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*魔法の価値を問う2
マオリは、ハルの言葉を全く聞き逃さないよう、心がける。
先ずは、彼の言う通りにしなければならないのだ。
だんだんと、不安と緊張が、募る。
「マオリと同じように、先日、荷物が送られた、お前の父親の幻術魔法によって」
ハルはふたつ折りの硬い藁半紙を渡した。
それを受け取ったマオリは、震えながらも、丁寧に書かれた文字を、声に出してみる。
「……ハル、荷物は全て、マオリ、私の娘に、お前の世界での生き方を教えろ……」
そう、読んでみても、全て意味を理解したわけではない。
だが、その手紙、言葉は、まおりに、お父さんを思い出させた。
今まで我慢してた分、涙が溢れてくる。
「う、うぅ、じゃあっ、マオリはひとりなのっ、家族も、誰もいなくって、どうして、こんなところっ」
「あぁ、すまない、マオリには、もっと伝えるべきことがある、から、少し落ち着いて」
ハルは、自分の手を、マオリの頭にのせてやった。
読んでくださってありがとうございますね。