隠された封印、お助けシャルちゃん 3
「あ、見えた?良かったわ。正直ね、闇ギルドに乗り込む時私だけこの景色が見えていたから、不思議に思ってたの。」
「なら、わっちがあたふたしていたのをシャル様は……」
「何してるんだろう?って。」
「お恥ずかしい!!」
「え、えっと、大丈夫よ?闇ギルドに乗り込む時、皆フィーみたいだったから……」
「尚更でごぜーますよ!?」
フィーは手を繋いだまま、空いている片方の手で恥ずかしそうに顔を隠した。
「で、フィー。あの銀色のドームは何だと思う?私気配を探るのは得意何だけど、あのドームの中の気配が読めないのよね。」
「ふ〜む?わっちの予想では、死霊術士の封印を維持する装置?」
「それにしては大き過ぎる気がするの。」
「ふむふむ?これは近付いて確かめる必要がありますな。」
「うん、行きましょう。」
シャルとフィーは、銀色のドームに近付いていく。
◆◆◆◆
「……私思うの。前世でUFOって言われたら、そうかもって答えても良いくらい謎めいてるわ。」
「……わっちも同意でごぜーます。」
銀色のドームの側に近付いた二人、前世にあるドームの3個分だろうというくらい大きなその建物は、入り口が何処にも見当たらず謎めいていた。
「どうしたら良いのかしら?」
「入り口は此処から見た感じ無いでごぜーますな。反対側はどうでありましょうか?」
「う〜ん。気配を探る限り、入り口そのものが無いのよね。」
「おぅ……ミステリアス。」
着いたはいいものの、どうすれば中に入れるのか分からず困惑する二人。
「あの〜すみませ〜ん!誰か居ませんか〜?」
「まさかの呼び掛け!?」
シャルのまさかの行動に驚くフィー、流石に何も起こりは……
【ピピ……ピー……生体より呼び掛けアリ。建物の存在を認識している模様。敵対存在か、もしくは敵対反応の有無を審査。】
「「反応した!?」」
なんと、何処からともなく聞こえる機械音声が答えた。まさか反応があるとは思わず驚く二人。だが、後半の言葉に若干の不安が生じた。
【生体反応は二、一体目……ピー……ピー……照合。妖精“シルキー”。】
「ぬ?わっちでごぜーますか?」
【声紋確認……照合。特徴的な口調、声質に該当アリ。魔力審査……照合。妖精、精霊の中で最上位の魔力を感知、該当アリ。】
「まぁ、伊達に500年以上生きていないであります。」
【見た目の審査……照合、該当アリ。精神の歪み……無シ。マスターとの関連性最上位の最重要存在、“フィーネリア様”と確定。敵対の心配ナシ。】
「おぉ!これは良い結果では……」
【残念ですが、フィーネリア様、マスターより入室の許可は頂いておりまセン。この件は秘匿し、お引取リヲ。】
「なして!?何故に!?ホワイ!?」
敵であるとは認識されず、最重要存在と言われたので問題ないかと思いきや、何故かドームの中に入る事が出来ないフィー、
【続いて、もう一つの生体反応を審査。】
「無視されたでごぜーます?!」
「次は私か……」
シャルは不安を感じながら身構えた。
【……ピー……照合不可。】
「ええ?」
【何らかの道具により阻害されている可能性アリ、特殊解析を行います……ピー……ピー……外見的特徴、高性能な機能を幾つか確認……認識阻害も確認。】
「あ、このローブが原因か。」
最初照合不可と言われて焦ったが、どうやら解析してくれている様だ。
【魔術式を解析………ピー……ピー……予想外の事態が発生。】
ガチャッ!!
「え!?」
「ななな!?」
解析をしてくれていたのだが、何かが起こりドームから銃火器らしき武器が大量に出ててきて銃口を向けられた。
【生命体に問います。そのローブは何処でに手に入れましタカ?質問に答えない場合無条件で敵とみなしマス。】
「え、ええ?えっと……家にあったの。」
「……シャル様、そこの所を詳しく。」
「え?何でフィーがそんなに喰い付くの?」
【家……最重要存在、フィーネリア様との関連ハ?】
「わっちの新しい主でごぜーますよ!」
【新しい主……データを元に予想シマス。しばしお待ちヲ】
銃口は向けられたままだが、フィーの一言で機械音声は情報をまとめ始めた。
【予想の内容をフィーネリア様、及び生命体に伝達する危険性……フィーネリア様問題なし、生命体……全武力を持って対応する為問題ナシ。】
「……物騒ね。」
【よって予想内容をそのまま伝達……予想、生命体がマスター自ら処分した『隠者のローブ』を所持している事について。】
「え?このローブ、『隠者のローブ』っていうの?」
「あ、シャル様知らなかったんでごぜーましたね。」
「言って?何となくアルスさんが作ったんだろうなって気がしてたけど、その名前は物申したいわ。」
【アルス……追加優先予想、マスターの名前を知っていた件……予想、フィーネリア様より聞イタ。】
「ちょっと雑じゃない?」
「まぁ、現状それしか情報がないんじゃあ〜りませんか?」
機械音声は二人の会話を気にせず予想を続ける。




