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女神な彼女  作者: なつみかん


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33/65

第三十三話 コンプライアンス違反ですよ!

「へーっくしょい!」


「あらあら、太郎さん。どなたか噂してはるんやろか?

 ほんに、ようおモテになるお人はよろしおすなぁ」


「いえ、それほどでも……」

そんなわけあるか。ふんどし一丁にさせられて

火の輪くぐり100回の後に滝行の3セットって……


くしゃみで済んでいるのが不思議なくらいだ。

なんか、無駄に筋肉は付いたけど

ホントにこれ、神主の修行なのか?


神社に住み込みで暮らすこと1ヶ月弱……

俺は今、神社の裏の修行場にいる。


元々ここに、そんな場所なかったんだけど

コノハさんが地面に触れると、

みるみる草木が移動して、広場になり

大地が隆起して山になり滝が流れだした。


ここで俺は

『コンプライアンス?何それ美味しいの?』としか

思えない修行に明け暮れている。


許可や補助金の申請書類は、ほとんど終わった。

あれだけ嫌だった書類作成だが

コノハさんの修行を受けていると

書類作成が、もはや癒しの時間になっている。


「あれから、もうひと月どすなぁ。

 まぁ……太郎さんも、人前に出はっても

 恥ずかしない程度には

 神主さんらしゅうならはりましたえ」


「そ、そうですかぁ、ありがとうございます」


「中身は、あまりお変わりあらしまへんようやけど……

 まぁ、それが太郎さんらしさ、いうもんどすしなぁ」

コノハさんはふふっと微笑み、話を続けた。

「今日は皆さん、こちらにお集まりなんどすやろ?」


「みたいですね、俺も着替えなきゃ」


「ほな、これ……贈りもんどす」

「よう頑張ってはりましたし。受け取っとくれやす?」

そう言って衣装を渡す。

勉強したから知ってるぞ……衣冠単いかんひとえだ。これ……


「これ、100万くらいしません?恐れ多いんですけど」


「まぁ太郎さん。

 大奥様が、太郎さんのために

 お織りになったもんどすえ?

 値ぇなんぞ、つけられるようなもんやおへん」


「大奥様……?まさか」


「うちの大奥様言うたら……天照大御神その人どすえ?」


「えぇ!めちゃくちゃヤバい服じゃないですか!」

「そもそも高校生が着る服じゃないですよー!」


「大奥様も、喜んではるんですよ。

 ハナコさんが氏神さんとして根付いてくれはること」

「やけどそれは、太郎さんのためだけやおへん。

 ハナコさんを、ちゃんとお祀りして差し上げたい……

 そない思うてはる、大奥様のお気持ちなんどす」


コノハさんはそう言って笑った後、少し眉を潜める。

「……あとは、このまま何事もあらへんまま

 無事に根付いてくれはったら、ええんやけど」


「俺が祝詞でポカしないかって不安ですか?」


「そうやおへんけど……まぁ、それでよろしおす」

コノハさんは、にっこり微笑んで、


「ほな、うちはこれで失礼しますえ。

 ハナコさんにも、よろしゅう

 お伝えしといてくださいな」


「あ、ハナコさんに、会っていかないんですね」


「あの子に会うんは、かましまへんのやけど……

 来人くん、やったかしら?」

コノハさんは眉を潜める。


「うち、あの方は好かんのです。

 礼儀とか、そういう次元やおへんのどすえ」


「ほな、またお会いしましょ。ごきげんよう」

そう言って挨拶を交わしコノハさんは帰って行った。


「太郎!お前なんで、ずぶ濡れふんどし一丁で

 正座してんだよ!ヘンタイか?」

コノハさんと入れ替わる様に

来人がスーツ姿の男と一緒に来た。

20代中盤くらいだろうか。いかにも元気そうだ。


「来人くん、この人が代表?」

「神主って聞いたけど、なんかいい身体してるね!」


「そうなんですよ、

 修行と資料作りしかしてないんですよ、コイツ」


スーツ姿の男の人は俺に向き直り

「市から担当になった八上輝姫(やがみてるき)です

 ここからは僕もバックアップしていくからね!」

ずぶ濡れふんどし姿のまま

市役所の名刺を押し付けられた。


「あの……せめて着替える時間を……」


「うお!太郎くん、何してんすか?」

夢野&天道ペアも来た。

更にもう一人、大人の女性も追加だ。


「ちょっと!ふんどしってどういう事ですか!」

「コンプライアンス違反ですよ!」


「……因幡いなばさん。

 彼は元々トリッキーな奴ですが

 少々、頭のネジが緩んでいるんです。

 許してやってください」

天道が、フォローになっていない

フォローを涼しい顔で入れる。


「初めまして、因幡うさぎです。

 ……とりあえず、早く服を着てください」

目を逸らされながら、本日二枚目の名刺を貰った。


最悪だ。せっかく身につけた

神主としての威厳が……


「……すみません、すぐ着替えます。今から……」


「たーくん!なんでそんな格好してるの!」

「おまけに、びしょびしょじゃない?!」

「タオル!タオルは?!」

間を入れず、ひなた&ハナコペアも到着。

ひなたか慌ててハンカチで身体をペタペタしてくる。


「ちょっ、ひなた! 恥ずかしいから!

 タオルあるから大丈夫だって!」


「久しぶりに会うけどぉ、太郎くん

 たくましくなったねぇ」

ひなたの手が止まり、ハナコさんを見てる。


「そうかな〜、ハナコさんも元気そうで良かったよ」


「……うん、また今日から一緒に暮らせるねぇ」

俺に言ってるはずなのに、ひなたと見つめ合ってる。

なんだこれ……大丈夫なのか?


でも、これで全員集合だな。

今回の作戦を立てるために、先ずは―――


「………着替えてくる」

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