謎のルーキー 2
(・・・さて、登録は終わったし、これからどうしようかしら?目立たないレベルの素材を持ってきて後は処分しちゃったけど、お金はまだ装備を整えられる程じゃないだろうし。)
シャルは、ギルド内の依頼ボードを見ながら思っていた。目立たない事を大前提に行動したため、素材は少ししか持ってこなかったが、装備を整える事を考えなければ、二ヶ月程度生活出来る金額は手に入っている。だが山奥で一年も暮らしていたため、正直宿をとるよりも服や装備をどうにかしたかった。
(武器が無かったから、この世界に合わせて木刀じゃなくて木の剣を作ったけど、これでその辺の魔物を狩ってますって・・・やっぱり目立つわよね。)
それ以外の要素でかなり目立っているが、今全身をローブで隠していて武器も隠れていた。服を手に入れ、着ている服を見えるようにすれば、おのずと武器である木の剣も見える事になる。木の剣で普通に魔物を斬って狩るのは異常だという認識くらいはあった。
(当面の目標は装備を整える事、あとはこの世界の流儀で戦えるようにしないと。)
かつて前世の自分が極めた流派、乙戯流を使えば簡単に敵を圧倒出来るが、せっかく魔法という概念があるなら色々使ってみたい、という探究心が湧いていた。
(何処かに魔法関係の本売ってないかしら、まぁその辺の散策も依頼を幾つか受けてからね。)
当面の目標を決めたシャルは、依頼ボードをじっくりと見始めた。
(・・・魔物退治系を一つと、採取系一つかなぁ・・・う〜ん、やっぱりFランクだとロクな依頼が無いわねどれもお手伝い系とか、街の便利屋さんかしら?あっでも、魔物の素材買い取ってくれるなら、薬草採取しながら狩れば良いかな。)
薬草採取の依頼の紙を取ると、受付嬢ミリーの所に向かっていった。
「・・・すみません、この依頼を受けたいんですが。」
「!?あ、はい!薬草採取の依頼ですね手続き致します。」
「・・・ちなみに、依頼じゃなくてもさっきみたいに魔物の素材を持ってくれば、普通に買い取ってくれるんですよね?」
「はい、その際に依頼にあった魔物を倒した際は、真偽を確認いたしますがそのランクで出た分の報酬を得る事が出来ます。・・・まぁ、普通は魔物退治に慣れてないランクのはずなので好んでやる方は少数ですが。」
「・・・ですよね。」
自分の考えが少しズレている事を遠まわしに言われた気がするが、装備品(主に服)を整える事が最優先事項なので気にしない事にした。
「・・・では、手続きは終わりましたので、行ってらっしゃいませシャル様。」
「ありがとうございます・・・えと」
「ミリーです。」
「あはは・・・ごめんなさいミリーさん。行ってきます。」
そういえばまた人の名前を聞いていなかったと、苦笑いをして受付嬢ミリーに謝ってギルドを後にした。
「あ・・・ディックさん。」
「ん?ああ、えとさっきの・・・名前は」
「シャルです。さっきはありがとうございました。」
「・・・シャル様か、早速依頼かい?」
「はい、薬草採取の依頼を一つ。ついでに魔物も少し狩ってきます。」
「・・・そうか、気を付けてな。」
「ありがとうございます。」
ようやく互いの名前を知る事ができた2人は、軽く挨拶を済ませ別れた。
◆◆◆◆
(さて、近くの森まで来たけど、今回は魔法を試してみるかな。)
山奥では乙戯流の感覚を取り戻すため、一年もの間ずっと使ってきたが、さすがに前世の自分の力に頼りすぎるわけにはいかないので、魔法を使う事にした。
(小さい頃に魔法については少し学んだのよね・・・体内にある魔力を意識して、呪文を唱える・・・え〜と、風よ・・・我が呼びかけに・・・何だっけ?・・・まぁ、いっか!魔法はイメージ出来ればなんとかなる!突風よ吹け!!)
バキバキバキ!!
「ギャアアア!?」
シャルが強い風をイメージすると、突風が吹き木が数本倒れ、近くの魔物が巻き添えを喰らった。
「ガアア!」
(おっと、強すぎたかなあ?今度は風の球を打ち込むように・・・せい!!)
「ギ、ギャァァァ!?」
木の下から這い出た魔物の攻撃を避けつつ、
今度は風を圧縮して球を作り、そのまま魔物に打ち込んだ。
(うん!イメージ通り!魔法って簡単ね。)
全くもってそんな事は無いのだが、無詠唱で魔法を精密なコントロールかつ、高威力で打ち出せる事を突っ込める人間は、この場にいなかった。そして魔法を自在に使える事にテンションの上がったシャルは、木の剣を構えると、
(これなら、乙戯流の技に合わせて使えるかなぁ?よし、刀術に合わせてみるかな。)
意識を木の剣に集中し始めた。乙戯流の基本は、流れを読み、断つ事、刀術の基本型は三つ。柳の様なしなやかさで、攻撃を受け流す“柳”、空を縦横無尽にかけ、遠距離から真空波を放つ“空”、その一閃は、空間をも切るような錯覚が起きるほどに強力な一撃“斬”、《柳・空・斬》これが乙戯流刀術の基本型。
(合わせるのは空の型・・・とりあえず飛んでからやってみるかな?・・・空の型“遊歩”!)
タッタッタと軽快な音と共に空気を蹴り上げ、シャルは空へと飛んだ。そしてさっきの騒ぎで集まっていた魔物達に向かって木の剣を構えると、
(この世界・・・ううん、乙戯流後継者で初の魔法との合わせ技・・・“空墜刃”!!)
魔法で限界まで圧縮した風を、真空の斬撃と共に四方に落とした。
「「「ギャアアア!!?」」」
シャルの放った技は地上に到達すると爆ぜ、強大な真空の爆風を起こし、真下にいた魔物や木々、自然を巻き込み斬り裂いた。その光景は、端から見れば局地的に起きた災害だった。
「・・・・・・やり過ぎたわね。テンションが上がって冷静さに欠けてたわ。・・・うう、素材が勿体無い。」
今更遅いが、地上に降りたシャルは自身の起こした惨状を冷静に分析した。比較的真ん中ぐらいの威力の技を選んだつもりが、乙戯流と魔法を合わせると、魔物の素材も吹き飛ばすとんでもない威力になる事がわかり、もっと加減の練習が必要になるなと、今後の合わせ技について思考を巡らせた。だがそもそも、明らかにシャルのポテンシャルの高さが原因だという事は、本人が気付くことは無い。
(・・・あ、薬草採取の依頼忘れてた。)
つい調子に乗って、災害のような被害を巻き起こしたが、本来の目的を思い出し、薬草採取に集中を始めた。
(そういえば、探索系の魔法もあるのかな?ミリーさんに聞いた話しだと、効能が高い薬草は微弱な魔力が籠っているらしいけど・・・探索・・・・魔力・・・サーチ!)
依頼を受ける時、薬草の特徴をついでに聞いたが、魔力を正確に感知出来る人は、薬草が持つ微弱な魔力を見て採取するという、シャルが魔力を巡らせると、辺り一帯の魔力を持った存在を感知した。
(・・・動いているのは魔物・・・微弱なのが多分薬草とかなんだろうけど・・・情報が多過ぎるわね、対象を微弱なものに集中!・・・あ、いい感じ!さらに近くの薬草と同じ様な波長のものに合わせて・・・楽勝ね!)
とはいえ、普通の人は一つ一つ見なければいけないが、オリジナルの探索魔法で対象を細かく絞って探せる芸当は、明らかに異常である。
(薬草採取は問題ないわね。取りすぎて目立つといけないから必要な数だけ取って、魔物は魔法の練習しながら狩ればいっか。)
そして、練習台として森の魔物たちに恐怖を植え付けながらシャルは鼻唄交じりに依頼をこなすのだった。
◆◆◆◆
「・・・はい、確認致しました。薬草採取の依頼は成功ですね。・・・あのシャル様、その後ろの袋は全部魔物の素材ですか?」
「はい、そうです!たまたま群れで見つけて、たくさん取れました!」
街にいる少ない冒険者の視線が突き刺さる中、ジト目でシャルの持つ袋を見つめながら聞くミリーに対し、いかにも新人冒険者が運良く魔物を狩れた程で元気に答えるシャル。鼻唄交じりに魔物を狩りすぎた気がするが、始めはこの街に来た時同様、持っていく素材を減らそうかと思ったが、山脈いた魔物ほど強くは無かったので、問題無いだろうとそのまま持って来た。
「・・・では、こちらは薬草採取の報酬です。査定の窓口はあちらにありますので、そこで査定してください。」
「ありがとうございます!」
「あとEランクの昇格条件は絶対に満たしています。手続き致しますので、必ずまたここに戻って来てください。」
「・・・へ?・・・早く無いですか?」
「シャル様・・・普通Fランク冒険者は担ぐぐらい大きな袋いっぱいに魔物の素材は入れてきません。そもそも・・・」
最初の魔物の素材の段階で、昇格条件はほぼ揃っており、すぐ昇格出来た事、依頼をこなし、かつ袋いっぱいの魔物素材を狩って戻って来る早さが異常な事、なんか森でとんでもない破壊音がしていて森に入った人物がシャル一人だという事、淑女たる者がなんとかかんとか、そもそも素性を隠しているって事は、目立ちたくないんじゃないですか?と、
シャルの自由な行動にあきれたミリーが、その思いを爆発させ説教した。
「・・・ごめんなさい。」
「分かって頂ければ幸いです。シャル様が自由に冒険出来る様、私共も最善は尽くしますが、羽目を外し過ぎないようにしてください。」
「・・・はい、ありがとうございます。・・・でも、どうして冒険者になったばかりの私に親身になってくれるんですか?」
「・・・それは。」
貴方がきっと、何処かの貴族のご令嬢だからですよ。とは言えないミリーなので、
「それが冒険者ギルドの勤めですから。シャル様。」
と、とびっきりの営業スマイルで対応するミリーだった。
「そうなんですね。ありがとうございます。・・・あ、あの今後は出来れば様付けでなく、呼び捨てで大丈夫です。」
「わかりました。シャルちゃん。」
「・・・ええと・・・それで大丈夫です。」
顔がまったく見えないのに、声の綺麗さと動きがあまりにも可愛く、思わずちゃん付けしたミリーだったが、シャル的には親近感が湧いて良い感じだったのでそのままの呼び方で言ってもらう事にした。
◆◆◆◆
(結構高く売れたなぁ、これなら明日洋服が見れるわね。)
受付嬢ミリーとの距離が近くなったシャルは、魔物素材売却で手に入れたお金を見ながらミリーに紹介してもらった宿へと向かって行った。
(ミリーさん行きつけのマダム・フランソワが経営する大陸一の洋服店“フランソワーズ”・・・冒険者用の服も沢山揃ってるって話だし、楽しみね。)
ミリーさんに今の洋服事情を説明したら、「・・・まさか・・・家出?・・・それとも・・・」と何か聞こえないほど小さな声で何かを呟いていたが、すぐにオススメの洋服店を紹介してくれた。
色々話していた為時間が遅くなり、洋服店には次の日に行く事にしたが、前世でも洋服などをじっくり見るのが好きだったシャルは、楽しみでしょうがなかった。
(・・・あ、着いた。ここが“やすらぎ亭)
3階建ての建物で、一階の一部がレストランの様なものが付いている景観だった。若い夫婦が経営している宿屋で娘が一人おり、料理も美味しくサービスも行き届いており、女性冒険者も安心して利用出来る所らしい。
カラン、カラン、
「いらっしゃい・・・ませ?」
中に入ると、10歳ぐらいの女の子が元気良く挨拶をしようとしたが、全身黒づくめのシャルを見て、不思議そうに首を傾げた。
「・・・あの、ミリーさんの紹介で来たんですが。」
「!?・・・あ、あぁ!シャルさんですね!さっき手紙が届いたので、お待ちしておりましたよ!ようこそ“やすらぎ亭”へ!!」
その格好で何も知らずに見たら面倒な事になると、事前にミリーが手紙を届けてくれていたので、怖がらせる事なくスムーズに話しが進んだ。
「私は、このやすらぎ亭を経営している両親の娘で、ラルです!よろしくお願いします!」
「ええ、よろしくね。ラルちゃんって呼んでも良いかしら?」
「はい!・・・へへ、シャルさんって手紙に書いてありましたけど、すごく綺麗な声してますよね。」
「え!?そ、そうかなぁ。」
自分が他の人から、怪しい黒づくめの人間に見られている事は自覚していたが、まさか自分の声が綺麗だと言われるとは思っていなく、不意打ちで褒められたので、どう返していいかわからなかった。
「うん!すごく綺麗な声ですよ!是非、シャルさんのお話しを聞いてみたいです。私この街で産まれたんで、外の事あまり知らなくて・・・代わりにオススメのお店紹介しますから!私に任せてくれればサービスしてもらえますよ!あ、それから・・・あっ痛!?」
「いつまで喋ってるんだい!とっとと案内しないか!」
一人で喋り始めるラルに、後ろから来た女性が拳骨を落とした。
「・・・痛いよ・・・お母さん。」
「お客さんそっちのけで一人で喋り始めるからだよ!・・・悪かったね。あたしはキエラ、この娘の母親だよ。」
「あ、シャルです。よろしくお願いします。」
後ろから彼女が近付いて来ているのは気づいていたが、怒っている様子だったので見ないフリをしたシャル。案の定拳骨を落とされて、痛そうにしているラルを見ながらシャルはキエラに挨拶する。
「・・・本当に綺麗な声だね。」
「そうだよね!綺麗な声だよね!」
「まったくこの娘は・・・それで、シャルって呼んで良いかい?」
「はい。」
「シャルは、どのくらいこの宿に泊まるんだい?」
「う〜ん、とりあえず一ヶ月でお願いします。」
魔物の素材を売ったお金もあるし、この街で準備する事を考えると、一ヵ月以上は必要になると判断して宿泊日数を伝えた。
「一ヶ月かい?・ ・ ・ずいぶんと長い期間取るんだね。まぁ、商売をしてるこっちにとってはありがたいけど、ウチは先払いだから一泊夕食と朝食付きで銅貨5枚、一ヶ月だと銀貨1枚と小銀貨5枚だよ。」
「じゃあ、これでお願いします。」
「あいよ、確かに貰ったよ。これが鍵で、鍵の番号が書かれている二階の部屋を使いな。身体を拭きたい時は、お湯が無料で用意出来るから気軽に声を掛けな。」
「はい、ありがとうございます。」
「シャルさん!時間がある時に色々お話し聞かせてくださいね!」
元気良く喋るラルに手を振りながら、シャルは部屋へと向かった。
(・・・前世でも色んな所に泊まったけど、やっぱりこういう宿も良いものね。)
部屋に入ったシャルは、その後お湯をもらい、宿で用意してくれた布で身体を拭きながらやすらぎ亭の温かみのある雰囲気に感動していた。
前世では諸事情で各地を転々としていたが、こういうアットホームな宿屋も新鮮で楽しいと感じていた。
(う〜ん、久々にお風呂入りたい!身体拭いたり水浴びするだけじゃやっぱり疲れがとれた気がしないわ。)
修行の時に魔法を使えば入れたかもしれないが、乙戯流の感覚を取り戻す事だけに集中していた為、生活面に関しては最低限の事しかしてこなかった。
(まぁ、それもいずれなんとかするとして、あとは素顔を見られない様、隠蔽魔法とか部屋に入られないように魔力の結界があっても良いかも、明日そういう系統の魔法書がないか見てみないと・・・それにしても、まともに寝るのも久しぶりね・・・ふかふかのベッド。)
今日はいい夢が見れそうだなと、今まで張っていた気を解いた分眠気が襲い、そのまま眠りにつくシャルだった。
◆◆◆◆
〜朝〜
「・・・ふわぁ。良く寝たわ。」
朝の日の光を感じながら、気持ちの良い朝を迎えた。
(・ ・ ・さぁ、今日は洋服を見に行って、その後は魔法書を見に行って・・・それから装備も整えて出かけてみるかな)
いつ誰に素顔を見られているか分からないので、ローブをつけたまま寝たが、そもそも追っ手自体いないのでそんな心配もいらなかったようだ。
宿屋の一階に降りると、ラルがカウンターの前で退屈そうにしていた。
「おはよう、ラルちゃん。」
「あっ!シャルさん!おはようございます!昨日はよく眠れましたか?」
「うん、ベットもふかふかだったし、すごく気持ちよく眠れたよ。」
「そうですか!それはよかったです! ・ ・・昨日はごめんなさい、一人で喋りすぎちゃったみたいで。」
どうやらラルちゃんは、昨日のことを反省していたようだ。
「いいのよ、私はラルちゃんのそういう所、可愛いと思うわ。」
「エヘヘ、そうですか?ありがとうございます。」
ラルは、褒められるとは思っていなかったのか凄く照れた様子で答えた。
「朝食は食べて行かれますか?」
「うん、朝食を食べてから出かけるわ。今日は洋服を見に行く予定なのよ。」
「そうなんですか!いいなぁ、私も洋服見に行きたいなぁ・・・あ、ここはこっそり抜け出して・・・。」
「こっそり抜け出してなんだい?」
「ひゃあ!お母さん!?いつからそこに!?」
「シャルに挨拶している時からだよ!仕事の手伝いほっぽり出して、抜け出そうとするんじゃないよ!ここはいいから、食堂で手伝いしてきな!」
「・・・は〜い。」
宿を抜け出そうとしてキエラに怒鳴られたラルは、渋々食堂に向かって行った。
「シャルも朝食は食べていくかい?」
「はい!食べていきます。昨日食べずに寝ちゃったので、お腹空いちゃって・・・」
「そうかい、うちの旦那の料理は美味しいから楽しみにしてな。食堂は、娘の行った方向だからそのまま行くといい。」
「わかりました!ありがとうございます!キエラさん。」
そういえば、まともな食事をとるは久しぶりだと、これから出る朝食に期待しながらシャルは食堂に向かって行った。
◆◆◆◆
(朝食、美味しかったわ。)
朝食を食べ終え宿を出たシャルは、洋服店“フランソワーズ”に向かっていた。
(キエラさんの旦那さん。“ボルク”さんだっけ?無口だけど優しそうな人だったなぁ。やすらぎ亭の家族は、素顔隠してても普通に接してくれるから助かるなぁ。)
食堂の手伝いをしていたラルが、「お父さんを紹介するね!」と言い、やすらぎ亭の亭主“ボルク”を連れて来てくれた。ほとんど喋らずラルが代わりに喋っていたが、人の良さそうな雰囲気がにじみ出ていた。料理が美味しかったと言ったら、凄く照れていた。
(さて、もう少しでお店に着くわね。大陸一の洋服店っていうから楽しみね。流石に大陸中を駆け巡っているていう、オーナーには会えないだろうけど・・・あ、着いた。)
久々に洋服をじっくり見れるので、洋服の事で頭がいっぱいだったシャルは、あっという間に洋服店に着いた。
目の前にあるお店は、一瞬どこかの貴族の屋敷かと思うくらい大きいが、所々に洋服をモチーフにした飾りがしてあり、とてもお洒落な店構えだった。
チリン、チリン、
「いらっしゃいませ〜!あら?全身黒づくめの珍しい女性のお客様ね!私の経営する“フランソワーズ”にようこそ!オーナーの“フランソワ”よ。宜しくね。」
店に入って歓迎してくれたのは、大陸中を駆け巡っているという、オーナーのマダム“フランソワ”だった。
修行中は一切魔法を使っていません。
乙戯流の解説
・遊歩:空の型、空気を蹴り空を駆ける技。
・墜刃:空の型、真空の刃を落とす技。空墜刃は、それに風属性の魔法を合わせたもの。
乙戯流については、今後も説明していきます。彼女の強さの源なので