見学
悦子さんのところに来たのは19歳の男性だった。昨日、神崎さんが使ってたパソコンが悦子さんの手元にあった。このパソコンは転生窓口員はみんな持ってるやつだと納得する。それがわかってパソコンを見ると、彼についての素性も色々わかる。しばらくすると悦子さんが話しかけ始めた。
「私の名前は渡辺悦子です。よろしく」
男性は今までの人と同じ様にここはどこだと焦っている。
「ここは天国でも地獄でもない転生窓口だよ〜」
少しふざけているが、今のところのやっていることは、神崎さんと同じことである。やはり真面目かもと感心していると
「転生窓口!?それはなんですか?」
初めて聞いたようで大きな声で、驚いている。
「転生窓口っていうのは、亡くなった人が来世は何になれるかというのを相談するところなんだよ〜」
こうして恒例の転生窓口についての説明はおわった。ここからである。神崎さんの場合は人生の辛かったこと。もしくは、楽しかったことを聞くが悦子さんは何をするのかと思っていると‥
「よし、では君の名前は?」
悦子さんは普通の質問から始まった。パソコンを見ながら悦子さんはこの男性に話しかける。
「藤井賢人です。あ、年は19です」
すごい元気な声で喋っている。先程の私の年齢の予想があたっていたので嬉しくなりニヤニヤしていると突然悦子さんに足を踏まれて小さな声で
「笑うなウザいから」
これを言われたときの感想は女の人は怖い‥
この一言だ。そう思っているうちにどんどん話が進み、突然悦子さんが
「賢人君って童貞〜?」
思わず吹き出してしまった。これが転生となにが関係あるなのかと思っていたが賢人君はピュアなようで顔を真っ赤にしながら
「はい‥」
「あ、そうなんだ‥残念だね~」
これだけで終わりである。なぜ童貞か聞く必要があったのかあとで聞いてみようと思う。
「じゃあ死因とか自分でわかる?」
「多分病気だったと」
病気‥私は、こんな元気そうな子でもかかるのか、可愛そうだな‥と思っていると
「じゃあなにに転生できるのか確認始めるよ~」
先程も言ったが神崎さんの時は辛かったことや楽しかったことを聞くが、悦子さんの場合は変な質問1つして終わりだ。逆にこんなに短くてもいいのか?と思ってしまう。
ここまで、人により落差があるものかと改めて感心する。
「はい」
こうして変わったことはなにもせずに賢人君のなにに転生できるのかの診断が始まった。
次回の更新は12月18日13時頃を予定しています。