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隠者のプリンセス  作者: ツバメ
謎のルーキー
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謎のルーキー 3

「・・・え!?マダム“フランソワ”!?は、始めまして、シャルと申します。よ、宜しくお願いします。」


 綺麗な長い銀の髪を編み込み、スラッとしたモデル体型の美女がいた。服には強力な魔力が込められているようで、さらに見た目もかなりオシャレだった。

 ミリーに滅多に会えない超有名人と聞かされていたので、まさかすぐに会えるとは思わず畏まって挨拶した。


「あら!なんて綺麗な声!宜しくね。シャルちゃんって呼んでも良いかしら?」

「あ、はいどうぞお好きに呼んで下さい。」

「ありがと!シャルちゃん。今日はどんな服を・・・?!。」


 店内を挨拶しようとしたフランソワが、シャルの黒づくめのローブをしっかりと見つめると、驚愕の表情を浮かべた。


「・・・嘘、何そのローブ・・・ありえないわ。」

「え???・・・・・・ふわぁ!?」


 物凄いスピードでシャルに近づいて来たかと思うと、いきなりローブを掴んで観察し始めた。


「・・・高度な認識阻害(にんしきそがい)が組み込まれいるわね。普通の人にはただの黒づくめのローブにしか見えないし、顔も認識しにくくしてある。私クラスじゃなきゃ気付かないわよ・・・サイズの自動調整に・・・嘘!?自動修復や温度調整までついてるの!?全魔法耐性まで付いているなんて・・・これだけ組み込んで全て最上級の性能を引き出せているなんて・・・国宝級・・・いや、伝説級・・・」

「・・・えっと、フランソワさん?」


 明らかに正気を失っているフランソワから、なんだかとっても不穏なキーワードが聞こえた気がするが、ローブをしっかり掴まれて観察されている状態が辛かったので話しかけた所、


「シャルちゃん!!」

「は、はい!!」

「このローブを譲って頂けないかしら!?代わりに私の店の服、好きに選んで持っていける権利上げるから!!」

「え!?・・・い、いや!困ります!!」


 急に破格の取引条件を提案された。一瞬、魅力的な提案に心が揺らいだが、自国・・・の自宅(城)から持って来て、しかも素顔を隠す上で重宝しており、正体もバレる可能性もあったため全力で拒否した。


「・・・はっ!?私ったら、つい珍しい魔導具に我を忘れていたわ。ご、ごめんなさいシャルちゃん!驚かせちゃって。」

「い、いえ・・・大丈夫です。」


 どうやら正気を取り戻したらしいフランソワが、物凄い角度まで頭を下げた。


「・・・でも、驚いたわ。私の知らない凄い魔導具がまだあるなんて・・・もし、良かったらどこで見付けたか教えて貰える?」

「え、えっと自宅(しろ)にあったのを着てきたんです。誰が作った物かはわからないのですが・・・」

「自宅?・・・何処の名家かしら?・・・私の知っている所にはそんな家・・・それとも・・・」

「あ、あの!フランソワさん!・・・洋服を見たいんですが。」


 また、深く考え始めるフランソワに、シャルは慌てて話しかけた。


「そ、そうね!洋服よね!まぁ、そのローブに関しては、後でじっくりと調べるとして・・・」

「・・・い、いえ・・・渡しませんよ?」

「うっ!わ、分かったわ、今は諦めるわ。」

「・・・・・・。」


 流石に諦めの悪いフランソワにジト目を向けるが、明らかに諦めた様子はなかった。


「あの、服を見る前に聞きたいのですが、大陸中を駆け巡っていてお忙しいと聞いたのですが・・・それと、随分と魔導具にお詳しいですね・・・」


 一番最初に聞きたかったが、まさかあんなに騒がれると思っていなかったので、服を見る前に気になっていた事を聞いた。


「あ、ああ、それね。今日クレメンスの街にいるのは、今回の視察の場所がここで騒ぎにならない様こっそり来てたの。で、視察も終わったから店内に出ていたのよ。魔導具に関しては・・・シャルちゃん知らない?私の事。」

「えっと・・・山奥でずっと暮らしていたので、あまりそういうのよく分からなくて・・・」

「・・・え、山奥?・・・何その設定・・・せ、世間知らずって事ね!」

「?・・・はい!そうです!」


 フランソワの小さな突っ込みに気付かなかったが、世間知らずと聞かれたので、元気良く応えた。


「私ね、Sランクの冒険者なのよ。」

「・・・えぇ?!」


 そう言って、Sランクと書かれた白銀のプレートをシャルに見せたフランソワ。まさかSランク冒険者だ思わずシャルは本気で驚いた。


「・・・本当に知らないとは・・・一応“賢者”って呼ばれているんだけど・・・もしかして、かなりのお嬢様?・・・え、えっと!それでね!魔法が得意で、魔導具関係や遺跡とダンジョン中心に研究や調査してたんだけど、冒険者活動している合間に趣味で洋服屋を細々と始めたら、人気が出ちゃって、気付いたら大陸一の店舗数に・・・ま、まぁ!い・ま・は、楽しくやってるけど。」


 相当苦労したのか、今はの所をかなり強調していたが、どうやら辛い時期は乗り越えたようだ。


「・・・そうなんですか、でもこっそり来たとしてもすぐバレそうですけど・・・」

「そこは、隠蔽魔法でちょちょいとね。変身魔法で見た目を変えたり、魔力で判断できない様、認識をズラしたりしてね。私クラスになれば、それほど難しい事では無いわ。」


 それはつまり、Sランクの冒険者じゃなければ難しいレベルの隠蔽魔法を使用している事になるが、


(・・・なるほど、そういう魔法もあるのか・・・そういえば、姿を見えなくする魔法とかあるのかなぁ。)


「あの、フランソワさん。姿を見えなくする魔法とかあるんですか?」

「姿を見えなくする魔法?認識しづらくする事は出来るけど、完全に見えなくなるようには出来ないわ。一応理論上は、いくつも高度な魔法を展開して、かつそれをずっと維持して、さらに動きに合わせて、調整し続ければ出来るかもって所だけど、魔力も保たないし調節が難し過ぎるわ。」

「・・・なるほど。」


(・・・今度試してみよう。)


 シャルからしたら、なんとなく出来そうな気がしたので、非常に参考になるな程度にしか思わなかった。


「魔導具もかなり研究されているんですか?」

「えぇ、実際に設計図を書いて工房で作らせて、流通させたりしているわ。この大陸どころか世界中に流通してるわよ。・・・まぁ、もっと凄い人が過去にはいたみたいだけど・・・」

「そうなんですか。」


 最後の方は良く聞こえなかったが、とりあえず凄い人なんだって事は分かったシャル。


「さて、話しが長くなっちゃってごめんなさいね。お詫びに服を選んで何着かプレゼントしてあげる。」

「本当ですか!?ありがとうございます!」


 フランソワの一言で、どんな服を選んでもらおうかと、服を選ぶ事で頭がいっぱいになった。


「じゃあ、まず服選びの参考にさせてもらいたいから、今の服を見せてくれる?」


 バサッ、


「・・・えっと、こんな状態です。」

「・・・・・・え、まって、なんでそんなボロボロなの!?というか、よく見るとうちの服だし!?え、なんで!?」


 シャルは、ローブの下に隠れているボロボロの服を見せた所、まさかこんなボロボロの状態の服、しかも自分の店の服を見せられるとは思わなくて、フランソワはすごく驚いた。


「・・・あ、フランソワさんのお店の服だったんですね。実は山奥で暮らしている間、この服しか無くって・・・」

「待って、この際その妙な設定聞き流してあげるから、正直に話して頂戴。まさか、家出してきたんじゃないでしょうね。」


 言っている事は間違ってはいないのだが、ついに無理のある山奥設定に突っ込みが入ってしまった。


「うっ・・・実は・・・そうなんです・・・ど、何処の家の人間かは言えませんが、素性と顔を隠しているのは、家の人間に見つかりたくなくて・・・家出して、かれこれ一年になります。その時に、着ていた服を手入れしながら使ってました。」

「・・・なんて事。」


 しかし、フランソワとは長い付き合いになりそうな気がしたので、重要な所は避けて自分の事を話そうと決めたシャルは、フランソワの言葉を肯定し、説明した。

 そしてフランソワは、その話しを聞いて両手を地面に付き、ショックを受けた様子だった。


「・・・なんか色々衝撃的すぎて、どうしたらいいか分からないわ。」

「えっと・・・色々と、申し訳ありません。」

「・・・ま、まぁ、その話しはまた会った時に詳しく聞くとして・・・今は服よ!!」

「は、はい!」


 気持ちを切り替えたフランソワは、シャルに詰め寄ると大きな声で気合を入れた。


「見た所シャルちゃんは、抜群のプロポーション!・・・なのに、そんなボロボロの服・・・なんて勿体無い!合わせるとしたら、スラッとした体型には清楚なワンピースが・・・ああ、でも!冒険者活動するから動きやすいボトムタイプが良いわね!色は・・・グレーを基調にしたタイプかしら?上はポケットの多いシャツ?それともローブ着てるから、利便性よりもお洒落なシャツにしてギャップやインパクトを・・・」

「・・・う、うわぁ。」


 いざ服選びに入ると、本当に服が好きなんだろう、凄まじい勢いで一方的にまくしたてられて、次々と洋服を着ている服の上から合わせられ、着せられてはいないが、着せ替え人形のような状態になった。


「・・・良し!シャルちゃん!今度は、服を着てじっくり見させて!!」


 どうやら、着せ替え人形になりそうだ。



 〜二時間後〜



「・・・はぁ、はぁ・・良いわ、最高よ!やっぱり私の見立てに間違いわなかったわね!・・・顔さえ見えれば。」


 息切れしながら向かい合う2人、2時間、前世で体感でいえばそのぐらい経ったのだろう、フランソワの手によってコーディネートされたシャルの服装は、グレー系のボトムにお洒落なデザインのシャツ、靴は綺麗なラインの入った動きやすい運動靴タイプ、どこから見ても冒険者活動をするお洒落な貴族だった。素材は魔法で体の動きに合わせて伸縮するので、戦闘でも邪魔にならない特殊素材だ。


「・・・はぁ、はぁ・・・顔を見せる訳にはいかないですから。」


 怒涛の勢いで洋服をコーディネートし、着替える際、「着替える時、ローブ邪魔でしょ?預かってあげるわ!大丈夫!シャルちゃんの顔を見ても、誰にも言わないわ!」と、あわよくば顔というより、ローブを着替え中に調べようとする気満々だったので全力で阻止した。


「・・・まさか、あんなに抵抗されるとは思わなかったわ、結構本気でいったのに・・・Sランクに対して、あの鉄壁の防御・・・」

「・・・というか、着替え中に入ってこようとしないでください。素顔隠すの大変だったんですから。」

「大変で済むの!?一切見えなかったわよ!?魔法使ってたみたいだけど、私の目を欺くなんてシャルちゃん何者なのよ!?」

「・・・それは・・・秘密です。」


 更衣室で着替え中に、ローブを見ようと浸入するフランソワに、絶対に素顔を見られないようにさっき聞いた隠蔽魔法を参考に認識をズラしたり、乙戯流体術で迫り来る魔の手?を綺麗に受け流したり、とにかく今出来る全ての力を使い、素顔とローブを死守したシャル。


「とにかく、ありがとうございます。フランソワさん。おかげで洋服に困る事は無さそうです・・・でも、さすがにこの量は持っていけませんよ。」


 フランソワの好意で、前世でも一回の買い物で購入した事の無い量の服をプレゼントされたが、さすがに量が多かった。


「大丈夫よ、これをあげるから、私が認めた人に渡す証でもあり、便利な機能付きよ。ちなみにこのクラスの物は、シャルちゃんで五人目よ。」

「・・・これは。」


 フランソワから手渡されたのは、一つのペンダントだった。白い薔薇の紋章が特徴の首飾りタイプだった。


「“白薔薇(しろばら)のエンブレム”収納魔法が組み込まれてて、容量はその人の元々の魔法量に依存、劣化を遅らせる機能も付いているわ。取り出したい物を取り出せるし結構便利よ。ちなみに、色々なアクセサリー系に変化出来るから首飾りや耳飾り、腕輪なんかに形を変えて使えるわ、冒険者活動するなら指輪がオススメよ。あと、使用者登録機能が付いてるから、シャルちゃん以外は使えなくなるわ。」

「・・・そ、そんな高価な物貰えません。」

「良いのよ、シャルちゃんなら信頼出来そうだし、長い付き合いになりそうだし・・・それにね」


 何んだかとっても価値のありそうな魔導具を貰い、気が引けたシャルにフランソワは、笑顔で自分の素直な気持ちにを伝えると、


「その証は私、“フランソワ・ポワ・マスクウェル”の名にかけて、その人物の信用し保証する証でもあるの。素性を隠して活動していると、なにかと面倒事に巻き込まれるだろうし、いざという時はそのエンブレムを見せれば、なんとかなるわ。」

「・・・フランソワさん。どうしてそこまで・・・」


 シャルは、ここまで自分に良くしてくれるフランソワに感動しながらも、どうして素性の分からない自分にそこまでしてくれるのか疑問に思い問いかけた。


「素顔は見えないけど、話しててシャルちゃんの人柄の良さが分かるし、誰か理解者が一人いれば安心出来ると思って、私なりに何か協力してあげたい気持ちになったの、それにね・・・」

「それに?」


 フランソワは、照れながらシャルにそう言うと、


「私が今だかつて見た事の無い魔導具をその身に纏って、顔を見せない鉄壁の防御!Sランクを欺く魔力と魔法技術!隠しきれてない気品を漂わせる謎の多いシャルちゃんに探究者としての血が・・・い、いえ、シャルちゃんなら信頼出来ると、私の観察眼が言っているの!」

「台無しですね!?」


 明らかに私欲がだだ漏れの言葉を吐き、感動していた気持ちを返して欲しいと思いつつ、これだけオープンに自分の欲を晒け出せる人は、逆に信頼出来そうだなと思うシャルだった。


「まぁ、本当にシャルちゃんなら信頼出来るから、とにかくそれは持っていなさい。私は大陸中駆け巡っているから、ちゃんと手助けもできないし私なりの気持ちよ。」

「・・・ありがとうございます。大事にします。」


 シャルは、白薔薇のエンブレムを指輪形態に変えると、左手の中指に嵌め収納魔法を発動した。すると、目の前にあった大量の洋服を一瞬で収納した。


「・・・凄い、これが収納魔法。」

「そう、装備品とかも収納出来るから、旅先で重い荷物を持つ必要は無くなるわ。」

「・・・本当にありがとうございます。フランソワさん。」

「良いのよ、またいつでも私の店を利用してね。今日、暗くなる前には街を出る予定だから、多分話せるのは今だけになりそうね。」


 フランソワと一緒に店の入り口まで行くと、彼女が今日の予定を話し始めた。


「依頼とか終わる時間によっては、また会えそうな気がしますけど?」

「う〜ん、難しいと思うわ、だって毎回私が店内立つと混むもの、今日はたまたまお客さんがまだシャルちゃん一人だから余裕があるけど、いざ私がいるってわかったら、皆んな目の色変えて来るわ。」

「・・・ああ、なるほど。」


(確かに、私だからちょっと驚くぐらいで済むけど、中々会えない超有名人がいて、しっかり会話出来るなんてそうとうレアよね。)


 今は時間が経っているとはいえ、まだ朝早く、街の人達はほとんど仕事で買い物に来れないので、フランソワさんと二人で洋服を見れるのは運が良かったのだなっと、今更ながら、今の自分の状況の凄さを感じたシャルだった。


「そうそう、服をプレゼントしたから、お金余ってるでしょ?それでちゃんとした武器とか防具を買いなさい、まさか木の剣を使ってるとは思わなかったけど、さすがに戦えないでしょ?あと、私の店の服は頑丈だけど、戦闘になったら別よ、しっかり準備しなさい。」

「はい!わかりました。」


 どうやらフランソワは、木の剣でおもいっきり魔物を狩っていた事は予想できなかった様で、装備を揃えるお金が無かったのか、程度にしか思えなかった様だ。そして、店を出ようとするシャルに対してフランソワが、


「あ!言い忘れてたわ、シャルちゃん。そのエンブレムを見せると、私の店の服を買う時、割引きしてもらえるから、遠慮なく使って。」

「え!?そうなんですか!?ありがとうございます!フランソワさん。」

「ええ、また何処かで会えると良いわね。」

「はい!またいずれ何処かで!」


 こうしてシャルは、マダム“フランソワ”と別れ、装備を整える為に装備屋に向かった。



 ◆◆◆◆



(・・・うん、これで装備もバッチリね。)


 洋服店“フランソワーズ”を後にしたシャルは、装備屋に向かい、刀と同じくらいの重さの剣を購入し、防具も洋服の景観を損なわない様、籠手と胸当て、膝から下を守るタイプの防具を購入した。見ようによっては軽装の騎士にも見える。


(魔法書も幾つか良さそうなのがあったし、宿に帰ったら読もうっと。)


 ついでに魔物書も、基礎を書いた物と隠蔽魔法関連の物を購入し、冒険者としてほぼ完璧な状態になった。


(さて、ミリーさんに会いに行かないと、洋服の感想も聞きたいし。)


 そしてシャルは、ミリーに会うのと、依頼を受けに行くため、冒険者ギルドに向かって行った。



 〜冒険者ギルド〜



 ギギィ〜、


(さて、ミリーさんは・・・いた・・・けど、なんであんな落ち込んでるの?)


 冒険者ギルドに入ったシャルはミリーを探すと、何故か悲しいオーラを纏って冒険者に対応しているミリーを見付ける。


「・・・うう、なんでよ?皆の裏切り者。」

「・・・えっと、ミリーさん?」

「え、シャルちゃん?・・・あ・・・可愛い・・・綺麗な服。」


 終わったタイミングを見計らって、ミリーに声を掛けると、ミリーはシャルを見てくれたが、シャルの着ている服を見ると固まった。


「・・・シャルちゃん?フランソワーズに行って来たのね。」

「は、はい。」


 もはや受付嬢として敬語を使う事もやめ、問いかけるミリー、


「・・・そして、きっと、マダム“フランソワ”に会ったのね。」

「は、はい・・・会いました。」

「・・・そう・・・会ったの。」


 なんだか、とっても怖い雰囲気を出しながら再度問いかけたミリーは、シャルの答えを聞いて呟くと、


「羨ましい!羨まし過ぎるわー!」

「ミ、ミリーさん!?」


 突然、受付の机に突っ伏すして叫んだ。


「何よ⁉︎シャルちゃん!似合い過ぎてるわよ、その服!顔が見えればもっといいけど、防具もいい感じだし、服は絶対にマダム“フランソワ”に選んでもらったでしょ!?」

「は、はい」

「・・・良いなぁ、行きたかったよ。私だって、もっと早くマダム“フランソワ”が来ているのが分かれば、仕事を男共に投げて行ったわよ。・・・けど、知ったのはついさっき、同僚の女性は皆事前にわかって、男共に仕事を投げていた。私が来た時なんて言われたと思う?『ミリー、お前は行かないでくれ!頼む!』よ!?しかもご丁寧に、自分が押し付けられた仕事をこっちに渡してね!?今日は何故か男性の冒険者も多くて対応しなきゃなんないし、もう私の心はボロボロよ!」

「・・・大変でしたね、ミリーさん。」



 身近な所にフランソワさんが来た事による影響の被害者が、そう思いながらも悲しみに暮れるミリーに対して、頭をよしよしと撫でてあげた。

“賢者”フランソワ、物語に深く関わる主要人物の一人です。ちょくちょく物語に関わってきます。

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