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*消えない里程標1
隣で、物音がして、よく眠っていたマオリは、夢から覚めてしまった。
物音が何か、確認したかった。
意識がはっきりせず、しっかりわからない、けれど、多分、右隣で寝ている、お父さん。
目が覚めてしまったのか、それとも、もう朝がきたから、起きたのか。
そうなら、マオリも起きよう。
体を動かして、右を向いて、目をあけてみて、確認しようとしたとき。
「マオリ」
名前を呼ぶ、この声は。
「お父さん……」
「目を覚まして、はやく」
マオリは、お父さんを見た。
膝で立って、横になっているマオリを見下げていた。
いつもの、寝るときの格好と、違っているような。
すぐに、マオリは、自分で体を起こせた。
部屋の中も、窓の外も、まだ真っ暗だ。
読んでくださって、ありがとうございますね。