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隠者のプリンセス  作者: ツバメ
隠された封印、お助けシャルちゃん
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隠された封印、お助けシャルちゃん 5

おはようございます。寝落ちしました。

 ◆◆◆◆



「一本道ね。」

「一本道でごぜーます。しかもこの道の形態から言って、円を描くように歩く仕様でありますな。」


 銀色のドームに入った二人。通路は一つしかなく、構造上円を描く様に進む道になっていた。


「思ったよりもあっさり入れた気がするんだけど。」

「意外とセキリュティが甘いので……」

【この建物は、マスターの全ての英知(・・・・・)を結集して造られた。マスターの言葉を借りるのであれば、『一切自重しない鬼畜システム』を採用していマス。】

「「何そのシステム!?」」

【今回、フィーネリア様と思わしき存在がいた為、審査を致しましたが、フィーネリア様が居なければ問答無用で追い返し、この世界に害を為す存在と認定されればその存在を抹消していました。運が良かったでスネ。】

「わっち、意外と貢献してる!?」

「本当に運が良かったのね。」


 建物の中に入っても機械音声は応えてくれた。その内容は物騒極まりないが、


【奥へと進んで下さい。封印へのアクセスは許可しましたが登録が完了していません。】

「この場で出来ないの?」

【物事には様式美がありマス。】

「……出来るけどやらないのね?」


 仕方がないので奥へと進む二人、


「……この通路、一見ただの通路に見えるけどよく見たら魔法の術式が刻まれているのね。」

「わっちには見えないでありますよ?」

【解、非常に高度な隠蔽技術によって隠されています。理論上マスター以外見えない筈ですが……推測、同じ魔力を所有している事により無効化している可能性。】

「それが濃厚そうね。」

「そうでありますな。」


 ただ歩くだけなのも退屈なので、機械音声に質問をする事にした。


「貴方の名前は?」

【ありません。私は封印を管理するシステム。感情移入は不要の存在。その役目を終える時まで使命を全うするノミ。】

「寂しくないでごぜーます?」

【感情に関するシステムは存在しません。データを元に最適解を答えるノミ。】

「何が封印されているの?」

【最奥に着いた際にお伝えしマス。】

「わっちは何で入室の許可が降りていなかったでごぜーますか?」

【フィーネリア様は最重要存在。守るべき対象として指定。封印に関われば危険は避けられない為拒否しました。】

「どうして許可してくれたでありますか?」

【特例存在が現れた事、フィーネリア様が深く関わっていた事。封印が弱まり、世界に闇が完全に解き放たれる可能性があった為、緊急性を上げ対応しまシタ。】

「…………ねぇ?それってかなり不味い状況じゃ……」

【肯定。封印が完全に解けるまで十年(・・)を切っていました。】

「「…………。」」


 のほほんとしたやり取りでさらりと重要な事を告げられ黙る二人。さっきまでと違い真剣な雰囲気が漂っていた。


「封印の力を戻す事は可能?」

【奥にあるコアに魔力を注げば、少しの間は持つでしょう、但し完全に力を戻すには他の二つの封印のコアにも直接魔力を注ぐ必要がありマス。】

「そう……奥に着けば詳しく話してくれるのよね?」

【全てではありませんがお話しマス。】

「行くしかないでごぜーます。」


 これ以上は此処では聞いても答えてくれそうにも無いので、更に奥に進む二人。


「この扉の奥が?」

【どうぞお入り下サイ。】



 プシュー、ギギギギッ!



 空気の抜けるような音と共に扉が開く、そこには……


「……これは。」

「……なんて禍々しい。」


【あれこそこがリース大陸、及び周辺の海域に蔓延する『黒き神の力』を集めたものデス。】


 二人の目の前には、重厚でクリアな円柱中にある不思議な形をした大きな円形の台座の上に、漆黒で巨大な禍々しい球体が浮かんでいた。


「『黒き神の力』……か、集めてどうするの?」

【封印の地へ送られマス。】

「封印の地でごぜーますか?」

【肯定。此処はリース大陸から黒き神の力を集め、厳重に保管、及び封印の地へ送るパイプライン。そして封印を成立させる為の重要な封印の柱の一つデス。封印の力が弱まり、本来の力が発揮出来なかった為、過去そして今なお、リース大陸にその力のほんの一部が解き放たれまシタ。】

「……なるほどね。」


 あれでも序の口だった事にも驚きだが、この封印を造ったアルスは想像を絶する労力を費やしたに違いない、


「残りの封印の柱は何処にあるの?」

【竜の国がある“ネオ大陸”、魔の国がある“ウォット大陸”にあります。どちらも約500年間、封印を施したマスター以外敵も含めて誰も接触していません。】

「封印の地は何処にあるでごぜーますか?こんな禍々しいものを一体何処に閉じ込めているでありますか?」

【……秘匿事項……と本来は答えますが、緊急性が高い状況なのでお伝えしマス。】


 機械音声は、少し間を空けると答えた。


【忘れられし地、“フルー大陸”に黒き神ごと・・・・・封印していマス。】

「「フルー大陸?」」


 聞き覚えの無い大陸の名前に首を傾げる二人。


「……待つでごぜーます?わっちはこの世界の大陸名くらい全部知っているでごぜーますよ?“ネオ大陸”、“ウォット大陸”、“リース大陸”。これが世界にある巨大な大陸であり、全てありますよ?“フルー大陸”なんて聞いた事が無いでありますよ?」

【無理もありまセン。】


 疑問を投げ掛けるフィーに対して機械音声は答える。


【“フルー大陸”は、マスターの全ての力を使って隠され、その記憶・・すら世界から抹消した大陸ですカラ。例え、この封印の柱を見付ける事が出来ても、“フルー大陸”は生命体、貴方でも不可能です。】

「な?!」

「……そんな事が可能なの?」

【肯定、マスターの全ての力を使う事で可能となりまシタ。】


 忘れられし地“フルー大陸”。そこに、黒き神は封印されている。

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