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隠者のプリンセス  作者: ツバメ
集結、青の薔薇!!スター商会とホルンの試験
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幕間〜誕生!ドラグニア流自己紹介!!〜

ちょっとした幕間です。

「ぬぅ、城に仕える者の顔と名前が覚えられない……」


 ドラグニア王国初代国王は悩んでいた。


「だいだい、人が増え過ぎだろう……この地を治めた方が良いと言われて王になってはみたものの……はぁ。」


 彼は強かった。ヒューマンでありながら強靭な肉体を持ち、その力を認められ人化の出来る竜族の娘と婚姻を結んだ。そして、以前より豊かになったこの地へとやって来て暮らしていた。それから、人々を導き先頭に立って行動していたら王になって欲しいと頼まれた。

 最初は少なかったが、段々と城に仕える者も増え、“魔法大国アーランド”に並ぶ規模の国になった。だが、増え過ぎて誰が誰だか分からなかった。


「何か良い手はないか?」

「私に聞かれても困りますね。紙に書かれては?」

「あれだけの人数をか?」

「もしくは優秀な家臣に覚えさせる。」

「……任せた。」

「丁重にお断り致します。」

「……ぬぅ。」


 家臣であり親友であるスター商会三代目会長の男に聞いたが、提案するだけで協力はしてくれなかった。


「……そうですね。でしたら古文書を読まれては?」

「古文書?」


 何故古文書なのか?首を傾げると、


「過去に遺された資料には、我々が知らない有益な情報が数多く残っています。その中に解決策があるのでは?」

「それだ!」


 文字を読むのは苦手だが、この状況を打破する為にはやるしかない!



 〜書庫〜



「……どれを見たら良い?」

「私の場合は端から読んでいくのが良いですが……感で選んでみては?」

「感で良いのか?」

「あなた様の場合は、逆にそれの方が良い結果を招きますからね。」

「……ぬぅ。」


  目の前に並べられた古文書は、かなり数が多かった。どれを読めば良いか迷い聞くと、俺が最も得意とする事を提案された。そして、端から古文書の表紙を見ていると、


「……む?武術の歴史?」


 気になる物を見つけた。普段本を読まないのでその存在を知らなかったが、どうやら武術について詳しく書いてある様だった。気になり手に取ってみる。


「脱線してませんか?」

「いや、案外こういう物に何かいい手が……」


 呆れる家臣をよそに古文書を読み進める。


「……ほう?素手で戦う術が載っているな……な!こんなものもあるのか!?」


 思っていた以上に興味深い内容だった。これを書いた人物の名前が載っていたが“黒の奇術師”という人物が書いた物の様だ。


「やはり武術は奥が深いな……ぬ?これは……」


 読み進めると、気になる単語が目に入った。


「百人組手?」


 それは素手で戦う者が行う荒行の事を記述していた。一人が百人と連続して組手を行う百人組手。


「はっ!?これだ!!」

「待ってください、非常に嫌な予感がするのですが……」



 ◆◆◆◆



 ドカーン!!



「「「「「うわぁ〜!?」」」」」



「……変な入れ知恵をしなければ良かった。」


 ドラグニア王国初代国王は、新たな自己紹介を発案した。その名も『ドラグニア流自己紹介』国で一番強い国王に自己紹介しながら手合わせをする……そんな荒行を。


「うむ!やはり肉体で覚えるのが一番だな!!」


 彼は脳筋だった。結果として、スター商会三代目会長が全力で被害を城の中だけで抑えたが、次の世代の脳筋王達は皆『ドラグニア流自己紹介』を行った。そしてその約400年後、一人の王女が城の外にその自己紹介を広め、被害が広がるのだった。

キューマスターの所為です。

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