家とダンジョンとシャル 3
「う〜む、これはクイズを出す必要がありそうですな〜。」
「え?クイズ?」
「という訳で!マスタークイ〜ズ!!」
「え?ねぇ、ちょっと?」
元同郷の人間について考えていたら、急にクイズが始まった。
「デテン!第一問、マスターは転生者である?マルかバツか?」
「それ、さっき答え聞いた・・・」
「マルかバツか!」
「・・・マル。」
「正解!」
「ねぇ?なんで急にクイズが・・・」
「続いて第二問!」
「聞いて!?」
全く話しを聞かずにクイズを進めるフィーに思わず突っ込むシャル。
「マスターは男であるか?マルかバツか?」
「・・・さっき『俺』って聞いたしマル。」
「正解!ではでは第三問!」
(どこまでやるつもりなのかしら?)
そう考えつつ、とことん付き合うしかないかな?と思い答える。
「今は大暦何年?」
「え〜と?確か大暦800年だったかな?」
「・・・ふぁ?大暦800年??」
「なんで問題出した本人が首を傾げているの?」
この世界では暦を“大暦”と称して一年が前世と同じ365日らしい、なのでかすかな記憶を頼りに答えたが、なぜかフィーが首を傾げた。
「本当でごぜーますか?そこそこ時間が経っているとは思っていましたが、マスターと別れてから500年も経っているでごぜーますか?ふぇぇ?」
「・・・500年?」
(この屋敷、どれだけ前から建っているの?そもそも500年って・・・それにしては、私のいた時代とズレがあまり無いような・・・)
元同郷とだいぶ生きている時代が違う事が分かったが、どうやら転生前の時代とはそこまで差異はない様だ。
「なるほど、道理で屋敷が崩落寸前のボロボロの状態になる訳でごぜーますなぁ。まぁまぁ、マスターと別れてから覚悟はしていたでごぜーますから問題無しであります!」
「あ、意外と軽いのね。」
「マスターとの別れはキッチリ済ませたであります!『フィー、お前と馬鹿みたいに騒げるのもこれで最後だな。俺は俺の出来る最後の責務を果たしに行く、皆が笑顔で暮らせる世界の為にな。』・・・うんうん・・・懐かしの日々。」
「・・・・・・。」
急にしおらしくなったフィーに、相当そのマスターを慕っていたのだなと優しい目でフィーを見つめた。
「という訳で改めて第三問!」
「切り替え早っ!?」
「マスターは500年前の人間で種族はヒューマンである?マルかバツか?」
「それって答えよね?・・・マル。」
「大正解!」
「いつ終わるの?」
「後二問!!」
「・・・分かったわ、付き合うわ。」
「うんうん!流石はわっちの見込んだお方!」
色々気になる所はあるが、最後までフィーに付き合う事にしたシャル。
「第四問!マスターがトイレに作った革命的な物は?」
「温水で洗浄してくれる便座?」
「なな!?これを見ずに答えるとは・・・正解!」
(なんだか、若干クイズが楽しくなってきたわね。)
「最後!マスターは料理好きですが、ここにある道具を答えられるだけ答えるでごぜーます!」
「えっと、炊飯器に冷蔵庫、ミキサーにコンロ、オーブンに卵焼き専用フライパンから用途に合わせたフライパン一式にあとはトースターとか・・・」
「正解正解!大正解〜!!」
全て答えようとしフィーに途中で遮られたが、どうやら最後のクイズも突破した様だ。
「ん〜!パーフェクト!パーフェクトでごぜーますよ!玄関でちゃんと靴を脱いで上がっていた事といい、この世界の人間は多分知らないだろうと、マスターが言っていた物さえ当てるとは!パーフェクト!」
クルクルと無駄に回りながら喜ぶフィー、そしてピシッとポーズを決めると、
「認めましょう・・・シャル様が新たなマスターとなる事を!」
「え?」
フィーは真っ直ぐとシャルを見つめて言った。
「ずっとこの日が来るのを待っていたでごぜーます・・・あれから500年経っていようとは・・・待ち過ぎていた様であります。」
「・・・フィー。」
「しかし遂に!運命の時は訪れたのでごぜーます!これでボロボロの屋敷と、一人寂しい生活は暫くオサラバであります!」
「・・・・・・。」
感傷に浸りながらも、フィーはどうやら契約してくれる様だ。500年、さっきの話しを聞く限り、相当長い時を一人屋敷で過ごしていたフィー、遂に契約をしたくなる様な人物を見つけ、物凄く力が入っている。
「さあさあ!シャル様!いざ!ご契約を!!」
「まだ契約するなんて、一言も言って無いんだけどなぁ?」
「・・・・・・あれぇ?」
そして契約する気満々だったフィーは、シャルの返しに首が折れるんじゃないかというくらい首を傾げた。
「いやいやシャル様?物事には流れと言うものがありまして?」
「え?でも流石に整備するのにお金も時間も掛かりそうな感じだし。」
「そこは問題ナッシングですよ!?ちょいちょい言っていたでごぜーますよね?!」
「あと懐かしい道具を見られたけど、全部壊れているし。」
「大丈夫!大丈夫でごぜーますから!!」
「フィーのテンションに付いていけるか・・・不安だし?」
「何故そこで疑問形?!そしてわっちにダメージ!!うわぁーん!」
シャルのまともかもしれない理由に答えつつも、がっくしと項垂れ泣くフィー。
「・・・なんてね?冗談よ、フィー。」
「ぐすっ・・・ぼんどに゛?」
「ふふ、泣きすぎよ。」
微笑みながらフィーの涙を拭き取るシャル。
「家の整備はゆっくりとやっていけばいいし、懐かしい道具も全く同じは難しいかもしれないけど再現してもらえばいいし、フィーとも一緒に話していて凄く楽しかったし、私はここで暮らしたいな。」
「うぅ・・・シャル様〜!!」
「おっと。」
ポフッ、
「ぬぬぬぬ?!?!」
「だからねフィー。」
フィーは嬉しくてシャルに抱きつき、あまりの抱き心地に驚く、シャルは全くその様子に気付かず話を進める。
「私と契約してくれる?」
「もっちろんでごぜーます!というか至上極上の抱き心地!!」
「あれ?なんか別のワードも入ってない?」
「気にせずゴー!」
「そ、そう?」
フィーはシャルに抱きついてから全く離れる気配が無いが、どうやら契約できる様だ。
「さあさあ!ご契約、ご契約!!」
「よし、じゃあ一回離れようか?」
「ノー!このままで!このままで〜!」
「はい、離れようね〜。」
「くぅ〜!意地悪!意地悪でごぜーます!!」
「楽しそうね。」
抱きついたまま離れないフィーを無理やり引き剥がすと、両手両足をジタバタさせながら楽しそうに抵抗するフィー。
「・・・もう、しょうがないでごぜーますね〜シャル様、普通に契約しましょう。」
「普通じゃないって自覚はあったのね。」
そしてシャルから離れたあと、若干照れながら話しを進め、
「ではでは!真面目な“妖精の誓い”を立てるでごぜーます!」
「はい、いつでもどうぞ。」
フィーは真剣な表情になると、歌の様に詠唱を始めた。
◆◆◆◆
──私は信頼する。心清らかな者を。
──私は約束する。いつ如何なる時も支える事を。
──そして私は契約する。心より認めた者へ親愛の証を。
◆◆◆◆
「“妖精の誓い”」
・・・キュイーン・・・パァァ、
フィーが詠唱を終えると、シャルの左手の甲に綺麗な紋様が浮かび消えた。
「これで契約完了でごぜーます!!」
「普通に詠唱出来るのね?」
「当然でごぜーます!真面目にやらないと妖精王様に怒られるであります!!」
「あ、怒られるって自覚はあったんだ。」
「というより、一回遊びでやったら怒られたでごぜーます!」
「・・・ああ、なるほど。」
なんとなく、怒られる様子が目に浮かぶ。
「さあさあ!では、仕上げと参りましょう!」
「仕上げ?」
廊下へ出る扉の前に移動しながら、フィーはシャルに向かって言い、シャルはこれから一体何をするのか分からず首を傾げる。
「この屋敷を稼働させるでごぜーます!」
「・・・稼働?」
〜地下一階〜
「というわけで、やって参りました秘密の部屋への道!」
「隠し扉だったのね・・・壁が崩れて、隠し扉の意味が無くなっているけど。」
シャルとフィーが向かったのは地下一階だった。お風呂場に行く時も見えていたが、隠し扉だった様だ。
「でも、一体この奥に何があるの?」
「この屋敷の心臓と言ってもいい物でごぜーます!本来は、結界が何重にも張ってあるのでありますが、庭と屋敷に人を入れない様にするので精一杯になっていたでごぜーます!」
「心臓・・・ね。」
(何があるのかしら?)
疑問に思いながらも、通路の奥に進むシャル。
「辿り着いたぜ相棒!」
「何?そのノリ?」
「気にしたら負けでごぜーます!」
「わかったわ。」
「冷たい!“ニューマスター”が冷たい!」
「・・・ニューマスターはちょっと。」
「がーん!?」
意外と自信があったのか、マスター改め“ニューマスター”という呼び方を否定されショックを受けるフィー、
「それにしても・・・この宝玉は?」
「えっと、キュー(旧)マスター曰く『ハウス・コア』という安直なネーミングの物らしいでごぜーます。」
「その言い方突っ込まないわよ?それにしてもハウス・コアね。」
「そうで〜す!資格のある者にのみ魔力が込められる屋敷の心臓部分でごぜーます!」
「それって、フィーと契約する事?」
「うんうん!その通りでごぜーます!キューマスターがそういう風に創り変えたであります!」
「それで?魔力を込めるとどうなるの?」
「屋敷が稼働するでごぜーます!」
「う〜ん・・・とりあえずやってみるわね。」
シャルは目の前の宝玉に魔力を込め始めた。
(意外と魔力を使うのかしら?どんどん吸われていくわ。)
ガタン!ガタガタガタ!
「あれ?周りの壁の穴が塞がっていく?というか、揺れてる?」
「もっともっと込めるであります!」
ゴゴゴゴ!ガタガタガタ!
「・・・大丈夫なの?」
「もっともっと!!」
ガタガタガタ!バキバキバキ!カカカカカ!
「・・・凄い。」
「素ん晴らしい!!」
〜結界の外〜
「な、何?!」
「い、一体何が?!」
「コリンさん!ベルモットさん!屋敷が?!」
「「な?!」」
シャルが変なシルキーと屋敷内に入ってから、結界の外で待っていた三人。突然大きな音が聞こえたかと思うと、ボロボロの屋敷が見る見るうちに屋敷が修復されていく。
「ど、どういう事?屋敷が綺麗に・・・」
「な、中では何が起こっているのでしょうか?」
「シャル・・・大丈夫かな?」
◆◆◆◆
ゴゴゴゴゴゴ!!
「・・・ねぇ?フィー?これって何時まで・・・」
「多分、500年分の魔力を取り戻そうとしているのでごぜーます!屋敷の状態を見る限り、あと少しであります!!」
「そ、そう?まぁ、魔力の残量は全然平気みたいだけど。」
「このチート持ちが!で、ごぜーます!・・・ぬ?シャル様、ローブが光っているでごぜーますよ?」
「え?・・・あ、本当だ。多分、このローブが魔導具なのと関係があるのかな?」
「・・・魔導具?・・・よく見たらその漆黒のローブ・・・“隠者”の?」
ガタンガタン!ゴゴゴゴ・・・、
大きな揺れは収まり、屋敷の修復も終わった様だ。隠し部屋も元に戻り、シャルとフィーは近付ける権利があるのか、弾かれはしないがハウス・コアの周辺にも結界の様なものが張り巡らされている。そして、魔力の供給も終わりフィーを見ると、
「・・・フィー?何で泣いているの?」
「ふぇ?・・・ぬぬ?!泣いて無いでごぜーます!これは汗かヨダレでごぜーます!」
「その言い訳はどうなの?」
何故が涙を流していた。
(きっと、屋敷が直ったのに感動しているのね。)
ギュッ、
「なななな?!」
「屋敷が直って感動するのは良いけど、泣き過ぎじゃない?」
「・・・し・・・幸せ〜。」
とりあえず泣き止んでもらおうと、フィーを抱き締めたシャル。幸せそうに抱き締められるフィー。どうやら、効果はてき面の様だ。
「さて、屋敷がどんな風になったか見に行きましょ?」
「わかったでごぜーます!!」
「じゃあ、離れようね〜。」
「意地悪!意地悪〜!」
◆◆◆◆
ギギギギギ・・・ガタン!
「・・・ここまで見違えるなんて・・・。」
「おぉ〜懐かしの光景!」
隠し部屋も見た目が綺麗になったが、隠し扉を出るとそこには傷一つ無い廊下があった。
「流石に、長年のホコリとかは取れないのね。」
「まぁまぁ、あくまで屋敷と、屋敷の一部にした道具の修復をするだけでごぜーますからなぁ。便利な道具は復活したでありますが、基本的な手入れは必要でごぜーます。」
「・・・ねぇ?もしかして掃除機とかもあるの?」
「一時期、キューマスターが作ったでごぜーますが、『掃除は魔法使った方が楽で早いじゃん?!』って気づいてすぐに消えたであります!」
「なるほど。」
とりあえず屋敷の状態を確かめる為、お風呂のある所に行ってみる。
「え?!あの塊、ドライヤーだったの?!ヘアブラシセットも!鏡も大きい・・・どれだけ朽ちてたの?というより、このあたりは屋敷の一部になっていたの?」
「うんうん!何も無い様に見えていた所も、実は色々あったでごぜーます!」
「そうなるとお風呂も・・・」
ガラガラッ、
「うわあ!お湯になってる!?シャワーがある!色々復活してる!?」
「シャル様、凄く興奮してますなぁ〜。」
お風呂にあった大きな浴槽。入っていた水もお湯に変わっており、シャワーも何も無いかと思っていたが、髪や体を洗う石鹸意外の道具は一通り揃っていた様だ。
「・・・フィー、すぐに掃除して入る準備を。」
「アイアイサー!・・・と、言いたい所でごぜーますが、外で皆様がお待ちでは?」
「・・・あ。」
「あ?」
そういえばと、外にいるはずの三人の存在をすっかり忘れていたシャルは、顔は見えないがフードの中で気まずそうな顔をした。
「シャル様?もしや忘れていたで・・・」
「さぁ、コリンさんとガーネット、ベルモットさんに会いに行きましょう!」
「この人、誤魔化す気だ?!」
シャルとフィーは、結界の外で待つ三人に会うべく屋敷の外へと向かった。
◆◆◆◆
「・・・屋敷が・・・完全に直った。」
「・・・こんな事は初めてです。」
「・・・シャル。」
コリン達三人は、結界の外で立ち尽くしていた。大きな音が収まり、コリン達の目線の先には完全に修復した屋敷があった。初めからボロボロでは無かったかの様に傷一つ見当たらない完璧な状態で建っている。
ガチャッ!
「シャル様の御成〜り〜!頭が高い!控えおろう〜!」
「・・・それ、誰も分からないわよ?」
そして屋敷の方から結界の外の三人に聞こえる様に大きな声で出てきたフィーと、普通に出てくるシャル。
「シャル!」
「シャルちゃん!」
「シャル様!」
それぞれがシャルに気付いて声を掛け、
「・・・庭はテラスがあったんだ。」
「外にあったものでごぜーますからなぁ、一番に朽ちていたであります。」
「でも草とかは伸びっぱなしね。」
「自然と生えたものでごぜーますから、刈っておくであります。」
「よろしくね。」
シャルは屋敷の外にテラスがある事に気付き、フィーと話しながら三人の元へ向かう。
「皆さんお待たせしました。」
「さっき忘れてお風呂に・・・ぬぅ?!」
「無事、シルキーと契約出来ました。」
「「「え?!」」」
フィーが余計な事を言わない様に口を手で塞ぎつつ三人に報告し、三人はシャルの言葉に驚いた。
「屋敷に変化があったから、まさかとは思ったけど・・・屋敷に連れて行かれた事といい、シャルちゃん一体何者?」
「山奥でずっと暮らしていた。世間知らずの新人冒険者のシャルです。」
「シャル様?!なんですか、その嘘だと分かる安い設定は!?初耳でごぜーますよ!?気品!ローブで見た目が怪しかったでごぜーますが、溢れ出る気品が隠せてないでありますよ?!」
「・・・そんなに気品が溢れてるの?」
「「「「うん(はい)。」」」」
「・・・ええ?」
フィーに聞いたつもりだったが、まさかこの場にいる全員から答えが返ってくるとは思わず静かに驚く。
「・・・まぁ、それはともかく改めて、契約出来ましたよ?」
「あ、うん・・・流すのね・・・て、そうそう契約よ!どうやって契約出来たの!?」
「えっと・・・普通に?」
「・・・シャル、普通に出来たら今までの拒否された人達って一体・・・」
「まさか、幾度となく契約を拒否してきた屋敷のシルキーと、契約出来るとは思いませんでした。」
シャルからしたら、普通に屋敷を案内してもらって、クイズはあったが特に何も問題なく契約出来たのでそう答えたが、やはり普通ではない様だ。
「・・・ふむ、シャル様案外天然説が・・・」
「あ、そうだフィー、三人に挨拶してあげて?」
「かしこまりでごぜーます!さぁさぁ、よく聞くがいい!結界の外でうごめく三人よ!我こそは長き時を生きる偉大なシルキー、“フィーネリア”でごぜーますよ!新たな主、シャル様に仕える事になった優秀で博識な“フィーネリア”でごぜーますよ!」
「フィーって呼んであげてください。」
「よろしくねフィーちゃん。」
「今まで見たシルキーとはだいぶ性格違うよね?よろしくねフィー。」
「よろしくお願いしたしますフィー殿。」
「うむうむ!・・・ぬ?そこの赤いポニーテール!その言葉、悪意を感じるでごぜーますよ!」
「でも、事実なんでしょ?」
「シャル様?!」
フィーは元気に挨拶しつつガーネットの発言に突っ込みをいれ、シャルの指摘に軽くショックを受けた。
「それにしても、屋敷が直ったのには驚いたわ。」
「屋敷にハウス・コアっていう物があって、それに魔力を込めると屋敷の一部になっている物や、屋敷が修復するそうなんです。」
「え?!凄い!」
「屋敷全体が魔導具の様な物・・・という事でですか?」
「というより、魔導具でごぜーますなぁ。」
「・・・では、フランソワ様が執拗に屋敷に向かっていたと報告があったのは、屋敷が魔導具だったからという事ですか。」
「「「・・・フランソワさん。」」」
フランソワさんらしいな思い、シャルとコリン、ガーネットは呟いた。
「フランソワ?・・・ななな?!まさかあのしつこい女でごぜーますか?!『・・・この屋敷、魔導具?こんな珍しい屋敷、調べない理由は無いわ!』とわっちがいた事に気付かないで結界が張ってあるのに無理やり庭に侵入したあの女でごぜーますね!?宿・敵!!」
「「「「・・・フランソワさん(様)。」」」」
もはや何も言うまい。
「ベルモットさん。」
「はい、シャル様?」
「屋敷は無料で良いんですよね?」
「はい、元々管理といっても、いつからあるか分からない屋敷に本当に人が住むことが出来るのか一応監視しといてくださいと、スター商会の会長であるホルン様より承っております。ですので、特に金銭のやり取りは必要ございません。ホルン様にはご報告致しますが。」
「ちょっと!?失礼でごぜーます!」
「やったねシャル!無料でこんな大っきい屋敷貰えるなんて凄いよ!」
「今度招待してね?美味しい紅茶とか用意するから。」
「わっちのセリフが埋もれた?!」
「分かりましたコリンさん。」
「シャル様も無視?!」
こうして一人叫ぶフィーを放っておきつつ。シャルは今世での新しい家を手に入れた。ここから、シャルの冒険者としての本当の活動が始まる。
短いですが、家回は終わりです。これからフィーとの二人暮しが始まります。三章が終わった後、フィーの幕間が用意してあります。この世界の過去が少しだけ分かります。