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女神な彼女  作者: なつみかん


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第五十話 信じていいのぉ?

砂浜に生えた男たちの生首はハナコに発見され、

呆れ顔の女性陣による発掘作業が始まった。


冷静になった因幡も合流し、

祭の関係者による海水浴はさらに賑やかになっていった。


「やっぱり男ってバカっすねー」

砂まみれの面々を見て、夢野がケタケタと笑う。


「美子ちゃん、こいつらが特別バカなんだよ」

ひなたは太郎と目も合わせず、怒りモード全開だ。

俺たちは揃って、肩を落とすしかなかった。


時間が経つと、男たちの失態すっかりも忘れ、

海水浴は楽しく過ぎていった。


太郎は一人、少し休憩しようと

波打ち際で遊ぶ皆から離れ、砂浜に腰を下ろした。


ずいぶん潮も満ちて波が近くなってきた。

日も落ち始め、辺りが少しずつ赤く染まっていく。


遊んでいる皆を離れて見ていると

ハナコが駆け寄ってきて、太郎の隣に座った。


「太郎くん、休憩中なのぉ?」

隣でハナコさんが優しく微笑む。

水着姿を未だに見慣れない太郎は視線を逸らす。


そんな太郎の心境を知ってか、

ハナコはクスクス笑う。


「海に来たの久しぶりなんだぁ、楽しいねぇ」


「そうだね、昔はよく来たの?」


「うん、あの人と……」

そう言ってハナコは「はっ」と

口に手を当て眉をひそめる。

『元カレ』と言いかけたことを後悔する。


「あのね、ハナコさん……」

太郎が楽しく遊ぶ皆を見ながら言う。


「ごめんねぇ、ハナコ、ちゃんと忘れるからぁ」

ハナコは体を小さくして強く目を閉じる。


「いや、そうじゃなくてね

 そんなに気にしなくていいんじゃないかなって」

「その人……その神様がどんな神様か俺は知らないけど

 ハナコさんにとって大切な人で

 それで会えなくなっちゃったんでしょ?」


「……うん」


「だったら無理に忘れようとかしなくてもさ

 そのままのハナコさんで、いいじゃん」

――思い出しても、抱えたままでも、かましまへん――

ハナコはコノハの言葉を思い出す。


「ほら、みんなも楽しそうにしてるでしょ?」

太郎は遊んでいるみんなを見ながら話す。


「前みたいにお祭りとか大きい事やったり

 遊んだりってハナコさんは嫌?」


「うぅん、楽しいよぉ」


「だったら、ハナコさんも一緒に

 楽しい事を考えて前に進もうよ」

――どうすればじゃなくて、どうしたいかっしょ?――

ハナコはウズメの言葉を思い出す。


「うん、太郎くん、優しいねぇ」


「ほら、一応、契約かもだけど……その……彼氏だし……」

夕日のせいなのか、もう分からないが

真っ赤な顔で太郎は精一杯答える。


――あんたを好きな太郎なんていらない!――

ハナコはひなたの真っ直ぐな言葉を思い出す。


ハナコは決意したように太郎へにじり寄り

その真っ赤な顔を正面から覗き込んだ。


※ ※ ※


俺の目の前に、ハナコさんの顔がある。

夕陽を背にして、透き通るような肌が朱に染まっていた。海で濡れた髪から水滴が、砂浜にひと雫こぼれる。


「ねぇ……太郎くん……」

ハナコさんの唇が、かすかに震えながら動く。


呼吸をすれば、吐息が触れてしまいそうで

俺は息をすることさえ出来ないでいた。


「ハナコ……太郎くんのこと、信じていいのぉ?」

潤んだ青い瞳が、俺の視線を捉えて離さない。


「ホントのホントに……だぁい好きになっちゃうよぉ?」

心臓が、鼓動の限界を突破する。

俺は……俺は……!



「あーーーっ!女神様、キスしてるっすーーー!!」

海辺で遊んでいた夢野の大声が、静寂をぶち破った。


「なんだと!太郎くん!君という男は!」

「格差社会はやめろって言ったろーー!」

天道と来人が突進してくる。

俺はそのまま砂浜で、もみくちゃにされた。


「き、キスなんてしてないよぉ……!」

ハナコさんも顔を真っ赤にして、ブンブンと手を振る。


「いいや!間違いなく今、イチャイチャしてた!

 現行犯で即逮捕だっつーの!」

来人が俺の首を締め上げながら騒ぐ。


そんな騒ぎの中、ひなたと目が合った。

……が、すぐに顔を逸らし

唇をぎゅっと噛みしめる。


「……そろそろ日も落ちてきましたし、帰りましょうか」

うさちゃんが、元の事務的なトーンで告げた。


海水浴も、もう終わりらしい。

赤から群青へと溶けていく空の端に

白く透けた月が、ひっそりと昇り始めていた。

中盤おしまいです。

ここから怒涛のクライマックスに行きますねー

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