おまけ〜シャルとフィーのお風呂談義〜
ダンジョン回は次回と言いましたが、先におまけを投稿します。おまけと言いつつ、ストーリー上関係のある会話をしています。あ、シャルがフィーに顔を見せますが、読者と作者には絶対に見えない仕様となっております。明確な描写もしないので、フィーのリアクションのみで判断してください。
シャッシャッシャッシャ!キュッキュ、
「うらうらうら〜!!」
「鏡を拭いて。」
ダダダダダッ! キュッキュ、
「そらそらそら〜!!」
「その周りも拭いて。」
ジャー!ジャッジャッジャ!シャー、
「オラオラオラ〜!」
「水で流して・・・よし!これで終わり!」
「終わったでごぜーま・・・何故動き回っていたわっちより掃除した範囲が広いでありますか?!」
「そこはほら、武をある程度のレベルまで極めればね?」
「またしてもチートでごぜーますか!?」
コリンとガーネット、ベルモットと別れた後、シャルはお風呂に入る為、フィーと掃除をして終わった所だった。
「さあ、入りましょう。」
「かしまこ・・・そういえばシャル様?お風呂ではそのローブは脱ぐでごぜーますか?」
「え?当たり前よ。普通、服着たままお風呂は入らないでしょ?」
「その・・・大丈夫でごぜーますか?」
「どうして?あ、顔を見せて大丈夫かって事?此処は地下だから外からは見えないし、フィーなら見せても大丈夫だし、私の事話すってさっき言ったじゃない。」
「・・・ふむ、わっちはマスターになる人物の秘密は“妖精の誓い”にかけて漏らす事は無いでごぜーますからなぁ。」
「マスタークイズしたのに?」
「契約している間の話しでごぜーますよ?キューマスターの契約は別れた時に解除しておりますし、そもそも500年前の情報などあまり役に立たないでごぜーますからなぁ。」
「そういうものなの?」
「基本は一生涯仕える契約でごぜーますから、キューマスターのは特例であります。」
「なるほど。」
浴室のある部屋から出て脱衣所で会話しつつ、フィーはシャルがローブを脱いで顔を出す事を気にして聞いたが、シャルはこれから一緒に暮らすので事情を全て話しておこうと決めていたので平然と答えた。
ガラガラ、
「シャル様、着替えは?」
「着替えは、収納魔法の組み込まれた白薔薇のエンブレムの中に持っているから大丈夫よ。体を拭く布もあるし石鹸もあるし、すぐにでも入れるわ。」
「おお、魔導具でごぜーますか!用意周到!」
「フィーは?」
「妖精でごぜーますからなぁ、自分の服は魔法で作れますし、体の一部の様なものでごぜーますよ。体も魔法で乾かせばいいので、全く問題無いであります。」
「そう?じゃあ入ろっか?」
「かしまりでごぜーます!!」
脱衣所に出た二人は、お風呂に入る為服を脱ぎ始めた。
「よく考えたら、ローブを長時間脱ぐ事になるのは久しぶりかも?体を拭く時以外は脱がなかったし。魔導具だから汚れないし、臭いも付かないから、ずっと着てたのよね。」
「ふむ、汚れない臭いも付かない魔導具だからこそ出来る事でごぜーますな。というか、本当に顔を見せない様に徹底しているでありますなぁ。」
「ええ、バレたら困るもの。」
「・・・ふ〜む?シャル様、一体何者?」
「お風呂に入っている時に話すわ。」
「うんうん!ではすぐに入るでごぜーます!」
シュルシュル、シュッ、
そして、フィーとシャルは服を脱ぎ始めた。フィーはシャルに背を向けつつ、魔法で服を作っているのですぐに服を魔法で消した。
「フィー、何でそっち向いているの?」
「エチケットでごぜーます。あとは、シャル様が服を脱いだ時に、振り返って一気に見る為であります。」
「なるほどね。もう、服は脱いだわよ?」
「早っ?!魔法で消した訳じゃ無いのに、驚きの早さ!?」
服を脱ぐ音は聞こえていたが、まさかもう脱ぎ終わっているとは思わず驚いてフィーは突っ込む、
「・・・ふ、ふ〜む?で、では顔を見せたシャル様とご対メーン・・・」
クルッ、
「・・・・・・ふぇ?」
「フィー?」
「・・・・・ふぁ?!?!?!ふぁぁぁ!?!?」
◆◆◆◆
チャポン、
シャルの顔を見た後、体を洗い終わった二人は浴槽に浸かっていた。
「プ、プリンセス?!」
「そう、アーランド王国の第一王女だったの。本名はシャリーゼ・ログ・アーランドよ。」
「・・・なるほど・・・プリンセス・・・」
しばらくゆっくりした後、シャルはフィーに自分の素性を明かした。フィーは驚いたが納得した様だ。
「・・・しかし、何故此処に?」
「えっと、話すと長くなるんだけど・・・」
〜数十分後〜
「記憶を取り戻す前の性格が原因で父君に怒られて幽閉されて、前世の記憶が蘇ったあとは城を抜け出して一年間山籠り、そして名を変え冒険者に・・・え?何ですか?そのとんでも王女。」
「よくよく考えると、王女としては駄目よね。」
「・・・それ、王女限定の話しでごぜーますか?」
シャルから事情を聞いたフィーは、全く想像だにしていなかった話に驚いた。てっきり、お忍びで冒険者活動を満喫する貴族のお嬢様かと思っていたフィーだが、王女で家出した身で、しかも一年間山籠りしていたなど予測出来なかった。
「しかも、山籠りする前はかなりふくよかだったと?」
「うん、不健康な感じでね。今世ではかなりわがままな性格をしていたのよ?」
「今のシャル様からは全く想像出来ないでごぜーますなぁ。」
「そうね、私もそう思う。今は前世の時みたいにスリムになったし、性格も前世の色が強いかな?まぁ、前世と比べると楽観的になった気がするし、今世の性格も混ざってるみたい。」
「ほうほう、ちなみにシャル様は前世ではどんな人だったでごぜーますか?」
「そうね、一言でいえば冷静・・・かな?常に“意思なき魔物”と戦う事を考えてたし、かなり真面目な性格だったわ。」
「シャル様の世界も魔物がいたでごぜーますか?!キューマスターからは、そんな話し聞いた事が無かったでありますが。」
「全く同じ世界からとは限らないけど、もし同じ世界の住人なら一般人は知らない人がほとんどのはずよ?秘密裏に倒してたし。」
「何やら、凄い話しでごぜーますなぁ。」
「確かに、前世に関しては壮絶な人生だったわ。まぁ、そういう経験もあったし、今は前世で培った乙戯流のお陰でだいぶ助かっているわ。」
「その“オトギリュウ”とやらの話しも聞きたいでごぜーます。 」
「また今度ね、話すと長くなるしのぼせちゃうから。」
「うんうん!かしまりでごぜーます!」
こうしてシャルとフィーの屋敷での夜は更けていく。
ダンジョン回は明日投稿します。