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序章 冒険者たち
―――それは、遠い遠い、異国とすら呼べない遠い世界の出来事のはずだった。
決して出会うことのないはずの国の人々と、決して知ることのないはずの伝説と、決して触れることのないはずの大地の温もり。
交わることのないはずの、言葉と想い。
少年は、隣に立つ少年を見た。
隣に立つ少年もまた、少年を見た。
二人は頷き合うと、今度は真っ直ぐに前を見上げる。二人の眼前に聳え立つのは、二つの世界の偶然と必然が織り成した奇跡の形だった。
「これでいいんだよな」
「ああ、そして僕達は冒険者、だ」
―――それは、遠い遠い、異国とすら呼べない遠い世界の出来事のはずだった。
けれど二人は、この大地に立っている。
立って、いる。
冒険者となるために。