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隠者のプリンセス  作者: ツバメ
青の薔薇と氷帝
15/111

青の薔薇と氷帝 5

 〜大酒場“竜の尻尾ドラゴンテイル”〜


「・・・ご馳走様でした・・・?ガーネットやアズライトさん、それにラピスさんも、どうしてそんな不思議そうな顔しているんですか?」


(((結局、一切顔が見えなかった。)))


 ジュエルナイトの三人と食事を楽しんだシャル。食べ終わって酒場の食事に満足しながら、ふと視線を感じたので視線の先を見ると、ジュエルナイトの三人がシャルを不思議そうな顔で見ていた。


「・・・シャルのそのローブって魔導具なの?」

「え?!よく分かったね、ガーネット。」

「いやだって、フード被っているとはいえマスク取って食事してるんだよ!?なんで顔が一切見えないの!?不自然でしょ!?」

「なるほど、魔導具か。」

「ただのローブにしか見えないし、私達専門家じゃないからよく分からないけど、隠密行動とかに向いてそうね。」


(あ、そうなのね?フランソワさんが確か顔も認識しずらくしてあるって言っていたけど、マスク外しても顔全体は見えない仕様なのかな?あんまり魔導具って事で目立ちたくないけど便利ね。)


 このスタイルになってから、食事をとっている姿をしっかりと見られるのは初めてだったので、思いもよらなかった指摘で、ローブに付いているマスクを外してもしっかりとフードを被っていれば顔が見えないことが分かり、魔導具関連の専門家にはこれ以上気付かれたくないが顔を隠す事に関しては便利だと思った。


「あ、そういえば、食事してから結構時間経ったのに、コリン副団長遅いね。Cランクの試験ならすぐに準備出来ると思うけど。」

「そうなの?」

「そういえばそうね。」

「あ〜、それは多分・・・」


 ザワッ!


「ん?入り口の方が騒がしいですね。」

「やっぱな、そうなんじゃねぇかって思ってたんだ。」


 ガーネットとラピスは、コリン副団長がシャルの所に戻って来ない事を疑問に思い、首を傾げていたが、アズライトは何かに気付いていた。そして、酒場の入り口が騒がしくなり、全員が入り口の方に目を向けた。


『リナリー様だ!』

『やっぱり、影の心臓シャドウハートの情報は頼りになるぜ!』

『きゃ〜!リナリー様〜!』

『リナリー様〜!!』


「団長のお出ましだぜ?」


 カツ、カツ、カツ、


「皆、食事とお酒は楽しんでいるかしら?」


「「「「はい!」」」」


 透き通る様な青く長い髪を編み込んだへスタイルで、肌は雪のように白く、小柄だが幼くも大人びた雰囲気を持つ耳の長いエルフ、“氷帝”リナリーが酒場に現れた。


「あ!団長だ!コリン副団長も後ろにいる!」

「なるほどね。リナリー団長がギルド総本部にいたのね。」

「まぁ、リナリー団長がやりそうな事だよな。新人冒険者で気になる奴を他の人間に調べさせてから、自分で会うやつ。」


(あれ?もしかして、調べられてた?まぁでも、悪く思われている感じじゃなかったし、そんな酷い評価は付けられていないと思うけど。)


 初めて訪れた場所に興奮していて、警戒心など微塵もなかったが、よくよく考えたらコリンさんに結構観察されていたなと、自分の事を調べられていた事に気付くシャル、


「それにしてもアズライト、よく気付いたわね。」

「団長の親衛隊の奴らが、妙に多くてそわそわしてたからな。」

「「なるほど。」」

「・・・親衛隊なんてあるんですね。」


(アイドルみたいね。)


 まさか、親衛隊なる人達がいるとはアイドルみたいだな、と思うシャル。確かにリナリーと呼ばれた人物は、物凄く美人で可愛く大人びた雰囲気を持っており、男の人も女の人からも熱烈な視線を浴びている。しかし、アズライトが多いと言っていた通り、酒場の半分以上がリナリーに熱い視線を送っていた。


「リナリー!それにコリンも!」

「あ、スカーレット!ごめんね。騒がしくしちゃって」

「いつも団長がすみません。」

「気にしなくていいよ!お前さん達のおかげで、いつも以上に繁盛してるしね!」

「そう?なら良かった。あ、バッカスにも挨拶しないといけないわね。」

「あたいが伝えとくよ、旦那は向こうで忙しそうだからね・・・何か食べてくのかい?」

「今日は別に用があるからまた後にしておくわ。あそこにいる四人に用があるの。」


 リナリーはそう言うと、シャル達のいるテーブルの方へ目を向けた。


「リナリー団長〜!お疲れ様です〜!」

「ガーネット、大声で手を振らないで、目立つじゃない。」

「まぁ、どっちにしろ団長が来たら目立つだろ。」


 ガーネットは大声で大きく、ラピスとアズライトは控えめにリナリーに手を振った。


「そうかい、じゃあまた後で待ってるよ。」

「ええ、またね。」

「ではまた。」


「・・・あ、こっちに向かって来ますね。」


 リナリーとコリンは、スカーレットに挨拶を済ませると、真っ直ぐこちらに向かって来た。


「初めまして、“隠者”のシャルさん?アズライトの顔を見る限り、もうコリンがシャルさんの事を調べていたのは気付いたようね。私はリナリー・ルー・ブルーローズ、青の薔薇ブルーローズの団長でSランクの冒険者よ。あと、ギルド統括の一人ね。ごめんなさいね、今少し追っている件があって、怪しい人物は一人残らず警戒していたの。」

「ごめんね、シャルちゃん。」

「あ、いえ、怪しい格好している自分が悪いですし。」


 普通の人なら、知らない間に自分の事を調べられていたとわかるのは不快に思うが、見る目明らかに怪しい格好をして、異名が付けられる程の事をして、素性を隠している人間なんて気にならないはずがない、


「そ、そう?自覚してるなら良いけど、顔は見せてくれないのかしら?」

「すみません。訳あって素性を隠しているので、顔を見せるわけにはいかないんです。」

「シャルちゃん、やっぱり顔を見せる気は無いんだ?」

「はい。」


 顔を見せれば、アーランド王国の人間に居場所がバレるかもしれない、シャリーゼとして過去のわがままな王女だった時を考えれば、もし見つかれば連れ戻されて、相当怒られるんじゃないか?なんて事を思っていたら、多分一生涯まともに顔を見せる事は無いかもしれない、そんな覚悟すらもしていたので、絶対に見せるつもりはなかった。


「まぁ、顔は見えなくても冒険者としてしっかりと貢献してくれれば問題ないわ。あたしの団に入団させる予定だし、ある程度お互いの要求は通した方が良いしね。」

「リナリー団長、まだ少ししか話せてないですけど、シャルは絶対に良い子です!是非、青の薔薇ブルーローズに入団させてあげてください!」

「あれ?もう仲良くなったのガーネット?」

「はい!」


(団員以外の人がいるからなのかな?大人っぽさを出そうとしてるけど、素の反応が少し見えるな、小柄で美人で少し幼さがあるエルフ、人気があるのも分かるかも。)


 アイドルを間近で見た事はないが、リナリーの様な人物がアイドルだったら、もの凄く人気が出そうだ。


「俺も問題ないと思うぜ?」

「私も賛成、今回偶然会ったけど、凄く良い子よ。」

「アズライトもラピスも?コリンの報告にあった通り、人柄は問題ないのね。まぁ、入団試験は普通に行うけどね。」

「「「入団試験?」」」


 リナリーの言葉に、ジュエルナイトの三人が首を傾げた。


「俺は受けた事がないが?」

「私も無いわね。リナリー団長から『合格!』って言われただけだし。」

「私も初めて聞いた。」

「まぁ、あたしが判断するだけで普通は済む話だけどね。今回はCランクに試験無しで昇格させる代わりに、特別試験を行うのよ。」

「え?Cランクは試験無しで昇格なんですか?」

「そうなのシャルちゃん。ただ、入団試験の内容がね・・・」


 コリンの表情から察するに、あまり良い内容ではないらしい。


「リナリー団長と一対一で手合わせするの。」

「「「リナリー団長と手合わせ?!」」」


 コリンの言葉でジュエルナイトの三人が叫び、その言葉で周りの人間達もざわついた。


『おいおい、聞いたか?』

『リナリー様と手合わせだって?!あの噂のルーキーが!?』

『“氷帝”とまともにやりあえるわけないだろう?』

『あのルーキー、青の薔薇団ブルーローズに入団出来るのか?』


(なんか、凄いことになってる?)


 リナリー団長と手合わせ、そのワードが出ただけでジュエルナイトの三人と周りの人達はざわつき始めた。スカーレットに怒られない範囲で、


「とにかく宜しくね?シャルさん?」

「あ、はい、宜しくお願いします。」


 とにかく、なるようになるかと思いながら、リナリーが左手・・で握手を求めてきたので、シャルも左手で握手するため手を出したが、


 コッ、


「あ、ごめんなさい、指輪が当たっちゃいました。」

「気にしなくていいわ、指輪してたの・・・?!!」


 指輪の事を忘れていたので、指輪が当たってしまい即座に謝ったシャル。リナリーも、気にしなくていいとすぐ言ってから、シャルのしている指輪を見て固まった。


(・・・あ、まずい。)


 ギュッ、ギュッ、


 慌てて手を離そうとしたが、リナリーがしっかりと握って指輪を見ているので、離れる事が出来ない、


「・・・リナリー団長?どうしたんです?」

「なんで、固まってるんですか?」

「久々に見たぞ、リナリー団長が本気で驚いている所。」

「リナリー団長?」


 さすがにリナリー団長が固まった事が予想外だったのか、コリンもジュエルナイトの三人も近づこうとした。


「・・・ちょっと来てくれるかしら?」

「え?あ!えぇ?!」


 タッタッタッタ・・・!


「「「「・・・・行っちゃった。」」」」


 リナリーは、シャルの手をひいて走り去って行った。そしてよく分からないまま、コリンとジュエルナイトの三人は取り残された。



 ◆◆◆◆



 ガチャッ!・・・バタン!


「えっと、リナリーさん」


 カチャカチャ、


「・・・シャルさん・・・いや、皆シャルちゃんって呼んでいるからシャルちゃんでいい?」

「あ、はい、大丈夫です。」


 リナリーはシャルをとある部屋に連れてくると、何かを準備しながら話し始めた。


「シャルちゃんのしているその指輪は・・・一体どうしたの?」

「ええと、フランソワさんに貰いました。」

「・・・やっぱりそうよね。フランソワは一体何を考えているのかしら?魔導具渡すにしても、よりにもよって“白薔薇のエンブレム”なんて・・・これで良し。」


 映画で観るようなアンティークな雰囲気のスピーカーに似た物をいじり、魔力を送るリナリー、


 ブッブブブブ・・・ブン!


『は〜い!こちらフランソワ!・・・ってこの魔力はリナリーかしら?珍しいわね、こんな時間に通信の魔導具使うなんて。』

「元気そうねフランソワ、ちょっと聞きたい事・・・・・があるんだけど?」

『何かしら?』


(え?!今フランソワさんに繋がってるの?というかリナリーさんが、凄く怒ってるみたいなんだけど・・・)


 先程から口調に少しとげがあり、フランソワに繋がった途端、さらに怒っているような雰囲気を感じとった。


「最近、“白薔薇のエンブレム”を誰かに渡した?」

『あ、うん、渡した渡した。“シャルちゃん”っていう子なの、とっても気に入っちゃって・・・あ!そういえば伝えて無かったね、ごめんごめん。』


(軽っ!?フランソワさんあんな真面目な表情で“白薔薇のエンブレム”渡してたのに・・・いや、でも動機が不純だし)


 渡した時も最後に台無しな言葉を言っていたが、真剣な表情で話していた時も目線が完全にローブを凝視していたので、“白薔薇のエンブレム”<謎のローブという具合に心が寄っていて、フランソワからしたら“白薔薇のエンブレム”を渡した事自体重要では無かったかもしれない、


「・・・・・・。」

『あれ?リナリーどうしたの?・・・もしかして通信障害・・・』

「・・・こ」

『こ?』


「こんの阿呆“賢者”がぁぁぁぁ〜〜!!!」

『な、何?!!どうしてそんなに怒られてるの!?』


 リナリーは一呼吸おくと、力の限り通信先のフランソワに向かって叫んだ。


「何が『あ、うん、渡した渡した』よ!?軽いわ!“白薔薇のエンブレム”よ!?世界で何人持っていたんですか?オリビアとホルンとあたしとあんただけでしょ!?機能的に貴重だし、互いの信頼の証しとして国宝にしようってオリビアが言った“白薔薇のエンブレム”よ!?なんでそう簡単に貴重な魔導具を気に入った人間に渡そうとするのよ!?」

『いやほら、折角頑張ってもう一個作ったし、シャルちゃんならオリビアとも仲良くなれそうだし良いかなって・・・』

「あんたが良くても私達が認めてないでしょ!?」

『・・・うう、悪かったわよ。」


(・・・うわぁ、リナリーさん本気で怒ってるなぁ。)


 リナリーの怒涛の勢いにフランソワも悪いと思ったのか、凄く申し訳なさそうな声を出していた。


「・・・はぁ〜〜、もう使用者登録の機能で登録してあるから、回収した所で意味ないじゃない、オリビアやホルンにどう説明したら良いの?」

『責任を持って、私が報告するわ!』

「それは決定事項よ!すぐに仕事片付けてブルーマリンに戻って来なさい!!」

『・・・頑張ります。」


 話が一段落付き、リナリーがシャルの方を向くと、


「・・・まったく、まぁいいわ。シャルちゃんが“白薔薇のエンブレム”を持つに相応しいか、入団試験も兼ねて確かめるいい機会ね。」

『入団試験?そんなの青の薔薇ブルーローズにあったっけ?というかシャルちゃんが?』

「入団試験なんて無いわ。それと、シャルちゃんは今ここにいるわ・・・話してみるシャルちゃん?」

「あ、はい!フランソワさんお久しぶりです。」

『おぉ!?その可愛くて綺麗な声はシャルちゃん!久しぶりね、元気にしてた?』

「はい、おかげさまで・・・・・・元気です!」

『・・・なんか言葉に棘があるよシャルちゃん。というか、なんでブルーマリンに?』


 フランソワさんのおかげで色々・・あったので、若干恨みを込めて言うシャル、


「ああ、そういえば知らないのよね?シャルちゃん、凶暴化した王種二体と数千の魔物の軍勢を単騎でしかも無傷で倒したのよ。それでCランクの試験を受けに来たの、ちなみに山奥でずっと暮らしていたっていう情報から、“隠者”っていう異名が付いたのよ。」

『何それ?!シャルちゃん、只者じゃない感じだったけどそこまで!?私達クラスに届くんじゃない?!・・・というか、“隠者”・・・ね。』

「笑ってません?フランソワさん。」

『まさか!?笑ってないわ!』

「・・・・・・。」

『う、どうして今日はこんなに攻められるのかしら?』

「「フランソワ(さん)が悪い。」」

『・・・は〜い・・・ごめんなさい。』


 お互いフランソワに対して苦労しているんだなっと、リナリーとシャルはフランソワの言葉に対して意気ピッタリに突っ込んだ。


「そういえば、入団試験について話して無かったわね?」

『あ、そうそう、なんで入団試験なんかするの?リナリーの見立てが間違った事ないじゃない。』

「それが問題ね。実力もさることながら素性も不明、謎が多過ぎるわ。信用に足る人物か判断に悩むわ。」

『・・・うん、それは私もわかる気がする。』

「“白薔薇のエンブレム”を相談無しでほいっと渡すのに?」

『うっ、それは言わないでよ。』


 痛い所を突かれてうろたえるフランソワ、


「とにかく、実力がある謎の多い人間をそのまま野放しにする訳にもいかないっていうのもあるけど、実力があるなら誰かしらの耳に入っていてもおかしくはない、でも話題になったのは最近、そして同時期に各所で魔物の凶暴化が発生、危険がないかもわからない。」

『それがなんで入団試験を?』

「クレメンスの街の人達の評価と、コリンに頼んでシャルちゃんを調べさせた結果ね。実力はさっき言った通りで依頼も今の所失敗なし、人柄も顔が全く見えない怪しい風貌だけど、皆シャルちゃんに対して好意的、Cランクは総合評価で問題なかったから昇格にしたの。その代わり、あたし自身の手で彼女の事を知るのに一番効果的な試験をする事にしたの。」

『まさか・・・一対一の手合わせ?』

「そういう事。」


 リナリーはシャルの方を見ながら微笑む、


『加減しなさいよリナリー、あなたオリビアの次に強いんだから。』

「それはシャルちゃん次第ね。」

「・・・はは・・・頑張ります。」


(リナリーさんってやっぱり強いんだ。というか、リナリーさんより強いオリビア王女殿下って一体・・・)


 リナリーの期待の篭った視線に小さく答えながら、この国の王女様ってもしかして物凄く強いの?と気になった。


「とりあえず通信はここまでね。後の詳細は、ブルーマリンに戻ってから話したり聞いたりするわ・・・本人に聞ければいいんだけど、あんたが気になっているらしいローブの事もね。」

「え、えっと、そんな大したものじゃ・・・」

『何言っているのシャルちゃん!?そのローブは、私が今まで見た事のない恐らく伝説級の・・・』


 ブツッ!


「・・・通信切って良かったんですか?」

「今、ちょっと不穏な言葉が聴こえた気がするけど、それはまた今度聞かせてもらうわ。フランソワは魔導具や遺跡、自分の研究の事について話しだすと長くなるし、通信に魔力使ってるから無駄に消耗したくなかったの。」

「なるほど、やはりリナリーさんもあの勢いは困りますよね。」

「ええ、かなりね。あ、そうそう、入団試験についてなんだけど」


 なんとなく二人は気が合いそうだなと思いながら、入団試験の内容について話そうとすると、


 コンコンッ、


「どうぞ。」


 ガチャッ!ドドドッ!


「リナリー団長?!一体何があったんですか!?」

「急に走り出すからびっくりしたぞ。」

「事情を説明して欲しいですね。」

「シャル!何があったの?」


 ノックの音がしてリナリーが許可すると、なだれ込むようにコリンとジュエルナイトの三人が入ってきた。


「ごめんなさいね 。ちょっとびっくりする事があって、思わず別室に連れて来ちゃったのよ。」

「なんなんですかそのびっくりする・・・というより、なぜ通信の魔導具が出ているんですか?」

「ああ、深く考えもせず相談無しで行動した阿呆な元凶に繋いでいたの。」


「「「「阿呆な元凶?」」」」


 一体誰なのか?全く見当のつかない四人は首をかしげた。



「シャルちゃん、その指輪をあえてそこにしていたのは、いずれバレてもいいっていう意思の表れよね?」

「はい、そうしたほうが、後々面倒な事にならない気がして」

「そうね、早めに分かって良かったわ。」


「「「「???」」」」


 だが、すぐにリナリーは四人に説明せず、シャルに確認をとっている。


「なら、そこで首を傾げている四人に見せてあげて、シャルちゃんのしている指輪を」

「・・・わかりました。」


 スッ、


 そしてシャルは、指輪が四人に見えるように左手を上げた。左手の中指に輝くそれは、白く輝く薔薇のエンブレムが刻まれて・・・


「「「「“白薔薇のエンブレム”?!」」」」

「そういう事。」


 この後シャルは、四人に質問攻めにあうのだった。

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