表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神な彼女  作者: なつみかん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/59

第三話 そんな度胸ないよぉ

昨夜の後悔とともに目が覚めた。


ハナコさんと出会ってから

俺はフラグというフラグをすべて

自らへし折っている気がする。


押し入れのふすまを細く開け、

ハナコさんの様子を見る。


……ひどい寝相だ。

布団が部屋の反対側の壁まで吹き飛んでいた。


もし昨夜、理性を捨てて一緒に寝ていたりしたら

今頃、大怪我をしていたかもしれない。


「ハナコさーん、そろそろ起きようよ」


「ふぇ……あっ、太郎くん、おはよぉ」

彼女は大きく背伸びをしながら

「ふぁ」と気の抜けたあくびをした。


「そんな所で寝て、体、痛くなかったぁ?」


「いや、むしろここで寝て正解だったよ」


「ふぇ? なんでぇ?」


「いいから。

  ほら、学校行くよ。 ご飯食べて着替えないと」

俺は押し入れから這い出し

顔を洗いに洗面所へ向かった。


「うん、

 制服着るんだよねぇ。後から行くねぇ」

朝の準備をひと通り終えたが

ハナコさんは一向に部屋から出てこない。


やっぱり女の子の準備って時間がかかるのかな

なんて考えていると――。


「おっそーい! まだ準備してるの?」

聞き慣れた声と共に、ひな姉が玄関を開けた。

いつもの、当たり前の朝の光景だ。


「あっ、ひな姉。ありがとう

 もうすぐ行くから中で待っててよ」


「はいはい。まったく

 たーくんはいつも遅いんだから……」

ひな姉はぶつぶつ言いながら家の中へ入ってきた。


「そういえばさ、

 昨日のハナコさん。あれからどうしたの?」


「あー、それなんだけど……」


「太郎くぅん、準備できたよぉ」

絶妙なタイミングで、奥の部屋のドアが開いた。


「どぉ? セーラー服、似合う~?」

ハナコさんが腰に両手を当てポーズを取る。


……絶句した。

大人の色気たっぷりのグラマラスなボディに

清楚なセーラー服。

そのアンバランスさが生む破壊力は

俺の想像を遥かに超えていた。


隣を見ると

ひな姉も口を金魚のようにパクパクさせて固まっている。


「あっ、ひなたちゃん。おはよぉ~」

ハナコさんが屈託なく声をかけるが

ひな姉の思考は完全に停止していた。


「……ひな姉?」

恐る恐る声をかけると

彼女は「はっ!」と我に返り

みるみるうちに顔を真っ赤に染めた。

そして、俺の肩を掴んで激しく揺さぶる。


「な、な、なんで制服着てるの!?」

「 どうして、たーくんの部屋から出てくるの!?」

「 昨夜、何があったのぉぉっ!?」


「いやいや、なんにもないから!

 ひな姉、落ち着いて……!」


「あのねぇ……」

ハナコさんが、いたずらっぽく微笑んで爆弾を投下した。


「太郎くんとねぇ、昨日から

 『同棲』することになったのぉ」


その言葉を聞いた瞬間、

ひな姉は頭から、しゅーっと湯気を出しながら

そのまま床に―――「ひな姉っ?!」

慌てて俺は抱きかかえた。


※ ※ ※


「なるほどねぇ……帰るところがないから

 当分の間はたーくんが面倒を見る、と」

登校中、三人で並んで歩きながら、

ようやく落ち着きを取り戻したひな姉が言った。


「そうなんだよ。父さんもそうしろって」


「でもさ、年頃の男女が高校生で同棲とかさ

 ……いろいろ危なくないの?」


「危ないって?」


「ほらっ、だって、その……

 間違いとか、あるじゃない!」

ひな姉が顔を赤くして言い淀む。


「大丈夫だよぉ。太郎くんに、そんな度胸ないよぉ」

ハナコさんがヘラヘラと笑いながら、追い打ちをかける。


「……ま、それはそうだけどさ」

納得したのか、ひな姉。


図星だけど、二人揃って俺への信頼が

情けない方向に高すぎて泣けてくる。


こんな調子で、平穏な学校生活なんて送れるのかな?

足取りの軽いハナコさんと

まだ疑りの視線を向けてくるひな姉。


俺は、嵐の前の静けさのような

つかの間の平和を噛み締めながら校門をくぐった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ