表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隠者のプリンセス  作者: ツバメ
集結、青の薔薇!!スター商会とホルンの試験
41/111

集結、青の薔薇!!スター商会とホルンの試験 4

「あ、これもうCランクから下の冒険者混ぜても変わらないわね。とう訳で行きなさい!!」


「「「「「え!?」」」」」


「え?」


 Bランク冒険者達の攻撃を受け流していると、リナリーが突然Cランクから下の冒険者にシャルに自己紹介をしてこいと言ってきた。


(捌けない事は無いけど、この状態のまま人が増えるの?)


 戦う事に関しては全く問題無いが、Bランク冒険者の攻撃を受け流す事に集中しているので、あまりちゃんと自己紹介を聞けなさそうな気がする。


「「「「「い、行くぞ!!」」」」」

「「「「「お、おう」」」」」


「あ、もうパーティー名と自分の名前言うだけで良いわ。武器とか趣味の話しはまた後でしなさい!」


「「「「「ええ?」」」」」


 物凄く面倒になったのか何なのか分からないが、リナリーが急にそんな指示を出した。


「リナリー団長?いくら何でも急じゃないですか?」

「それはねコリン。意外と時間が経ってて、このまま行くと後半お酒を飲む時間が無くなるからよ。全員いるのは今日だけなのに勿体無いわ。」

「ああ、なるほど。リナリー団長やお酒好きな団員からしたら重要な事ですね。」

「しかも酒代は割り勘ではなく、あたしの奢り。」


「「「「「さっさと終わらせるぞ!!」」」」」

「「「「「おう!!」」」」」


(ほとんどの人達がお酒が好きなのね。)


 奢りと聞いた途端に、お酒が好きそうな冒険者達に活気が溢れた。


「俺は『イーグル』のリーダー、カーター!」


「そのパーティーの一人、クーシー!」


「同じく、ルグー!」



「俺は『ロッククライム』のリーダー、クライ!」


「私はそのパーティーの一人、ミン!」


「同じく、アルパ!」



「私は『ハートマジック』のリーダー、ハート!」


「そのパーティーの一人、シン!」


「同じく、マジー!」



「俺は『ニーベル』のリーダー、フリート!」


「そのパーティーの一人、クリーム!」



「私は『ホエール』のリーダー、エール!」


「その一人!ジウ!」


「同じく!ファイブ!」



「俺は『ヘルロード』のリーダー、ヘル!」


「エリュー!」


「モーズ!」


「セク!」



「『トマホーク』のリーダー、ディアン!」


「イーン!」



「俺は『チリソース』のリーダー、トゥーガ!」


「ソルト!」


「パイス!」


「シュガー!」



「『リトルフェアリー』のリーダー、フェイよ!」


「パックよ!」


「レプラよ!」



「俺は『ヌーヌー』のリーダー、ウーシー!」


「そのパーティーの一人!アフリ!」


「同じく、オグロ!」


「同じく、オジロ!」



「『ルールブック』のリーダー、ギー!」


「俺はブックス!」


「私はルー!」



「そして我は『ヲータゲイ』のリーダー、ヲータ!」


「タイ!」


「マワリ!」


「ロマンス!」


「ケチャ!」



(流石に一度で覚えられない……というか、聞き覚えのある名前というか言葉があるわね。いま攻撃している人の中にも、日本人っぽい名前なのに話してる感じ、転生者って感じでも無いのよね。)



『う〜む?さっきから気になっていたでごぜーますが、所々キューマスターが広めたであろうワードがチラホラと。』

『キューマスター?わーど?何だそれ?』

『妖精の秘密!』

『そ、そうか。』


(ああ、キューマスターの所為なのね。)


 パーティー名と名前を言いながら突っ込んで来る冒険者達を捌きつつ疑問に思ったが、フィーの会話をたまたま拾い、キューマスターの所為だと分かり納得した。


 ガキン!ガガ!キンキン!ギン!


(もう、組手というかバトルロワイアルみたいなってるわね。私一人対多勢だけど。どうやって終わらせよう?)


 青の薔薇ブルーローズのほぼ全ての団員からの攻撃を受け流しつつ考えるシャル。一人ずつ確実に退場させても良いが、時間が掛かるのでリナリーの言うように後半の時間が無くなりそうだった。


(よし……なら。)


 ザッ!


「「「「「ん!?」」」」」


 シャルは団員達から距離を大きくとると、


「はぁぁぁ!」


 自身の練気を少し開放し、


(かなり手加減した体術の三元型を放とう。)


 絶対にやり過ぎな気がするが、シャルは三元型を放とうと構えた。



 ◆◆◆◆



 ──三元型さんげんけい、それは乙戯流必殺の型である。



 ──三つの型を合わる事で、通常ではあり得ない威力を発揮する。



 ──刀術では『戯れは終わる。』という言葉を刀術の基本型、りゅうくうざんで表し、無慈悲な力を見せた。



 ──そして、体術で表すのは『纏めて終える。』という言葉。



 ◆◆◆◆



(乙戯流“型合わせ”……“三元型さんげんけい”、一の型……“りゅう”!)



 シュンシュン……ギュイン、ギュイン!



 シャルは空間ごと・・・・円を描くように流し、空気の球を作った。空間ごと圧縮されたそれは、とてつもない圧が掛かる。



(二の型……“しょう”!)



 ダン!ギッ、ギギギィ!



 そしてシャルは、その空気の球を空間ごと打ち上げた・・・・・、上空に打ち上げられる事でそれは更に圧が掛かり、異様な音をあげる。



「何か危険な感じがするわねコリン。」

「……はい、私達だけでも離れましょっか?」



「リナリー団員とコリン副団長がシャルから離れたぞ。」

「やっぱり、あれ危ないわよね?」

「私達も離れよう!」


 何かを察したリナリー、コリンは、シャルから大きく離れた。その様子を見ていた自己紹介が終わった団員達も離れた。


「あ?……シャルちゃん!?ちょっと待った!?」

「ねぇ!?それ絶対にただじゃ済まないやつよね!?」

「おい、馬鹿やめろ!!」

「自己紹介!自己紹介だから!」

「おい!逃るぞ!……って人が多くて早く動けない!?」


 さっきまで攻撃していた団員達は気付くのが遅れ、必死に声を掛けたり、逃げ出そうとした。



『あれは……出会いの無い冒険者から見て、どう思うでごぜーますか?』

『出会いの無いは余計だっての!……ああ、まぁ終わったな……あいつら。』



(三の型……“つい”!)



 ダッ!ギュンギュンギュン……ダーーン!!



 シャルは飛び上がり、空間ごと巻き込んで回転しながら、その球を団員を狙わず手前辺りに向かって蹴り込んだ・・・・・



「乙戯流体術“三元型さんげんけい”。」



 ギギギギギ!



「……“しゅうてん”!」



 ギュイン!…………ドーーン!



「「「「「馬鹿野郎〜〜!?!?」」」」」



 技の余波を喰らった団員達は、先に避難していた団員を除き全て吹き飛ばされた。




「……えっと……やり過ぎちゃいました?」


 直接技を当てなかったとはいえ、思っていたよりも威力が出てびっくりしたシャル。凄く申し訳無さそうに吹き飛ばされた団員達に向かって問いかけた。


「シャルちゃん?Bランクから下の連中は全員気絶したわよ?」

「オリビア王女殿下みたいな事をしないで?」


「えっと……申し訳ございません。」


 リナリーとコリンに突っ込まれ、反省するシャル。そして、会ったことの無いオリビア王女殿下も相手を纏めて吹き飛ばしていたんだなっと思うのだった。



 ◆◆◆◆



「「「「「乾ぱ〜い!!」」」」」



 ドラグニア流自己紹介が終わり、青の薔薇ブルーローズの一部の団員を吹き飛ばしたシャルは今、大酒場“竜の尻尾ドラゴンテイル”で団員全員と飲み会を開いていた。


「……リナリー?ドラグニア流自己紹介は怪我人が出るから、出来れば辞めて欲しいのだけど?」

「いや、ごめんねホルン。まさか、シャルちゃんがオリビアみたいに纏めて吹き飛ばすとは思わなかったからさ。」

「あなたがこの酒場で早く飲みたいから、多人数を一気にシャルさんに向かわせたと聞いたのですけど?あなた、たまにそういう所ありますよね〜?」

「うっ、ごめんって。」


 ホルンに怒られ反省しているリナリー。実は、ドラグニア流自己紹介後、たまたま総本部にいて騒ぎを聞きつけたホルンが、青の薔薇ブルーローズの団員達を治療するためやってきて、軽い怪我をしていた団員達全員を治療してくれた。


「あ、そうそう。初めまして、“隠者”のシャルさん?わたくしは、ホルン・リー・スター。薔薇の集いの一人で、Sランクの冒険者の兎人族。“星の手スターハンド”の団長、そして“スター商会”の会長ですわ〜。」

「はい、宜しくお願い致します。」


 ホルンは碧眼でフワッとカールのかかった金髪の美女で、怒ると恐い様だが、全体的に雰囲気がふわっとしていた。


「ホノるる、久しぶりでごぜーますね。」

「ええ、久しぶりですね。フィーネリアという名前だったのですね?」

「そういえば名乗っていなかったでごぜーますな?フィーと呼ぶが良いであります。」

「知り合いなんですか?」


( というか、ホノるる呼びに突っ込みが入らない。)


 フィーがホルンと知り合いという事にも驚いたが、ホノるるという呼び方に突っ込みが入らない事にも驚いた。



「ええ、以前に屋敷の管理について話した事があります。」

「なるほど。」


(それにしても……凄く自然に居るけど、フランソワさんやリナリーさんと同じくらい有名人よね?)


 酒場の席にあまりにも自然に入っていたから気付くのが遅れたが、周りを見るとホルンをチラチラと見る青の薔薇ブルーローズと、ガン見する別の組織のパーティー達がいた。兎人族だからウサ耳が付いおり、かつ美女でおっとりとした雰囲気で清楚な雰囲気が滲み出ていた。


「詳細は分からないのですが、あの屋敷の元々の主人と私の先祖、スター商会初代会長が親友同士だったらしいのですよ〜。」

「え!?そうなんですか!?」


 ホルンを観察していたら、キューマスターという人物と、ホルンの先祖の意外な接点を聞いて驚いた。


「そうでごぜーますな、メッちんと会ったのはキューマスターと別れた後でごぜーますが、楽しそうにキューマスターの事を話していたでありますからなぁ。」

「そうなんだ。」


(メッちん?)


 フィー流の呼び方の所為で、スター商会初代会長の名前が分からないが、本当に親友同士だったらしい、


「そう!それですわ!」


 ガシッ!


「ふぇ?」

「えっと、ホルンさん?」


「え、あんたまさかスイッチ入ったの?」


 突然大きな声を上げ立ち上がったかと思うと、フィーの両肩を掴んだ。そしてリナリーは何か不穏か事を言った。


「私の先祖、メチス・リー・スターは親友であるキューマスターという人物から、商品開発に奴立つ本を授かりました。しかし!それは簡単に解読できない様、謎の文字が使われ今でも再現出来ない謎の技術で綺麗な絵が描かれていました!さらに高度な劣化防止が付いており、「研究したい!」とフランソワが目の色を変える魔法技術も使われておりました!だとすれば、あの見るからに崩れそうなボロボロの屋敷がものの数分で直る謎の魔導具型の屋敷には、何か商品開発に役に立つ何かがあるに違いありません!」

「う、うーむ?」

「はっ!?そういえば、屋敷のボロボロ具合に驚いてあの時失念していました!もしかしたらフィーさんは、あの本が解読出来るのでは!?」


 ポカッ、


「あ痛!?」

「落ち着きなさい!」


 止まらないホルンをリナリーが叩いて止めた。


「私はともかく、フランソワもそうだけど、何で好きな事になるとそんなに興奮するのよ?フィーを見なさい、こんなに困った変な顔するの初めて見たわよ?」

「リナッち!?何か酷い言い方でごぜーますな!?」


 フィーがリナリーに突っ込みを入れつつ、ホルンは正気を取り戻した。


「……申し訳ございません。商売の事になると我を忘れてしまうので。」

「ホノるるは、メッちんの遺伝子をしっかりと受け継いでいるでごぜーますなぁ。」


(薔薇の集いって、皆何かしらスイッチを持ってるの?)


 薔薇の集いのスイッチ事情が気になりつつも、正気を取り戻したホルンが、フィーとシャルの方を向くと、


「フィーさん、シャルさん、屋敷の中に入れて頂く事は出来ますか?」

「「いきなり!?」」

「あんたまだ正気じゃ無いわね?」


 ぱっと見冷静そうに見えるが、さっきの興奮した時と同じ目をしていた。


「……この様子だと、しばらくは無理でごぜーますな?」

「……屋敷に入れるのは危険ね。」


 小声で話すフィーとシャル。屋敷には、沢山の魔導具やら前世で馴染みのある道具があるので、見せたら只では済まなそうだ。


「フランソワが趣味で洋服作ってた時もそうだけど、あんたが興奮して暴走すると、とんでもない事なるから止めてよね。小規模で良かったのに、今では大陸一の洋服店……今は大丈夫だけど、当時のフランソワは酷い状態だったわよ?」

「……はい。」


 さっきとは打って変わり、説教する側になったリナリー。ホルンは反省しつつリナリーの説教をおとなしく聞いていた。


「……あ、シャルさん。明日、私の商会に来て頂けますか?」

「商会に……ですか?」


 説教されてしゅんとしながら、ホルンはシャルに商会に来て欲しいと言った。若干警戒しつつも首を傾げるシャル。


「えっと、決して深い意味は無いのですが、フランソワから、“白薔薇のエンブレム”を授かったかと思いますが、現在それを認めているのが、当人のフランソワとリナリーだけだというのはご存知ですか?」

「あ、はい。」


 リナリーがフランソワに物凄く怒っていたので、よく分かっている。


「私も噂は聞きましたが、シャルさんがどんな人物か分かりませんでした。今も分かるのは声が凄く綺麗で、顔が一切見えない事と、山奥でずっと暮らしていたにしては、礼儀正しくて所作が綺麗な事くらいです。」


(……凄い観察されてる。)


「そこで、私からも白薔薇のエンブレムを持つに相応しい人物か試験をさせて頂きます。」

「試験……ですか?」

「はい。」


 ホルンの試験、一体どんな試験が待っているのか、


「あんた、それを理由に商品開発を手伝ってもらおうとか考えて無いわよね?」

「うっ、明日商会でお待ちしてますわ〜。」


 ……どんな試験が待っているのだろう。

あっさりと青の薔薇集結回は終わり、ホルン回に以降します。

転生者?という疑惑のものは全部キューマスターの所為です。

ちなみに、Cランク冒険者のパーティー名は頭文字を全て繋げると、いろは歌の最初の方になります。


乙戯流解説


〜体術〜


流の型

・流星:遠距離攻撃を気で作った空気の玉の中に押し込み無力化したあと、空へ放つ技。放った後が流星の様な光景から名付けられた。流輝星は魔法も無力化する事を可能にした。


・流浪:避けながら相手を一箇所に纏めて遠くへ飛ばす技。流爆浪は爆発系の魔法を加えて更に吹き飛ばす能力も危険度も上がった。



掌の型

・“掌波しょうは”:気で掌底打ちを飛ばす技。


・“天掌てんしょう”:上に突き上げるように掌底打ちを放ち、相手を上に飛ばしたり遠距離攻撃を上に弾く技。



三元型

終纏しゅうてん:乙戯流体術“型合わせ”三元型の必殺の型。今回は威力を最小限に抑え、直接当てなかった。

『纏めて終える』という言葉を体術で表した無慈悲な技で、本来は気を使って「流」で空間ごと相手を空気の球の中に閉じ込め圧縮し、「掌」でそれごと上空に打ち上げとてつもない圧を掛け、「槌」でその空気の球を空間ごと巻き込み回転させながら蹴り落とすエグい技。

刀術の三元型、“無戯”と似た所があるが、三元型の基本型が似ている為、刀でやるか素手でやるかの違いになる。“無戯”の方が広範囲かつ威力が上。


体術の型合わせ及び魔法との合わせは、今後の物語に出るかは考え中です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ