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青い吐息
息苦しい。
今日も僕の部屋は深海で、
澱んだ空気に耽溺する、沈殿する。
部屋の隅に溜まった空のペットボトルが、
乱立した電柱のように僕を咎め続ける。
ああ、息苦しい息苦しい。
酸素なんてものがあるとは思えないほどだ。
いっそのこと、
肺なんてなくしてしまいたかった。
ソーダの泡で喉を焼いて、
傷の痛みで無理やり酸素を感じたかった。
窓から見上げた空は埃のようで、
雲に街の光が反射する赤茶けた夜。
これでは博士の妖術に掛ることもできない。
正気の僕は、自分を殺す代わりに、
紙の上で人を殺す。
炭酸飲料をあおりながら。
自殺することから、逃げて逃げて、
卑小な殺人犯に成り果てる。
それでも喉と胸の痛みに耐えて、
いつか許されることを願っている。
まるで阿呆だ。胡乱な道化だ。
ああ、本当に息苦しい。
とにかくこの世は、生き苦しい。