第二十八話 ガッポガッポするっす!
「みんな、ここからっすよ!」
美子は教卓を叩く。
みんな軽く諦めモードだ。
「先ずは女神様っす!」
「美子と一緒にスポンサー集めしないっすか?」
「すぽんさぁ……、ですかぁ?」
「そうっす!女神様のスタイルとか、
美人な顔を武器に、契約取るんすよ」
「もしかしたら女優とかアイドルの
オファー来るかもっすよー!」
確かに女神とか輪っかとか羽を前面に出せば
メディアは放っておかない……
なるほど、狙いはそこか。
「あ〜、そういうのはダメですよぉ」
「メディア露出なんて、ハナコ
高天原の神様達に怒られちゃいますよぉ」
「……そういうものなんすか?」
夢野が肩を落とした。
ハナコさんは小さく「…ごめんねぇ」と謝る。
てか、神様を換金しようとするなよ。
「じゃあ美子と天道くんで一緒にスポンサー集めるっす」
「女神様は、ひなたお姉様と一緒に
地域の人から寄付金集め、お願いしていいっすか?」
「僕が営業するのかい?」
天道が怪訝そうに言った。
「そうっすよー、天道くんビジュアルいいし
もしかしたらもしかするかと」
「……ホントは女神様なら一発なんですけど」
ボソッと本音を漏らした。
「僕じゃ不満みたいだね……まぁいいけど」
天道もイマイチ乗り気じゃないみたいだ。
大丈夫なのか?
「私も寄付金とか集められるかな……?」
ひなたも不安そうな顔をした。
「お姉様なら大丈夫っす!」
「爽やかスポーツ少女に
心を開かない人間は、いないはずっす!」
「それに、寄付金集めは地域の皆さんの
認知度も上げてくれるので外せない
大事なポジションっすよ」
「そっか、やれるだけ頑張ってみるよ」
笑顔で答えるが不安そうだ。
そりゃそうだよな、1000万だもん、目標が高すぎる。
寄付金とかでどうにかなる気がしない。
ていうか、俺と来人は?
「夢野、俺は?」
「…太郎くんはスペシャルメニューっすよ」
夢野がニヤリ。……え、何それ?
「先ずは太郎くんには神主の資格を取ってもらうっす!」
ビシッと俺に指を指す。
「か、神主ぃ?資格あるの?」
「これが、あるんすよ」
「お祭りするのにモグリ神主じゃ困るっすよね?」
「うぅ……確かに」
「本来なら、大学とか行かなきゃ取れないんすよ」
「他にも方法があるっすけど半年くらいは掛かるとか」
「マジか、無理ゲーだろ……」
「そこで……これっす!」
教卓にチラシを叩きつける。
――1ヶ月で取れる!熱血!神主通信講座――
めちゃくちゃ怪しい……
疑いの目でチラシを見ていると
「大丈夫っすよ、ほらここ!」
チラシの端を指さす、JISマークがある……
「いや、JISマークってこういうのに
ついてるものじゃ……」
「品質は保証されてるっす!」
「もう今はこれにすがるしかないんすよ!」
「腹決めるんすよ!」
「わかった、やるよ」
確かに夢野の言う通り、やれる事はやるしかない。
「太郎くんには、もうひとつ、やる事あるっす」
「え、そうなの?」
「太郎くんにはイチャイチャする暇なんか
ないって言ったじゃないっすかー」
ニヤニヤ笑う夢野………性格悪い巫女だ。
「さっき言ってた、道路とか公園の使用許可申請
後は補助金をゲットするのが太郎くんの仕事っす」
「来人くんは太郎くんの代わりに
役所行ったりして書類の橋渡しをお願いするっす」
「えー!俺、地味じゃね?」
来人が不服そうに眉を潜めた。
「全然、地味じゃないっすよ!」
「役所に上手いこと言って
血税をゲットしてくるんすよ?」
「ずる賢くてフットワークの軽い、来人くんは適任っす」
「夢野……お前が俺を
そんなふうに見てくれてたなんて……」
え? 今、ずる賢いって言われたけど、
なんで感銘受けてるの?
「太郎くんは神主の勉強と事務手続きで
もう、身動き取れないっす」
「たぶん夜も、まともに寝れないっす!」
「補助金ゲット、頼むっすよ!」
夢野が来人の肩を、ポンっと叩いた。
「ゆ、夢野ぉ〜、俺やるよぉー」
来人が完全に口車に乗ってるな……
というか、俺って寝れないの?
「でわ、皆さん、やる事決まったっすね!」
「2ヶ月後の夏休み、華那古命降臨祭!」
「これから1ヶ月はみんなで
金をガッポガッポするっすよー!」
夢野が拳を上げて鼓舞する。
ハナコさんが、パチパチ手を叩き
来人が両手を挙げて「うおー!」と答える。
地獄の金策&通信講座が始まった。




