対決、闇ギルド! end
すごく短いです。
「世話になったな。」
「ええ、元気でね。」
馬車の前で挨拶を交わすギルスとシャル。闇ギルドが壊滅してから二週間以上経った。あれからギルスの処遇について話し合いが行われた。ギルスは自身の手で誰かを殺めた事はなく、研究を手伝った結果、間接的にそうなってしまった事もあると主張していた。シャルが事実だろうと伝え、更生の余地もある事からしばらくの間牢獄で生活してもらうかなど話し合いが行われていたが、能力も高い事から、白き賢人の仮団員として迎えられ、魔物の調査チームにしばらくの間同行。その後の働きによって正式に採用されるか決まるそうだ。失った右腕もホルンの手によって再生した。
「悪い事したらすぐに飛んで懲らしめに行くから。」
「……神に誓ってもう悪事に手を染めないと約束しよう。」
思ったりも真顔で答えるギルスに微笑むシャル。
「これからは、人に迷惑を掛けない研究者になるさ。」
「良いのよ?皆悪い事してないけど、迷惑は多少なりとも掛けてると思うわ。」
「“賢者”……いや、フランソワ団長達の事か?あの執着心は見習いたくないが関心はする。」
氷原から帰った後、また仕事で離れるからとシャルのローブを何とか解析しようと迫るフランソワと便乗した魔導具店の面々を軽くいなしながら、帰路に着いたシャル。ギルスもその光景を苦笑いしながら見ていた。
「大変だったのよ?」
「心中は察するがな。まぁ、今に始まった事ではないんだろう?」
「ええ、今度対策を考えておかないと。」
『ギルス、そろそろ行くぞ〜。』
少し会話した所で、ギルスが他のメンバーから呼ばれた。
「ああ、わかった……シャル、また会った時は何か礼をさせてくれ。」
「楽しみにしてるわ。」
「……悪いが高級なのは無理だぞ?」
「私を何だと思ってるの?気持ちがこもってれば充分よ。」
「そうか、なら次に会う時までに考えておく。」
ギルスがこの国に戻って来るのは少なくとも二年以上過ぎた後になる。その時まで、しばしの別れ。
「じゃあな、シャル。」
「ええ、またね。」
ギルスは後に白き賢人の“良心”、と言われる程他者から信頼される者になる。そして、魔物の研究者のトップとしての地位を確立するのだが、それはもっと先の話である。
さて、いつも通りまた一週間の執筆作業と編集作業に入ります。更新頻度が下がって申し訳ないです。次章については活動報告にてお知らせします。
乙戯流解説
〜裏の型〜
“絶”:乙戯流の真義を表す型。『時の流れを読み、別つ』。終るべき者に終わりを迎えさせ、終わらせるべき者を終わらせる事の出来る人知を越えた力。型の名前はあるが実際はその力を乙戯流の全ての技に組み込んでいるだけで、今回シャルはただの一振りにそれを本気で加えただけである。威力は絶大。
乙戯流の目指すべき究極の境地という意味合いで、その真義と型の名は初代乙戯流創始者によって決められたが、実際に体現した者は初代を含め存在しなかった。だが、乙戯暮葉は免許皆伝をした者は全員使えると勘違いをして、その高みを目指し使えてしまった。同じ流派の仲間に名実共に到達者、超人と言われたのは主にこれの所為である。ちなみに誤解を解いた者は誰も居ない。




