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*魔法の価値を問う3
マオリは、ハルの話を聞こうと、涙を堪えたいが、辛い気持ちで押し潰され、できない。
とても、寂しい気持ちだ。
「あの、ごめんなさい」
まおりは姿勢を正し、まっすぐハルを見つめる。
「もうすぐ、わたしの家に着く、そこでゆっくり話す」
馬車の外には、家が何軒か在るのが見えて、人もいて、小さな村の中に入ったようだ。
空気は暖かく、マオリは薄着のままだが、なんともない。
冷たい森の中で生まれ育ち、滅多に他の地域に行くことがなかったマオリにとっては、新鮮だった。
この村の一隅に、目的地があり、一階建ての家の前で、馬車は止まった。
先に下りたハルは、マオリの手をとって、降ろしてやった。
地面に両足がついた瞬間、馬車は閃光を発して消えてなくなってしまった。
光が割れるような、幻想的な光景に、マオリの気持ちは昂った。
「具現魔法、他人の魔法に依拠するものだが」
ハルは建物の扉に視線をうつした。
読んでくださってありがとうございますね。
お絵かきソフトは、saiを使っています。
シンプルなユーザインタフェースがよかです。