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少女の幻想文学  作者: trinity
6/82

*消えない里程標5

月明かりが大樹を照らす。


十分、まおりに伝わる言葉で。

「まおりだけには、生きていてほしいから、後に何も無くなっても……絶対に、死ぬな」

そう言ったお父さんの表情は、覚悟を決めたようだったが、その声は、どこか悲しげだった。

そしてケーンを樹に向けた。

「意味がわからないよ、お父さん」

体が押しつぶされそうになる。

消極的な考えばかりが浮かぶ。

お父さんは、何をしようとしているのか。

「いずれ、すべてが解るようになるはずだ」

そう言って、お父さんは魔法を発動するため、ケーンの先に魔力をためはじめた。

「お父さん……」

それが終わると、上に向けていたケーンを振り下ろし、地面に向けた。

その先がさしているのは、大樹と地面の丁度境界だ。

魔法が発動され、地面に穿孔された。

穿たれた穴は、先が見えない、深くて暗くて、じっと見ていると吸い込まれそうな感覚になる。

お父さんの魔法を見られた、そんな興奮よりも、理由のわからない恐れが勝っていた。

お父さんはまおりを抱き上げ、穴の直上まで移動させた。

「やっ、なん、おとっ」

まおりは、抵抗しようと思うが、恐怖で体がうまく動かない。

「先ずは、ハルという男の言うとおりにしろ、そして、まおり、3年前の約束を思い出して」

それが、まおりにとって、お父さんの最後の言葉になった。

お父さんは躊躇なく自分の手をまおりから離した。






挿絵(By みてみん)




読んでくださってありがとうございますね。


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