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女神な彼女  作者: なつみかん


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第五十三話 好きになってた

たーくんの震える手が、私の肩をそっと離した。


「ひなた……ごめん」

たーくんの手が、ブルブル震えている。

緊張してるのか、酷く怖がって見える。


……たーくんに辛い思いさせちゃってる。

いきなりでビックリしたよね。ごめんね。


「やっぱり……ダメ?」

そう言って私は下を向こうとすると

たーくんは先に言葉を重ねる。


「ダメなんかじゃない!」


たーくんが泣きながら大きな声で言う。

「ひなたは大切に決まってるよ!」


……もう、なんで振る方が泣いてるのよ。


「どれだけ、ひなたに助けられたか……

 ひなたがいるだけで、どれだけ心強かったか……」

気持ちを整理しながら、ちゃんと答えようとしてくれる。


早く、たーくんを楽にしてあげよう。


「でも……ハナコさん、好きなんだね」


自分で言って胸がズキッと痛くなる。

でも……結論を言って、たーくんを落ち着かせよう。


「……うん」

たーくんがボロボロ泣きながら答える。


私達、すっと一緒だったもんね。

私がたーくんいないと不安なように、

たーくんも、これで私が離れていくって

そう思って怖がってるんだ。


大丈夫だよ。

たーくんが嫌じゃないなら、ずっと見てるよ。

彼女じゃなくても平気だよ。


抱きしめて頭をなでて、伝えてあげたい。

でも、今、私はそんな資格をなくしたばかりだ。

せめて、少し明るい話しなきゃ


「やっぱりさ、ハナコさん、綺麗だから好きなの?」

私は少し意地悪なフリをして、覗き込むように聞いた。


「……それもあるけど」

たーくんは、目をこすり少し考えながら言う。


「それもあるんだ……」

私は苦笑いする。


そうだよね、こんな時だけ

女らしくしても、敵わないよね……


「でも違うよ」

擦って腫れた目で私を見て言う。


「ハナコさんは、俺がお世話しないと何もできないんだ」

「勉強も料理も……

 普通に生活するのだって、俺がお世話しないと」


そっか、たーくんも大変だなー……あれ?

それって、私がたーくんにしてたことだ。


「お世話してると……

 なんだか男らしくなれたって思えてさ」

たーくんは続ける。


一緒だ……

私もたーくんのお世話焼いて、女らしくいれるって……


「そうやってお世話を焼いているうちにさ……」

たーくんが言葉を紡ぐ。

その先の答えを、私は痛いくらいに知っていた。


「「――好きになってた」」 


重なった言葉に、私が思わず小さく吹き出すと、

たーくんはキョトンとした顔で私を見つめた。


……そっか。たーくんも、私と同じだったんだ。


誰かを放っておけなくて世話を焼いているうちに

いつの間にかその存在が

心の一番深いところに入り込んでいたんだね。


「そっかー……それじゃあ、仕方ないなぁ」

私は、眩しいものを見るようにたーくんを見つめた。


ヒールを履かないと肩を並べることができないくらい

たーくんの背は大きくなっていた。

わかっていたつもりだったのに

私は何もわかっていなかったんだ。


たーくんはもう、守られるだけの子供じゃない。

守りたい人ができた、一人の男の子なんだ。


……きっと、私も。

たーくんに置いていかれないように

自分自身の足で成長しなきゃいけないんだ。


「じゃあ……今度こそ、『お姉ちゃん役』はおしまいだね」

努めて明るく、満面の笑みで告げる。


けれど、視界がじわりと熱くなって

堪えきれずに、涙が溢れ出した。


「……ひなた」

たーくんが、割れ物を扱うような目で私を心配する。

もう、私は大丈夫なのに。


「大丈夫だよ、たーくん」

情けないことに、声まで震えてしまった。


「今日は……いきなり呼び出して困らせてごめんね。

 ……ねぇ、明日からも

 今までみたいに仲良くしてくれる?」


「……いいの?」

たーくんが、信じられないという顔で問い返してくる。


……ふふ。やっぱり、私がいなくなるのは嫌なんだね。

本当に、仕方ないなぁ。


「もち!」

鼻をすすり、精一杯の笑顔で応える。


「良かった……ひなた、本当にありがとう」

たーくんが、やっと肩の力を抜いた。


頭上の街灯が、チカチカと点滅している。


さっきまでの激しい感情をなだめるように

夜風がふわりと頬を撫でて通り過ぎた。


もうすぐ、夏が終わる。

私は、新しい季節を迎え入れるように

高く澄んだ夜空を見上げた。

明日からガツンと話が動きます。

お楽しみにー

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