転生窓口
私の名前は、佐藤健。
私はある場所で、働いているが働いている場所はきっと誰も聞いたことがない場所だと思う。
その名は「転生窓口」
転生窓口とはその名の通り転生について相談する窓口である。
どういう仕事内容なのかというと主な仕事は
亡くなった方が来世は、なにに転生できるかを相談して決めるのだ。
他にも自分が転生に立ち会った人の転生後のサポートなどいろいろとあるそうだが詳しくはまだ私も把握しきれていない
転生窓口にはいろいろな方がくる。
亡くなったことを認めようとしない方。
転生したくないと窓口で泣き叫ぶ方。
転生を先延ばしに先延ばしにしようとする方。
この転生窓口という仕事をしていて嫌なことも多々あるが、それ以上に人のこれからの人生に立ち会えることはとても光栄に思う。
それがこの仕事のやりがいでもある。
え?私がなぜ転生窓口の職員になったかって?
その理由はちょっとしたハプニングからである。
私は元々人間界で生きていた。今の名前と前世の名前は全く違うし職業も違う。
前世では結婚もしていた。
しかし、ある日突然胸が痛みだし、気づいたら心臓発作で死んでしまっていた。
私のイメージでは亡くなった人は天国、あるいは地獄に行くものだと思っていたが、実際は地獄の閻魔大王様の前でもなく天国への入口でもなくてある建物の前にいた。
「ここはどこだ‥」
そう思っていると突然ドアが開いた。
「遅かったので迎えに来ました。どうぞ!」
突然ドアが開いて綺麗なお姉さんがでてきた。この人は何者だと思いながらも、ドアの前に立っていてはいけないと思い建物の中にはいる。
「失礼します」
建物の中には私と同じように、ここはどこだとパニックになっている人が、結構いた。
中はとても混んでいるみたいで、さっき声を掛けてくれたお姉さんはもう遠くのほうにいる。
なにをしたらいいか、あのお姉さんに聞こうと思いながらも、聞く勇気がでずに、私はお姉さんの方をチラチラと見ることしかできなかった。
しばらくお姉さんの方をチラチラ見ていると、お姉さんと目があった。
そうするとお姉さんは近くまで来て、声を掛けてきてくれた。
「すこしお待ちくださいね」
この一言ですごい安心して、私は素直に返事をする。
「わかりました」
安心してしまったからか、そう言ってから1時間くらい立ち始めた頃から睡魔がおそってきてしまいそのまま寝てしまったのだ。
「起きてください!」
突然の声に驚き私はゆっくりと目を開けた。
「転生できなくなりますよ!」
まだ起ききってない状態の中、すごい緊迫した声で意味が分からないこと言ってくるのですぐに目が覚めた。緊迫した声で話しかけられたから、多分今は大変な状況なんだろうが、お姉さんにまた声をかけられたので、気分を良くしてニヤニヤしていると後から突然おじさんの声が聞こえてくる
「はぁ‥あなたタイムオーバーですよ」
40代とは思えない甲高い声で話しかけてくるので、一瞬ビクッとするが、さっきおじさんが言っていた、タイムオーバーの意味が気になるので意味を聞いてみる。
「あの〜タイムオーバーとはどういうことですか?」
タイムオーバーという言葉からして、何か悪いことがあるんだろうと思いながら聞いてみた。
だが、先程まですこし怒った表情だったおじさんとお姉さんはすこし笑っている。私はなぜ笑っているのだろうと思い、おじさんのほうを見ているとおじさんは見られてることに気づき深刻な顔をして話し始めた。
「簡単に言えばあなたは転生できる制限時間を過ぎてしまったので転生ができないということです」
私はビックリして聞きなおした。
「転生??」
「あなたご存知ないんですか?うちの部下から説明があったと思うんですが‥」
ここで私は生まれて初めて後悔した。ここまでの私の人生上手く行ってきたのに、まさかここで失敗するとは‥。
だか、私が寝ている間にあったのだろうから誰も攻められない。
「あの、もう一度説明してもらっていいですか?」
おじさんを怒らせないように慎重に聞いてみると、おじさんは優しく説明してくれる。
「死んだ人はまず来世転生できるかどうかここにくるんですよ。」
さっきのタイムオーバーって‥
意味がわかったうえで聞いてみる。
「タイムオーバーってことはもしかして私は転生できないんですか?」
さっきから言ってるじゃないかという顔をしながらおじさんは答えてくれた。
「まぁタイムオーバーなんで仕方がないですね‥」
簡単に言ってくれる。だから先程笑っていたのかと納得もいった。
私は、寝ていたことを後悔しているとおじさんが、突然わけのわからないことを言ってきた。
「あなた見た目もいいですし、ここで働きませんか?」
突然の勧誘だ。仕事内容も知らないのに勧誘するか?と思うがそこは黙っておく。
「あの、仕事内容は?」
「あ、それ言ってませんでしたね」
そう言いながら笑っているが笑い事ではすまされないレベルである。
「まぁ、さっきも説明しましたが、主な仕事は死んだ人が次はなにに転生できるかを最終的に決めるところです」
「すごい重要な仕事ですね‥」
こんな重要な仕事を素性もわからない私を誘っていいものか?できるのか?そう思い考えると、荷が重いという結論に至る。
「すいませんが、ことわ‥」
言ってる途中で突然かぶせてきた。
「言い忘れてましたが、あなたはどのみち地獄しかみちはないですからね」
衝撃の一言を放たれた。そこから私は考える。私の地獄に対してのイメージはそれは悪く、針の山の地獄を歩いたり舌を抜かれたりというイメージがあった。そんな地獄を味わうよりは、よくわからない仕事でも働いた方がいいという結論にいたる。
そして、二つ返事で私は
「働きます」
とても笑顔で元気よく返事をした。あのおじさんはすごいうれしそうな顔を、あのお姉さんは、すごい残念そうな顔をしている。
こうして私の転生窓口の仕事が始まったのである。
※この主人公の【佐藤健】と俳優の佐藤健さんは全く関係ありません。
作者の夕凪といいます。これからよろしくお願いします(^^)
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