意して下サイ。】

「分かったわ……ちなみに、私はアルスさんと同じ魔力を持っているから、問題無いと思うけど、他の人でも出来るの?」

【可能です。しかし、500年の穴を埋める程の魔力を持つのは、“エンド”と呼ばれる古龍だけでしょう。他の個体では死に至りマス。】

「そう……いずれ、その古龍には会いに行かないとね。500年間寝ているみたいだし。」

「わっちは会った事が無いでごぜーますが、相当ノリが良いと聞いているでありますよ?」

「……そう、会った途端手合わせで戦う事は無いわよね?」

【覚悟はした方が良いでショウ。】

「……急に会いたくなくなってきた。」


 古龍、エンシェントドラゴンの事は今は考えるのを止めた。


「じゃあ、注ぐわ。」

「シャル様なら大丈夫だとは思うでごぜーますが、気を付けるでありますよ。」

【では、宜しくお願いしマス。】


 シャルは、宝玉に向かって手を伸ばした。



 ヴォン!……ジジジジ……ギュイーン!!



(凄いわね。屋敷の時とは比較にならない速度で魔力が吸い上げられている気がするわ。)


 凄まじい音と共にシャルから魔力が吸い上げられていく、魔力の残量に関しては今まで底を感じた事は無いが、それでも尋常じゃない魔力が吸い上げられている事が分かる。


【魔力充填開始。経過を報告……想定を遥かに超える質、量の魔力を観測。】


「……シャル様、何か神々しいでごぜーますよ?」

「そうなの?自分だとよく分からないわ。」


【生命体の健康状態を計測…………一切の変動無シ。】



 ギュイィィーーン!!



「シャル様?さっきからとんでもない音が鳴っているでごぜーますが、何ともないんでありますか?」

「ええ、特には。」


【生命体の魔力量について考察…………結果が出ました。世界から魔力を吸い上げ即座・・に自身の魔力に変換している模様、魔力の枯渇の条件は世界から魔力が消滅するのみ。よって生命体の魔力は半無限。】


「このチート持ちが!っでごぜーます!!」

「まさかまた同じ事をフィーに言われるとは……それって普通じゃないのね?」


【肯定。本来魔力はその者が持つ器によって変動します。鍛えれば増え、鍛えなければ衰える。そして魔力には底があり、尽きれば時間をかけて徐々に回復するものです。回復条件は世界から少しずつ吸収する。決して即座に変換して使用出来るのものではありません。マスターの魔力量も多かったですが、貴方程異常ではありまセン。】


「シャル様?もうヒューマンの枠には収まらない位置に居るのでは?」

「私も自分がどんな存在なのか疑いたくなるわ。でも、ヒューマンよ?絶対にそうよ?」

「…………。」


【魔力の充填を継続。】


「フィー、せめて何か言って?それと貴方も無視しないで?」

「とりあえずわっちはシャル様の味方でごぜーます。」

「……ありがと。」


 雑談をしながらも、魔力の充填は続いていく、


「今の内に登録を済ませてくれる?」

【分かりました。お名前を。】

「シャルよ。」

【シャル様……他にお名前ハ?】

「言った方が良いの?」

【否定。必要はありませんが、別の件で必要なデータデス。】

「別のデータ?」

【貴方とマスターとの関連性デス。】

「それで分かるなら良いけど、“シャリーゼ・ログ・アーランド”。この世界での本名よ。」

【この世界?】

「私はアルスさんと同じ転生者だから。」

【……ありがとうございます。良いデータが揃いました。いつか、確証が得られたら報告致しマス。】

「ええ、楽しみにしてるわ。」



 〜数一時間後〜



「まだ、なの?」



 カチャ、



「わっち、ティータイムを楽しみたくなってきたであります。」

「もう楽しんでるわよね?今、私割と重要な事してるのよ?」

【確かに重要ですが、時間は有限ですノデ。】

「貴方感情が無いとか言っときながら、意外と人間臭い事言ってるわよ?」

【マスターによるプログラムデス。】

「……うう、暇よ。」


 シャルはかれこれ一時間魔力を注いでいた。機械音声が言うには後少しらしいのだが、流石に暇を持て余していた。


「質問タイムで質問していたではあーりませんか?」

「それを踏まえても、時間が掛かり過ぎている気がするわ。」


 シャルとフィーは、機械音声に色々と質問していた。アルスが何故封印を大陸ごとに分けたのか、他の封印の状況など色々と。だが、質問を沢山して時間が経っても充填が終わらなかったので、シャルが愚痴を言った。


【質問による解答。500年分の失った魔力を充填。後に封印の本来の機能を取り戻す為の充填が500年持つ量を超え充填中。】


「……それってもういつ魔力の充填を終えても問題無いって事?」

【肯定。】

「……ちなみに、いつから?」

【約30分……】

「……そう。」


 機械音声が言い切る前にシャルは宝玉から手を離した。


「フルー大陸の封印が完全に機能するには、他の封印にも直接魔力を注ぐ必要があるんでしょ?」

【肯定。】

「シャル様、気持ちは分かるでごぜーますが、多い事に越したことは無いでありますよ?」

「分かってるわ……でも、もう此処は大丈夫よね?」

【肯定。第一の封印は、本来の機能をフルに発揮出来ます。これより、リース大陸、及び周辺の海域の黒き神の力を集め、フルー大陸へと送りマス。】



 ズズズズズズッ!!



 激しい音と共に、黒い球体が波を打つ。みるみる内に黒い球体が小さくなり、消えていく。


「おお、消えていくでごぜーます。」

「……もしかして爆発寸前だったの?」


【否定、定期的に送っているだけです。ここ数年は集めきれずリース大陸に黒き神の力が発生していました。しかし、魔力が充填した事によりこのリース大陸では黒き魔物は今後フルー大陸の封印が解けるまで現れません。推定、十数年。】


「リース大陸の脅威は去ったけど、それでも延命したってだけなのね。」

「一刻も早く、他の大陸も魔力を充填するしかないでありますな。」

「ええ。」


【第二、第三の封印でもお待ちしていマス。】


 第一の封印の魔力充填は終わった。シャルとフィーは一段落していると、



 ゴゴゴゴッ!



「え?」

「なんでごぜーますか?」


【これは……】


 宝玉の台座の近くに、石碑の様な物が現れた。

質問タイムの内容は幕間にてやる予定です。

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